勢いよくレンの部屋の扉が開き、一人の少女の大きな声が
全体に響き渡った。
「お~~い!」
リンはレンの部屋のカーテンを勢いよく開ける。
「お~~~い!!レンッ、おきろ~~。」
めずらしくレンはおきるのが遅い。
それはなぜかというと・・・
「こらこらレン君、おきたまえ。今日は最悪の天気だぞ。」
「なら寝かせてくれや・・・。」
そうなのだ。実は昨日から土砂降りだ。
こんな雨の中ラジオ体操なんかできるわけない。
レンはそうおもい、寝る前に目覚まし時計を「オフ」にして寝たのだ。
「ってかさ、なんでリンは雨の日に限って
異様に早く起きるわけ?」
「う~ん、なんでかな?よくわっかんね☆」
「・・・はぁ、そうですか・・・。」
さすがに早起きなレンでも、
こう毎日毎日遠い道のりを朝っぱらから走っていったら疲れる。
レンの体は悲鳴をあげていた頃だったので、
丁度休むのには最適な土砂降り日和だった。
しかし、リンはそれの反対だった・・・。
なぜか運がよいのか分からないが、車で連れて行ってもらったり、
信号に1つもひっかからなかったり・・・だからこれまでも休みなしで
ラジオ体操にこれていた。体力的にも、レンほどひどくはなかった。
なので、今日はめずらしくリンは早起きができたのだ。
「なら、あと5分・・・」
「もー、しかたないなぁ。1,2,3,4,5!!はいっ、終わり。
さっさとおーきーてーよぉ~!!」
「はい?!今のは5秒じゃん!!5分だってば!」
思わずレンは布団から飛び起きた。
「よし♪レン起きたね?えらいえらい♪」
リンは笑顔でうんうんと頷きながらいった。
「ちくしょー・・・ひっかかったぁ・・・。」
「じゃ、レン早くいこ!めーちゃんにおつかいたのまれた。」
こんな土砂降りな朝っぱらから?特に意味はないのだろうが、
レンは不思議な顔をして首を傾けた。そして、適当なジャージに着替えて
玄関で早く行きたそうにしているリンに
「ちょっとまって」と声をかけながら靴を履いた。
「うわぁ~~~・・・・。」
うすいピンク色に大きな水玉模様の合羽を着たリンは、
玄関の外に出た瞬間、思わずつぶやいた。
「すっごい雨・・・。」
すでに道路の歩道に出ていたレンは
塀からひょこっと顔を出し、リンに手招きをする。
「早く済ませて帰ろうぜ。」
土砂降りの雨に気をとられていたリンは、ハッと我に返り、
レン後姿と、一緒に動くビニール傘へと向かっていった。
目的地の駐車場は、案の定、車と人であふれていた。
近所の大型スーパーにたどり着いた2人は、
人ごみに潰されないように上手く間と間を通り抜けた。
自動ドアの周辺では、話をしている子連れの女性数名と、何人かの子供。
出入り口ではたくさんの人が入ったり出たりを繰り返している。
とりあえず中に入って、傘や合羽を「傘置き場」とかかれた場所においた。
「まずは食料品からだな。」
「ミク姉のネギと、カイト兄のアイス、レンのバナナ、私のみかん、
めーちゃんのお酒、それから今日の晩御飯の・・・」
「貸して。」
レンは、すべてを正確に聞き取れなかったので、
リンから買い物メモを貰った。
「はぁ・・・これ、予算足りるの?」
「さぁ・・・。」
とりあえず、メモに書かれたものはすべてかごに入れていった。
次は・・・
「カイト兄のマフラーと、めーちゃんの下着だよ。」
「ああ、そうそう。それ。」
「じゃあ、リンは、めーちゃんの。俺はカイト兄のほう。」
「オッケイ。」
2人は各自の売り場に向かった。
そのころレンはどんなマフラーを買えばよいのかまよった。
そもそも、夏でもマフラーをつけるなんて、変わってると思う。
夏用のマフラーを売ってる店といえば、ここぐらいしかない。
だから、店員とは結構顔見知りなのだ。
店員のミクオが話しかけてきた。
ミクオとは、普段からも結構話す(と思う)。
「お、レン。こんな雨の中よくこれたな。
まさか俺に会いたくて?」
レンはすぐに否定する。
「ばっ、おま・・・///ちげーよ!夏用マフラー買いに来たの!」
「はははwレン、なにムキになってんのさ。そんくらい分かるよ。」
ミクオはレンの頭を軽くポンポンとたたいた。
「まぁ・・・とにかく、色選ぶの手伝ってよ。」
「はいはい。まったく、可愛いなぁレンは。」
「うるさいってばもぉ!」
ミクオは、1枚の薄生地のうすい水色のマフラーを差し出し、
「じゃ、はい。これがおすすめですよ。通気性抜群だし。」
といった。
―――というか、マフラーに通気性なんて必要あるのだろうか・・・。
レンはそんな疑問を抱きながら、ミクオからマフラーを受け取った。
「ありがと。」
「じゃ、代金は1050円になりま~す♪」
「ん。」
「またね~。」
そんな軽い挨拶を交わし、レンはマフラー売り場を後にした。
リンはまだ帰ってきてないようなので、
とりあえず近くの休憩所で休むことにした。
――そのころリンは適当に下着を選んで戻ろうと考えていた。
が、メイコのサイズの下着はなかなか無かった。
「めーちゃん大きすぎるんだよなー。」
そんな独り言を呟いていた。すこし露出度の低い下着に目がいった。
なんと、あっさりメイコのサイズにぴったりの下着を見つけた。
そうか、露出度の高いものは「大きく見せる人用」のが多い。
ずっとそっちのほうに気がいってた。
だから見つからなかったのか。時間を無駄に過ごしてしまった。
早く買って、レンのところに戻ろう。
「これください。」
リンは会計を済ませると、早足でマフラー売り場に向かった。
「ねえクオ君。」
「ん?」
リンは丁度、品物のチェックをしていたミクオに声をかけた。
「レン知らない?」
リンがそうたずねると、少し間があいてから返事が返ってきた。
「そういえば、買って言った後、休憩所の方向に歩いていったなぁ。」
「ありがとう、じゃっ!」
リンは駆け足で休憩所に向かった。
「・・・あ、レン!買い物終わったよ!」
どうやら、少し寝ていたみたいで、レンは目がトロンとしている。
「ん、やっと終わったの?じゃ、帰ろう。」
「うん!」
2人は、1階のごった返す入り口に向かった。
「うわ、あいかわず人が多いねぇ。」
リンは嫌な顔をした。
「ま、とりあえず出ようよ。空気悪すぎ。」
レンはリンの手を引っ張って入り口に向かっていった。
「・・・はぁ、やっと出れたぁ~!!人多す・・・あっ!」
ふと上を向いたリンにつられて、レンも上を見る。
「・・・虹だ~♪」
リンは満面の笑顔で言った。
「きれいだね!ねっ、レン!!」
「ん、そうだね。」
二人は、なんだか得をしたような気分だった。
リンは鼻歌を歌い、レンはそれにハモりながら家へ向かって帰った。
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mothy_悪ノP
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それすら心の中で静かに祈るだけ
あなたに会ってから私が過ごした日々は
一つの夢にすぎなったことを気づけました
あなたのことが好きすぎて僕は
嫌われるのを恐れ勇気を出さなかった
ある日見たのは幸せに笑う
あなたのそばにいる知らない人だった
そしていつの間にか吸ってい...表現
rlrP
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ご意見・ご感想
初音ミミック
ご意見・ご感想
おお、ジェミニに小さな奇跡が…
ほんわかしますね~~^^
番外編ですか!名目は何でも、おもしろいので待ってます^^
2010/08/09 17:10:42
かたつむり
最後のほうでこういうオチです。^^
ほのぼのしたの書くの結構すきですw
番外編・・・です^^本当は雨の中でもやるっていうのを書こうとしたんですが、
ちょっとやる気が続かず・・・ハイ←
2010/08/09 17:15:24