-蜂蜜-
頭に卵の白身をぬると、髪の毛が凄く綺麗になるって言うのを聞いたことがある。なんで聞いたんだか、そんなことは忘れてしまったけれど、何かで見たようなことは覚えている。
やってみようか、と思ったが、あいにく冷蔵庫には卵がない。
買いにいく前に誰かに頼んでみたほうがいい、とリンはめぼしい人物の部屋へと走っていった。
「どうしたの、リン。あ、アイス食べる?」
そういったのは、カイトだった。この家の中で、一番頼りがい…というよりは、利用しやすいのはカイトだった。だまし易く、楽だ。
「あのねー。卵かってきて欲しいの」
「どうして、また」
「カイト兄にオムレツ作ってあげるから」
「えーどうしよっかな。オムレツならめーちゃんのほうが美味そうだし…」
「…リンの、食べたくないんだ?ならいいもん。レンにだけつくるもん」
「ごめんごめん。買ってくるよ」
心の中でガッツポーズをした。
二十分ほどして帰ってきたカイトは、少しご機嫌だった。どうせ、アイスを買って帰ってきたのだろうから、とりあえず礼だけ言って、キッチンにこもる。
白身を頭にぬるといいらしいし、卵の殻と中身の間にあるあの薄皮もパックになるとかいうのを聞いた。
薄皮を顔にびっとりとはって、ボウルに出した卵の白身を掬い取って、頭につけた。ひんやりとした感覚と、ぬるりとした不快感が同時に伝わってきて、リンは顔をしかめた。しばらくして、がちゃりとドアを開く音がした。
瞬時にリンが身を縮める。
入ってきたのは、カイトだった。どうもリンのほうを見てはいないらしく、何も驚いた様子はなく、食器棚の上にある蜂蜜が入った瓶を取ろうとしているらしい。
手を伸ばしても取れないようで、脚立を出してきて手を伸ばすが、やはりあと少しでとることができない。
「ねえ、リン。手伝ってくれない、取れないんだ」
「カイト兄、あぶな――」
そこでやっとリンのほうを見たカイトの表情からは、驚きしか読み取ることができなかった。
動揺で、足場を踏み外しそうになって脚立が揺れる。
脚立が揺れたかと思うと、カイトの手に触れた瓶がぐらりと底のフチでゆれて脚立が倒れるのと同時に、カイトの頭にまっすぐに落ちてきた。
ガシャン!!
そんな音の後、カイトの頭は黄色い蜂蜜と赤い血でぐちゃぐちゃになっていて、見るに見られない光景だった。
音に驚いてやってきたメイコがドアを開くと、蜂蜜と血だらけのカイトと頭に白身を乗せて顔に卵の薄皮をくっつけたリンがいた。
「…」
無言のまま、メイコはドアを閉めた。
その後、しばらくカイトとリンにキッチン立ち入り禁止令が出たのは、言うまでもない。
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ご意見・ご感想
リオン
ご意見・ご感想
こんばんは、返事が遅れてしまってすいません><
血とは蜂蜜と青い毛髪…!?それなら私が食べておきます!!!カイト覚悟ッ!!
リンは常にチャレンジ精神を忘れません。常に上を目指して十四年です(笑
え?何言ってるんですか?カイトは利用しないで何するんですか。軟弱そうだし。
メイコの判断は妥当だと思いますが?修理なんかに出したら前々回と同じことに…。
カイトにまともな道は残されていないのです。
え、ほのぼのじゃないのですか?ほのぼのじゃなかったら何だって言うんですか?
カイトの不幸=ほのぼーの。ふーんわり。
祈らなくたっていいですよ♪違いませんから。
うえあいッ!?侮れぬな…。ええい、ならばならば…!
わ、童はそろそろ行く。また会うときまで、精々その命、大事にしておくがいい!!(←何かを間違えた)
2009/09/12 21:10:39