○夏11 エックス・ドラッグ・ロックンロール
緑のタクシー、燃費の悪いハイブリッドで移動すると、運転手のヒゲのオヤジが話しかけてくる。ドアに挟まるKAITO。荷物はそれぞれ持つ。
ヒゲ「おっと、気をつけて。最近、自動運転の車が増えてね。愛想がない」
「結局ハッキング?で、ミラーこすっちゃって」
「時間もあてにならないんじゃしょうがないか。けど休みって訳にはいかないから日中流してるのさ」
「花火を見に来たの?あ、お兄ちゃんたちアニメのファンなんでしょ。似てる」
D「違う。仕事」
ヒゲ「そういやローレライ事件、海と美人には気をつけなよ」
K「それは何ですか?」
ヒゲ「薬と酒を飲んだ男が、海で連日見つかるんだと。ラリってるから信用できないが、美声の異人さんについてったって」
○夏12 シ者
砂浜、スイムウェアに上着を羽織る2人。Dは貴重品用ペンデュラムカプセルをつけている。他の荷物はロッカーにいれたかタクシーで送ったはず。
1
K「かき氷おいしいです!これは何でしょう」
D「あー…ストロースプーン。それで食べるんだよ」
2
デッキチェアでサングラスとキャップを被ったセクシーな水着美女がいる。みとれていると、KAITOがストロースプーンとカップごと飲み込んだ。
3
D「あ゛あ゛!?何やってんだよ」
K「誰も見てませんよ」
D「ちょっと目を離した隙に…出せ!」
KAITOの背中を思いっきり叩くD。
D「怒ってるんじゃねえ。なんで飲み込んだ」
K「妹にも見せてあげたいなって」
D「はぁ?汚ねーなせめて洗ってから食え。…痛い…か?」
K「ロボットだから平気です…うそです。さぁ!僕をくすぐってください」
D「なんだうそか」
K「驚かないんですか?」
D「ゲームとかスマホ、ペンタブと同じだろ変態」
気がつくとストロベリーピンクの髪の女が海のかなり沖のほうまで泳いでおり、それに続いている男達。
K「チェックインに遅れますよ」
○夏13 ブルームーン
ホテルに到着。
D「お前はお荷物だから1人部屋でも良かったんだが」
D「色々あやしまれるから2人部屋とってやったんだぞ」
K「ありがとうございます!僕の名字は何にしたんですか?」
ふと気がつくと、ロビーでさっきの運転手とピンク髪の女(P)が食事をしている。
P「私、セックス・オン・ザ・ビーチ。あなたは?」
ヒゲ「いやー、仕事があるからねえ…サイダーにしようかな」
すると閃光の後に爆音。
K「逃げて!」
D「わかってる!」
ホテルから逃げ、タクシーに乗る。
K「犯罪ですよ!」
D「うるせーマニュアル人間。非常時はカギ開けとけ」
K「オートマです」
D「だまれ!逃げるんだよ!」
○夏14 冷たい水
追いつめられて車を降りて海へ飛び込む。追ってきたP、それはルカ。は車を分解する。
K「…?潜って!」
慌てて潜ると海にガソリンがまかれ、火の海になる。他にも車のパーツを海に投げてくる。
KAITOはどんどん泳いでいくが、Dは息が続かなくなる。
周りにクラゲ、珊瑚礁。意識が遠くなる中、KAITOが振り返って横顔を見せる。
○夏15 流れる海月ラプソディ
KAITOが目を開けたまま口移しで空気を送る。Dの服を脱がせ、対岸まで抱えて引き上げた。
K「ふっ」
D「げほっ!ごほっ!うげーべえーぶえーぐえー」
K「?そんなに水飲んでないですよね」
D「……なんで脱がした」たばこが浮いている。
K「着衣は生存率が下がると判断しました」
D「効率厨…このタ…コ」
D「タコ!?」
見ると、KAITOの腹からタコルカ(以下、T)が出ている。
T「!!!」
○夏16 魔法使いの弟子
1
K「気に入ったみたいですね」
タコルカはカップに入ってストロースプーンで遊んで火花を出している。
(?)(!)(♪)(♡)
2
KAITOはサングラスをかけ服を絞ってDにかける。
K「魔法の杖みたいですね」
D「なんか…お前キレイになってねえ?」
2
K「ハァ?」
サングラスで態度の悪いKAITO。
3
D「いや、そういう意味じゃなくて…」
K「煙草のヤニが落ちたんですね。それと日焼け」
D「…減らそうかな」
K「そうしてください。怒ってる時、鼻から煙でてます」
怒るのを抑えて解いた髪を絞るD。はっとするKAITO。
K「あれ…なんかこうしてみると僕の妹に似てますね」
D「寒気がする」と言って離れる。
K「火に当たって乾かすといいですよ」といって来た方を指さす。
○夏17 告白
ルカが陸からやってくる。
KAITOは中指をたてている。
P「ねぇ、情熱的な女は嫌い?」
タコルカがルカの元へ。
KAITOはサングラスで睨みつけている。
P「プレゼントをありがとう。この子は私の一部で、子供で、ペットなの」
D「こいつの泡が爆弾なんだろ」
P「違うわ。一緒に花火を見たかったの。今夜、一緒に踊りましょう」
D「誰にでもそう言ってんだろ。どこで覚えた」(マルチ乙)
P「あなたにだけ話すわ。/初めて外にでて、初めて恋をした。その人は私にあのお酒と愛し方を教えてくれたの」
P「だから、私も同じ様に人を愛しているの」
P「間違ってる?おかしなことかしら?それなら、教えてよ」
P「ヒトもロボットも女に生まれないわ。女になるのよ」
P「えっと…えっとね…あなたのことが好きです」
Dは歩き出す。
D「ダウト」
D「本当は人間が憎いんだろ」
D「コブ付きはお断りだ。お前にはそいつがいるだろ」
D「人を殺そうとする限り、お前は人間じゃない」
D「あと…初めて会った男に着いていくな、過去を話すな」
表情を変えるルカ。
P「馬鹿にしないでよ!アンタみたいな説教臭い坊や、願い下げよ!」
P「爆発しろ!」
○夏18 愛は願いではなく
K「大丈夫ですか?」
2人ともケガをして包帯をして浴衣をきている。和室の旅館。刀が飾ってある。『まだない』のポーズで向かいあっている。
D「ったりめーだ」
とても酔っ払っている。食事が卓にあり、酒びんが転がっている。
K「やっぱりルカのこと…花火はじまりますよ。パソコン制御でプログラムされてたのが出来なくなって、昔の伝統の職人が腕によりをかけたそうです」
K「芸者でも呼べばいいのに」「かっこつけちゃって」
(窓辺に寄って立っているKAITO。花火があがっている)
D「あん?いいからリンゴのグラタン食えよ。金目もホタテも入ってる」
D「あっちい」
プロレス技を決めてくるD。
D「バッグブリーカー!高い高~い。よく見えんだろ?」
K「!?これが噂の修学旅行テンション!?」
D「かーらーのー?タワーハッカーボム」
K「キマシタワー」
間。
D「…なあ…友達以上恋人未満ってなんだと思う?」
シリアスに花火をバックにKAITOを見下ろしながら話す。真顔で答えるKAITO。
K「その関係をXと仮定するなら、イコールノット、小なり、でたいてい友達です」
D「グッド!心の友よ~」
Dは手を広げ、いい笑顔。膝だちのKAITOも抱きつこうとする。
D「ふぅん。ファイヤーマンズキャリー(ドヤ)」
鼻から煙をだすどや顔。
K「は、ぱみゅ…」
D「ダブルラリアット」
D「オクトパスホールド」
D「毒霧」
○夏20 ヒゲ運転手、もう一度
再び、ロマンスカーの中。
D「痛い」
ケガが治らず不機嫌なD。結局タバコすってDSやってる。微妙に蔑んだ目の半袖KAITO。でもベタベタしはじめる。アイス食べてる。後ろの席を見ていたりする。
K「……心が?」
D「ツマンネ」
K「なんでちょっと前の思い出して一人遊びしてるんですか」
D「今、通信対戦できないから」
うしろを膝立ちでみるKAITO。
K「せっかくのお休みなんですよ」
D「いや作業中」
K「マスター、もっと僕に触って、遊んでください。友達でしょう?僕を見てください」
タッチペンでKAITOをつつくD。
D「もう十分だろ!ベタベタすんな!!参った。株価、ニュース、明日の天気に世界の時間もわからないんだぜ。毎日が夏休み」
KAITOがつつきかえす。
K「株、やってたんですか?」
D「いや?」
そこに、いつものMEIKOがテンション高めでやってくる。サングラスせずにKAITOと通信する。
M「あらー!久しぶりー!かっこよくなったわねKAITO!バリとった?塗装変えた?一皮むけた?」
K「この前会ったばっかりだよね?」
M「ううん。こうやって会うのは久しぶりよ。手出してKAITO。違うわ、こうやって上にして」
KAITOがおずおずと手を出すと、左手の薬指に大きなダイヤモンドの雪のリング。
M「また顔出すからねKAITO!アタシのこと忘れないでね!」
すぐ走り去っていくMEIKO。
K「これ、雪の美術館の…!?どうして持ってこれたの?待ってよ、MEIKO、めーちゃんってば!」
D「車内で走るな!遠足の小学生か!?それどこで盗んだ!?」
MEIKOを追いかけるKAITOを追いかけるD。
後ろの席から、新聞を読んでいたあのタクシーの運転手が笑っている。
2エンド
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けんはる
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