「レミー!レミー!!」

「はーい!」
夕暮れ時、僕はボールを置いて家の中に入る。昨日のお仕置きの仕事が朝方までかかってしまっていた僕は、昼過ぎに起きてそれからほぼ一日中外でサッカーボールと遊んでいた。

「レミー!あなた今日の勉強サボったでしょ!」
僕が食卓に着くとサンタさんが怒った顔をして、僕に言ってきた。

「えへへへ…」
僕は手を洗って来ると言って洗面所に向かいごまかした。僕は学校に行っていない。サンタさんがあんなところに行ってると駄目な大人になるって言うんだ。代わりに勉強はサンタさんが教えてくれている。でも、僕はあんまり勉強が好きじゃないから、たまに…ホントにたま~にサボっちゃうんだよね。

「レミー!あなた勉強サボったの今週で5回目じゃない!!」
うわ~んサンタさんまだ怒ってるよ~。だって、つまらないんだもんサンタさんの授業。お仕置きの練習とかはまだ楽しいんだけど、数学とか政治学とかってホントに退屈…

「次、サボったらサッカーボール没収だからね!」
そんなぁ~。せっかく一生懸命働いて買ってもらったのに~。

「わかったよ~…」
そうテキトーに言って僕は今日の晩御飯の唐揚げに手を伸ばした。

「コラッ!!いただきますは!!」

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「レミー、今晩の仕事なんだけど…」
食事の最中にそう言ってサンタさんは僕に一枚の紙を手渡してきた。そこにはなんだか豚みたいに太った男の人の写真と、その人の今晩の予定が書かれていた。

「この人が午前2時ごろに、ロールド街ルロード二丁目の得意先の屋敷から出て来たところを狙って欲しいの。」

「うん、分かった!」
僕はサンタさんから仕事を頼まれたことが嬉しくて元気に応えた。

「でも…」

「どうかしたの?」
僕が下を向いて小さく呟くと、サンタさんが怪訝そうな顔をして聞いてくる。

「また太った人なんだね!」
僕はここで、満面の笑みで顔を上げる。

「フフ、太った人は嫌い?」
サンタさんも微笑んでそう聞いてくる。

「ううん、だーい好き!だってそっちの方がお仕置きのしがいがあるもん!」
そうね。とサンタさんは満足げに笑う。

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「じゃあ、『五番目のピエロ』さん行ってらっしゃい!」
いつもの衣装に着替え、顔を白く塗った僕の頭を撫でながらサンタさんが言う。

「うん!行ってきます!」
僕がそう言うと、サンタさんが扉を開ける。僕は蝋燭の炎に照らされた玄関から元気よく街に飛び出していった。魔性の檻はもう開かれ、火の輪を猛獣は潜った。
街には誰もいない。だぁ~れも見ていない。

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月は今夜も綺麗で、ルロード二丁目を照らしていた。静かな通りに突如響いた笛の音。

「だ、誰だね君は!?」
しかし影は応えない。うろたえる男に銀のナイフが突き立てられる。

『Ⅴ』

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翌朝、ロールド街ルロード二丁目の屋敷の前で、一人の男の骸が発見された。しかし男の最期を見た者はだぁ~れもいなかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

母の温もり―五番目のピエロ(Ⅱ)―

mothy_悪ノP(http://piapro.jp/mothy)さんの五番目のピエロ(http://www.nicovideo.jp/watch/sm14639165)を二次創作満載で小説にさせて頂きました。
今回の話は結構歌詞にない部分を創作(でっち上げ)ました(^^;)
この曲は4:26あるのですが歌詞の量的には他の曲より少ない気がします。急展開になりすぎてもと思って追加してしまいました。すみませんm(_ _)m


続きはこちら(http://piapro.jp/t/MQPZ

閲覧数:708

投稿日:2011/07/02 15:01:41

文字数:1,386文字

カテゴリ:小説

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