目立たないように、サッと入ってきて、通り過ぎようとしたモモちゃん。
「あれ?」
店内に、おなじみの顔があったので、足を止めた。
カフェ・つんでれの店内には、テーブルに顔見知りの3人が座って、お茶を飲んでいた。
ほかにはお客はいない。
「あ、モモさん」
「霧雨さん。いらっしゃいませ」
「これからですか」
「ええ、そうなの」
にっこり笑う霧雨さんに、モモちゃんはうなずいて、彼女の連れの、他の2人にも会釈をした。
そして、カウンターの奥のスタッフルームに入っていく。
「あ、もうじき5時半ね。バー・タイムになるのか、ここ」
「そうか」
霧雨さんの連れのりりィさんがつぶやいた。
もう一人の連れの、コヨミ君もうなずいた。
●HAPPY BIRTHDAY!
「どうも、お疲れ様です」
モモちゃんがスタッフルームに入ると、あとからメイド姿の咲弥さんが入ってきた。
「あ、咲弥さん。お疲れさまでした~」
カフェ・つんでれは、咲弥さんが、昼の部のカフェ・タイムに働いて、
そして5時半からのバー・タイムは、モモちゃんが店に出ている。
「モモさん、これ…」
さりげなく咲弥さんが差し出したのは、小さなカードを添えた一輪の花だ。
「あら」
「お誕生日、おめでとうございます」
「どうもありがとう」
顔を赤くして、モモちゃんは受け取った。
●作戦の続きを話そう…
身支度をして、咲夜さんと入れ替わりに、モモちゃんは店に出る。
お客の3人が、ニコニコ笑っている。
「きょう、お誕生日なんですって?モモさん、オメデトウ」
霧雨さんの言葉に続けて、他の2人もお祝いを言ってくれた。
「ありがとうございます。照れちゃうな」
そういながら、モモちゃんは、テーブルの3人のグラスに水を注いだ。
カウンターには、バーテンダーに服に着替えた、モモ兄さんこと吉さんが戻ってきた。
後ろの棚の引き戸を開け、ライティングを変える。おしゃれな洋酒が、並ぶ空間になった。
お店のBGMも、明るいPOPSからジャズ調に変わる。
「なんか、いい雰囲気ですね」
この店には初めて来たコヨミ君が、感心したように、周りを見回して言う。
「でしょう?夜のつんでれは、オトナの店なんだよ」
霧雨さんが、生意気そうな表情で、彼をさとした。
「さて、では、ちょっとだけお酒を飲んで、続きを話しましょうか」
りりィさんが、バー・タイムのメニューを開きながら、言った。
「テト・ドール“デビちゃん”の、これからの売り出し作戦について、ね」o(゜ー゜*o)
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
初めまして! enarinと申します、宜しくお願いいたします!
貴方の小説は、今回から拝読参加させて頂きますね。
今では誕生日を祝ってくれるのは母だけになりましたが、年齢問わずでお祝いは嬉しいですよね。
私もボカロ小説をここに投稿しているので、大変勉強になります。短文でまとめる事って大事ですよね。
それでは、今後とも宜しくです!
2012/06/07 17:57:41
tamaonion
enarinさん、はじめまして。
話を読んでくださって、どうも有難うございます!
どうぞよろしくお願いします。
誕生日は、やっぱり嬉しいものですよね。
たまたま、桃音モモというキャラクターの誕生日が、この間の5月下旬にあったので、合わせて書いてみました。
私もenarinさんの小説、読ませてもらっています。
言葉を大事に選んで、文を書かれる方だなあと思っていました。
これからも、読ませてもらいます!
それでは、また…
2012/06/07 22:00:08