タグ:阿良々木暦
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「そうなの?こんど、ミクさんが絵本を作るの?」
ルカさんはそういって、ミルフィーユをひとくち、口に運んだ。
「ええ、そうなんですよ」
コヨミ君はうなずいて言った。
「それも、絵本といっても、4コママンガと絵本をミックスしたみたいな、です」
「へえ、面白そうね」
ルカさんは、にっこりと笑った。
ルカさ...玩具屋カイくんの販売日誌(305) はねっ返りのトートバッグ
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「アリガトー!」
女の子たちが叫ぶ。
「ワァーッ」という、すごい歓声が、ステージに向かって押し寄せる。
ホールの壁ぎわで、その様子を見ながら、ひとりの女性がつぶやいた。
「ふーん、すごいものですね。ガールズ・バンド...。元気、いいですね」
その横で、青年があいづちを打った。
「そうでしょう。ひらい...玩具屋カイくんの販売日誌(300) バンドが、絵本の主人公!
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すごすごと、厨房へと戻っていくソラ君を見ながら、
テトさんとミクさんは、話を続けた。
「絵本ね。4コマ漫画風の、か。面白そうね」
「でしょう。ほら、あの...。“となりの猫山さん”みたいな? あんな感じのホノボノ系で、さ」
そう聞いて、テトさんは、ニヤッと笑った。
「ああいう、日常系の、絵本とかマン...玩具屋カイくんの販売日誌(297) オシャレな絵本? マンガ?
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「ねえ、お昼一緒に食べようよ」
昼食の時間。リンちゃんは、彼女の教室で座っているサナギちゃんに、入り口から呼びかけた。
「え?うん。いいよ」
彼女とリンちゃんは連れ立って、校舎の裏手の小さいベンチに腰かけた。
ふだんはリンちゃんは、クラスの友達と騒ぎながら、お昼の弁当を食べる。
一方、サナギちゃんは...玩具屋カイくんの販売日誌 (281) 追跡、開始!
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レイムさんと紙魚子さんは、暦君たちと別れて、ニコビレの廊下を歩いていた。
「でも、そのサナギちゃんっていう子、大丈夫かな」
紙魚子さんは、つぶやく。
「うん、大丈夫だよ。ワタシの勘だけど」
横でうなずく、レイムさん。
「いつも、妙な自信があるね。あなたには」
そういって、レイムさんをみつめる。
「う...玩具屋カイくんの販売日誌 (279) “はっちゅーね”は、きっと、私たちの味方
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「ツクヨミの話になると、アナタは目の色が変わるのね」
ニガ笑いしながら、紙魚子さんが、レイムさんに向かって言う。
「そういう訳じゃないけど。でもね」
レイムさんは、人差し指を立てて言う。
「今回、ミクさんの“リンリン・はっちゅーね”の仕事が無くなった事。それは、ツクヨミの月光企画にとって、かなりな“...玩具屋カイくんの販売日誌 (278) はっちゅーねは、「育てる」もの
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みんなは、ミクさんのカバンについた人形を見つめる。
「不思議ですね。実はボクのとこにも、そういうメールが届いたんですよ。地下鉄に乗ってたら」
「そう、それで、バスに乗り換えたワケね」
暦君のことばに、紙魚子さんがうなずく。
「ここ、わたしたちの方では、人形がしゃべって...。暦さんの方では、メールの...玩具屋カイくんの販売日誌 (277) よからぬ力?
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暦君は、スマホの画面を見返した。
さっきの妙な着信の、履歴は無かった。
「おかしいなぁ。オレの勘違いだったのかな」
首をかしげながら、ポケットにしまう。
ともあれ、地下鉄は降りてしまった。はやく、ミクさんたちの所に向かわなければ。
あたりを見渡すと、向こうにバス停がある。
「そうだ、たしかこの辺から...玩具屋カイくんの販売日誌(276) ニコビレのみんな
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「この、“はっちゅーね”というのは、誰だ」
暦君はそう思った。
「おれ、寝ぼけて変な名前を登録したかな」
さっきの変な車内アナウンスといい、ほかの乗客が皆、ぐっすりと眠り込んでいることといい。
「変だなぁ」
そう思いながらも、どうも落ち着かない。
そろそろ、次の駅が近づいてくる。
彼が降りる駅は、あ...玩具屋カイくんの販売日誌(275) 暦君の途中下車
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妙な着信メール。
彼はメールを開いてみた。
そこにはこう書いてあった。
「ソノ電車、降りたほうがイイヨ。コヨミサン」
「なんだよ、このメール。誰だ?...“はっちゅーね”?」
わけがわからない。
自分で登録していないのに、文字で“はっちゅーね”と発信されるのも、変だ。
ガタン、ゴトン。
次の駅が、近...玩具屋カイくんの販売日誌(274) 地下鉄のアナウンス
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ミクさんとの通話を切って、暦君はスマホをしまった。
「コヨミさん、すみませんね。追い出しちゃうみたいで」
恐縮顔で言うオーナーに、彼は首を振った。
「いえいえ、いいんですよ。また明後日、お邪魔させてください」
「喜んで。お待ちしてます」
オーナーに挨拶をして、暦君たちは、スタジオの扉を出た。
いまま...玩具屋カイくんの販売日誌 地下鉄の着信(273)
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3人は顔を見合わせた。
ドールがしゃべった。
「しゃべったねえ」
おどけた調子で、ミクさんが言ったので、思わず皆は笑ってしまった。
「しっかし。こうヘンな事が続くと、もう驚かないよ」
つぶやくミクさんに、レイムさんが聞く。
「このキーホルダー、しゃべる機能ついてるの?」
「いえ。おなかを押すと、“は...玩具屋カイくんの販売日誌(272) はっちゅーねの予言
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ミクさんは、ぽかんとした顔で、レイムさんを見つめた。
「なんだか、不気味ねえ。ねえ、でも、サナギちゃんは、大丈夫なのかな」
そういって、腕時計に目をやる。
そして、ニガ笑いをしながら、紙魚子さんに向かって言った。
「きょうは、この話のほかに、これからの別の仕事のアイディアの、相談もしようかと思ってた...玩具屋カイくんの販売日誌(271) 行かない方がいいよ
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人の心を見透かすように話すレイムさん。
ミクさんは、少々面食らいながらも、思わず話にのめり込んで行った。
「事件が起こりそう、って...。いま、どんな感じなんですか」
問いかけるレイムさんに、説明するミクさん。
以前から、“勝手にしゃべりだす”とか、不思議なうわさがあった人形、“はっちゅーね”。
今...玩具屋カイくんの販売日誌(268) 謎の会社って?
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月光企画という会社について、話し始めた紙魚子さん。
明るい日差しが窓から差し込んできて、おだやかなひと時だった。
でも、話の内容は、それとは似合わない、ちょっと不気味なものになった。
「いろんなとこで、今までよく、聞いてきたのよ。“神隠し”が起こるってこと」
メガネの奥の大きな目をしばたかせて、彼女...玩具屋カイくんの販売日誌(262) 彼女の行方
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「サナギが、行方...不明」
「そうなんですよ。バンドのみんなで、連絡を取ろうとしてて。ちょっと用事があってね」
コヨミ君は、困ったような声で言った。
「でも、昨日からどこにいるのか、わからないんだ。家にも、帰ってないみたいだし」
立ちつくすリンちゃん。コヨミ君は言う。
「何かわかったら、連絡します...玩具屋カイくんの販売日誌(261) 起こっちゃった!?
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コヨミくんの言葉に、テトさんとマスターは、びっくりした。
「えっ、行方不明って、なに? どうしたの」
コヨミくんはコーヒーカップを置くと、ちょっと考え込むようにして続けた。
「ええ。昨日ですけど、ボクの店の“鑑定団”に、リンちゃんのお兄さんのレンくんが来たんですよ」
「うん」
「その時、彼、心配そう...玩具屋カイくんの販売日誌(240) 妹が行方不明で
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だんだん、大きなヒットになっている“リンリン・はっちゅーね”。
でも、その裏に見え隠れするウワサの“妙な会社”…。
そんななかで、そのライバルとしてやっぱり人気が出始めているのが、“テト・ドール・ナチュラル”だ。
作者の雑貨アーティスト、テトさんのお店「カフェ・つんでれ」。
ここで、彼女と、仕事の仲...玩具屋カイくんの販売日誌(239) リンちゃんが一昨日から…
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レンくんは、少し心配そうに言う。
「あいつ、何か最近、落ち込んでるようなことが多くて」
「あら、あのいつも元気なリンちゃんが?」
ゆくりさんは、聞き返した。
彼は話をやめて、手に持ったガチャのカプセルを、筐体に入れ終えた。
そして話を続けた。
「うん。あいつの部屋に行っても、ぼーっとしてることも多い...玩具屋カイくんの販売日誌(236) 妹がヘンなんです
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「ハミングス」にあるレストラン「カフェ・ドナ」。
さきほどまで遅い昼食をとっていた、ルカさんとたこるかちゃんはそれぞれの仕事に戻った。
いまは、女の子のお客が1人いるだけとなった。
「ふん。さすがに美味いな。ここのカレー」
そう、つぶやいて、駿河ちゃんはコンパクトキーボード「ラメポ」を取り出して、メ...玩具屋カイくんの販売日誌(218) テト・ドールの新製品!
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「おや、いらっしゃい」
入口のドアが開いて、「カフェ・つんでれ」に入ってきたのは、霧雨さんだった。
「どーも」
傘を閉じて傘立てに入れながら、彼女はそうつぶやいた。
「まだ、雨が降っていますか?」
マスターの吉さんが尋ねる。
「うん。まだ。大分小降りになってきたけど」
そういって彼女は、カウンターに...玩具屋カイくんの販売日誌(215) 「つんでれ」で、オカルト談義!
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キャラクター雑貨のお店「ゆっくり」に、お客でやってきた駿河ちゃん。
彼女は、お店でバイトをしているレンくんと、顔見知りだった。
「たまに、ライブハウスで会いますよねッ。へえ、ここでバイトをされてるんですかぁ」
駿河ちゃんの言葉に、レンくんは頭を掻く。
「ええ、雑貨が好きなもんで。ええと…」
「あ、あ...玩具屋カイくんの販売日誌(209) 「ゆっくり」と、駿河ちゃん
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ブースの前で、コヨミ君と、れおんさんは、にらみあって立っていた。
ザワザワ、と騒ぎ出した男の子たち。
それを見て、テトさんは思わず、コヨミ君に声をかけた。
「ねぇ、どうしたの? もめ事はよくないですよ」
フッと我に返ったように、コヨミ君は彼女の方を見た。
「あ、テトさん。ごめんごめん。ちょっと、大人...玩具屋カイくんの販売日誌(194) 新商品で勝負だ!
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霧雨さんのブースの前で、ルカさんとテトさんは久々に声を交わした。
「元気?ルカちゃんのとこの商品、相変わらず、いい調子ね」
「テトのとこの、テト・ドールも可愛いよね」
仲良く話す2人。
じっさいには、テトさんの方がかなり年配なのだが、タメ口を聞く間柄だ。
2人ともその方が、気が楽であるらしい。
意気...玩具屋カイくんの販売日誌(193) リンちゃんキャラの取りっ子に!?
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霧雨さんのブースに向かって、ルカさんがゆっくりと歩いてきた。
「ルカさん!」
「たこるかちゃん、おつかれサマ」
彼女は、たこるかちゃんに向かって微笑んだ。
「あら、れおんさん。どうしたの?」
たこるかちゃんは、ルカさんにこれまでのいきさつを、手短かに説明した。
「そうなの!れおんさん、リンちゃんと“...玩具屋カイくんの販売日誌(192) リンちゃん+“はっちゅーね”の行方は?
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展示会の会場で、霧雨さんのブースの前の、ゴタゴタは、まだ続いている。
「ネエ、たこるかチャーン、ボクが悪者でないことを、皆サンに言ってクダサイヨ」
皆に白い目を向けられたおじさん、ジローラモ・れおんさんは、困ったように言った。
「うん。悪者かどうかは、別としてさ」
皮肉っぽく、たこるかちゃんは片目を...玩具屋カイくんの販売日誌(191) リンちゃん+“はっちゅーね”の新キャラ?
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展示会の、ブースの前で、しつこくリンちゃんにからんでいる、謎のオジサン。
その前に立ちはだかったのは、霧雨さんだ。
「あのねぇ、ここ、うちの出展ブースなのよ。妙にからまれると、みんな困るんだけどサ」
ちょっと気だるそうに、落ち着いてしゃべる彼女。
落ち着いている分だけ、そこに恐ろしさがある。
オジサ...玩具屋カイくんの販売日誌(190) リンちゃん攻防戦、第2ラウンド!
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「はいはい、並んでね。あ、通路にはみ出しちゃダメよ」
会場のブースには、男の子たちの長い列が出来ている。
雑誌をメガホンのように丸めて、それを仕切っているのは、霧雨さんだ。
雑貨とキャラクター雑貨のショー「雑貨&コミックフェア」の会場。
その一角で、時ならぬ“ミニミニ撮影会”が起こっていた。
ちょっ...玩具屋カイくんの販売日誌(186) ミニ・イベント in イベント?
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「雑貨&コミックフェア」の会場は、ますます、お客さんが増えてきた。
テトさんとコヨミ君がいるブースにも、先ほどからたくさん来場者が詰めかけている。
テト・ドールをはじめ、陳列している商品の説明で、2人とも大忙しだ。
ひとしきり、お客の流れがとだえたところで、テトさんはフーッと一息をついた。
「バイヤ...玩具屋カイくんの販売日誌(185) 楽しいナチュラルグッズ、スタート!
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「あ、おかえりなさい」
テトさんは、ブースの前で言った。
「ええ、どうも」
コヨミ君は軽く頭を下げて、笑いながら答えた。
「いろいろ、面白いブースが出ていたよ」
東京ビックサイトで開かれている「雑貨&コミック・フェア」。
テトさんたちが出展しているブースに、会場を回って他のブースを観てきた、コヨミ君...玩具屋カイくんの販売日誌(184) テト・ドール ナチュラル・シリーズ!
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