一緒に譜読みを始めた時から、しきりに目をこすっていたのでこうなるだろうと思っていた。
ソファーに沈み込み静かな寝息を立てる彼女の手からそっと楽譜を抜き取ると自分の分と一緒にまとめてテーブルの上に置くと起こさないようにそっと抱き上げると彼女の部屋へと運ぶ。
リビングから部屋に運び、ベッドに横たえても未だ深い眠りの中。
多少の振動でも起きないと言うことは、よほど疲れていたんだろう。
頑張り屋の彼女には、少し『ほどほど』という言葉を覚えて欲しいところだ。
レディの寝顔をじっくり見るなんて事はマナーに反すると分かっていても、彼女の安らかに眠る顔から眼がはなせなかった。
顔に影を落とす長いまつげに柔らかな曲線を描く頬。
プックリ膨らんだみずみずしい唇。
起こさないようにそっとその唇に触れてみる。
今はかすかに息を繰り返すだけのこの唇から飛び出す言葉には何度、救われただろうか。
手はそのまま上に上がり額に掛かる碧の前髪を払う。
見えるのは自分と質の違う白い肌。
思い知らされるのは、自分とは違い精巧に万人から愛されるように作られたボディ。
肌の色も同じ白といってもこうして比べてみれば本物度が全く違う。
比べるたびに感じるのは劣等感といつまでも共にありたいと願うアサハカな考え。
そんな自分が疎ましく、彼女の姿をみていられなくなり視線をそらした。
『おにいちゃん』
耳に届くその声に起こしたのかと思い、視線を戻せば相変わらず彼女の唇は浅い呼吸を繰り返しているだけだった。
ホッとするのと同時に彼女の瞳に自分が映らなかったことに少し残念な気がした。
『おにいちゃん』 ミクにこう呼ばれる度に自分が側にいることを許されるそんな気がする。
彼女の影が映る天井を見上げて目をつむる。
少し黙想した後、枕元に乱れている少し煌めく碧の髪を恭しく一房掬い取ると改めて枕元へとひざまずく。
「君がまだ、僕を必要としてくれるなら君が思う限り側にいて君のことを守るよ。」
髪にキスを落とし、頭を垂れた姫に忠誠を誓う騎士のように
コメント0
関連動画0
オススメ作品
それは、月の綺麗な夜。
深い森の奥。
それは、暗闇に包まれている。
その森は、道が入り組んでいる。
道に迷いやすいのだ。
その森に入った者は、どういうことか帰ってくることはない。
その理由は、さだかではない。
その森の奥に、ある村の娘が迷い込んだ。
「どうすれば、いいんだろう」
その娘の手には、色あ...Bad ∞ End ∞ Night 1【自己解釈】
ゆるりー
陰謀論者の脅しに屈するな
自称神の戯れ言に耳を貸すな
ヤツらの甘い言葉に惑わされるな
自分の正しさを武器にして
あらゆる愚行に異議を唱えても
結局自分も同じ穴のムジナだから
考え過ぎて馬鹿になってはいけない
所詮僕らは人間だ
硝子の破片を丁寧に拾っていては
誰だって生きづらいだろう...publicdomain
Kurosawa Satsuki
いったいどうしたら、家に帰れるのかな…
時間は止まり、何度も同じ『夜』を繰り返してきた。
同じことを何回も繰り返した。
それこそ、気が狂いそうなほどに。
どうしたら、狂った『夜』が終わるのか。
私も、皆も考えた。
そして、この舞台を終わらせるために、沢山のことを試してみた。
だけど…必ず、時間が巻き...Twilight ∞ nighT【自己解釈】
ゆるりー
(Aメロ)
また今日も 気持ちウラハラ
帰りに 反省
その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
なぜだろう? きみといるとね
素直に なれない
ホントは こんなんじゃない
ありのまんま 見せたいのに
(Bメロ)...「ありのまんまで恋したいッ」
裏方くろ子
A 聞き飽きたテンプレの言葉 ボクは今日も人波に呑まれる
『ほどほど』を覚えた体は対になるように『全力』を拒んだ
B 潮風を背に歌う 波の音とボクの声だけか響いていた
S 潜った海中 静寂に包まれていた
空っぽのココロは水を求めてる 息もできない程に…水中歌
衣泉
彼女たちは物語を作る。その【エンドロール】が褪せるまで、永遠に。
暗闇に響くカーテンコール。
やむことのない、観客達の喝采。
それらの音を、もっともっと響かせてほしいと願う。それこそ、永遠に。
しかし、それは永久に続くことはなく、開演ブザーが鳴り響く。
幕が上がると同時に、観客達の【目】は彼女たちに...Crazy ∞ nighT【自己解釈】
ゆるりー
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想