そうしてデザートを食べ終える。すると雅彦は自分の部屋に一旦引っ込み、すぐに小さな箱を持って出てきた。箱はミクをイメージするようなラッピングがされている。
 「はい、ミク」
 そういってその箱を差し出す雅彦。
 「雅彦さん、開けていい?」
 「ああ」
 そういってラッピングを開けるワンオフのミク。中にはミクのトレードマークの髪留めが二つ入っていた。見た目は普通のミクが身につけている髪留めである。一つを手にとって、裏を見るワンオフのミク。裏にはメッセージが書いてあった。
 "ミクへ、僕の時と同じように、これからも多くの人に未来を見せる続ける存在であることを願っています。 雅彦"
 もう一つを見ても、同じメッセージだった。そのメッセージに微笑むミク。雅彦はワンオフミクの誕生日プレゼントとして裏にメッセージを入れた髪留めを送ることが多かった。髪留めはデフォルトのデザインで、メッセージが変わっている程度だった。デフォルトの髪留めであれば、ワンオフのミクが身につける機会は多いし、どのような服を着ていてもそれほど不自然には見えないので、いつの間にか定番の誕生日プレゼントになっていた。
 「…雅彦さん、明日からこれをつけます」
 「…ありがとう」
 するとワンオフのミクが雅彦からのプレゼントを脇に置く。
 「…雅彦さん」
 両手を広げて迎え入れる姿勢になる雅彦。そんなワンオフのミクを抱きしめる雅彦。プレゼントの後に雅彦がワンオフのミクを抱きしめることは毎年セットになっている。
 「ミク姉、良いなー」
 そんなワンオフのミクをうらやましそうに見つめるワンオフのリン。二人が、二人以外にここまでのスキンシップを見せること自体が少ないのだ。
 「…レン、マサ兄みたいにしても良いわ」
 そういってふんぞり返るワンオフのリン。
 「…全く、偉そーに」
 そういいながらもワンオフのリンを抱きしめるワンオフのレン。しかし、さらに何かを思いついたらしく、何かありそうな笑みを浮かべるワンオフのリン。
 「レーンー、お姫様だっこして?」
 「…なんで要求がエスカレートすんだよ?」
 「…だめ?」
 「…ったく、しゃーねーなー」
 まんざらでもないのか、ワンオフのリンをお姫様だっこするワンオフのレン。お姫様だっこされてご満悦の様子のワンオフのリン。
 「…雅彦さん、私たちも負けられないです」
 「…え?」
 その幸せそうなワンオフのリンの様子を見たワンオフのミクのスイッチが入ったらしい。ミクの要求もエスカレートする。
 「…マサ兄は、今回の事態の責任を取って、ミク姉をお姫様だっこする義務があります」
 「マサ兄、ほらほら」
 ワンオフのリンとレンも二人を煽る。
 (なんでそうなるんだろう…)
 期待する三人の視線に固まる雅彦。とはいえ、雅彦の行為がきっかけであることは否定できないので、ワンオフのミクをお姫様だっこする雅彦。
 「…めーちゃん」
 「…KAITOは自重しなさい」
 その四人を見て、ワンオフのMEIKOに物欲しげな視線を送るワンオフのKAITOの要求を一蹴するワンオフのMEIKOだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初音ミクとリンクする世界 初音ミク編 2章18節

閲覧数:78

投稿日:2017/07/02 19:18:33

文字数:1,304文字

カテゴリ:小説

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