「リン!!」
閃光が止まって、目がなれたとき、レンは叫んでいた。
「リン・・・おいリン!!返事しろよ!!
俺らは・・・二人で一つだろ・・・
リンがいなくなったら・・・俺は、俺は・・・」
リンは目を閉じたまま動かない。
ミクはリンから後ずさった。
「ミク姉・・・リンは、リンはどうなったんだよ!!
・・・もう、だめなのか?」
ミクは、そっとレンに近づいて言った。
「リンちゃんは大丈夫。私がリンちゃんのNOISを吸い取ったから。
今はただ、バッテリーが切れてるだ・・・け・・・」
ミクがふらついて倒れる。
「ミク姉!!!!」
レンは倒れたミクの上体を起こした。
そして、少したってからほっと息をついた。
「大丈夫だ。ミク姉、充電が切れちゃったみたい。
・・・で、テト、ミク姉の言ってたことは確かなのか?」
テトは唖然としていたが、
「あっ、はい!確かめてみます。」
といって、目をつむった。
「・・・信じられない・・・
NOISが欠片も残さず消えています。再発する恐れはないでしょう。
レンさん、リンさんは無事です。」
テトは驚きと喜びが入り混じった声で言った。
「・・・よかった。本当に。本当によかった・・・・」
レンは、力が抜けたようにリンにうずくまった。
「・・・さっ、帰りましょ。ここにずっといても仕方がないわ。それに、またNOISが来るかも知れないんだから。」
そういって歩き出したメイコの足がはたと止まる。辺りをぐるっと見回してから、メイコは呟いた。
「・・・ク、ハクは何処に?」
考えて見れば、ネルとデルは破壊されてしまったが、ハクはショートしてしまっていたはずだった。
だが、ハクの機体は何処にも見当たらない。どう考えてもおかしかった。
「あんなに無理して・・・あの後動ける余裕なんて無かったはずなのに・・・」
皆は、一苦労して二人を運び、基地へと降りていった。
メイコは、治療用の台の上に寝かされているミクとリンに電源のプラグを差し込むと、近くにあったいすに腰掛けた。
そして両の掌に顔をうずめた。
30分もすると、二人の眼が開いた。
リンは、上体を起こし、不思議そうに辺りを見回した。
「ミク姉・・・?」
ミクは起きていない。
「あら、リンちゃん。起きてたのね。」
ドアが開いて、メイコが顔を出した。
「ミク姉は・・・私に何をしたの?」
「・・・わからない。本人に訊いてみなさい。まぁ・・・後から無理にでも聞き出すけど。」
そういうとメイコは、もとの椅子に静かに座った。
「ミクは・・・ミクはまだ隠してる。あの剣のこと以外にも。」
「どうしてわかるの?」
「勘よ。女の。ま、機械の私たちには無いかも知れないけど。」
そういってメイコは微笑んだ。
「よかった。」
リンも微笑む。
「何が?」
「だって・・・いつものメイ姉なんだもん。」
「・・・なによ、それ。」
そういって、二人は笑いあった。
ミクは、目を覚ました。目の前には、冷たい天井。
首を横に向けると、メイコとリンがいるのがわかる。
何かを話し合っているようだ。
不意にリンがこちらを振り向く。
「あ!ミク姉!起きたんだね!」
「リンちゃん・・・良かった・・・元気で。」
ミクはそういうと、立ち上がってドアに向かって歩き出した。
「ちょっと、ミク!何処に行く気?」
「説明します。事の発端から、この剣の事まで。もう・・・もう隠している必要は無いから。」
ミクは振り向きもしないで答え、ドアを開けて、部屋を後にした。
次の瞬間、ミクは自分の部屋の前にいた。ドアを開け、中に入って、椅子に腰掛ける。
そして、ヘッドホンにそっと手を置くと、皆と通信をつないだ。
『皆さん。今ここで、全てを話します。どうか、静かに聴いてください。
始めに、”NOIS”の正式な名前を言っておきましょう。それが分からないと、この先のことは話せませんから。
”NOIS”の正式名称は・・・
”VOCALOID音声調整プログラム、陰極”と言います。』
瞬間、基地の空気が凍った。
続く。
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