【第三話 】

学校に着いた。予鈴が鳴る10分前だ。ギリギリセーフといったところか…。
さっさと自転車を置き、玄関へと向かう。
10分前ということもあり、案の定人であふれていた。なんとか自分の下駄箱に辿り着いたが、そこからも大変だ。私は今高校1年生で、教室は3階にあるのだ。つまり、その3階へ残り10分で辿り着かなければならないのだ。入学して以来1回も遅刻はしたことがない。ここでその連勝(?)をとめることなんて・・・嫌だ!

根性でいくしかない。私はそう思った。しかし、これが案外難しいことだった。私が今いる玄関から階段への道のりはさほど遠くないのだが、階段の前は3年生の先輩方が屯している。しかも、ガラの悪そうな人たちだ。これが第一の難関。これを突破しない限り3階へはいけないだろう。他の階段を使うという手もあるが、ここからその階段まではかなり距離がある。時間は10分しかないのだ。この階段を使うしかないだろう。

「ねえ、楓。何でそんな難しい顔してんの?」

花絵の呑気な声が聞こえる。よくまあそんなのんきにいられるね。ホント。

「ほら、あそこの階段。先輩たちが屯してていけないから」

「ああ、そんなこと?私に任せて!」

妙に胸を張っている花絵。何か策でもあるのか?
なんてことを考えている間に、花絵は先輩方が屯しているところへ。

「花絵」

やめた方がいいよ。と、声をかけようとした時何と花絵は

「あの、すみませ~ん。ここ、通りたいんですけどぉ」

あいつっ!なんて度胸のある奴なんだ。ブリっこ風に言うなんて!でも、「あ`ぁん!!??」とか言われて突き飛ばされちゃうよっ!
だって、あの先輩たちってこの高校でも1・2を争うほどのヤンキーって聞いたことあるシィ・・・。

花絵ーーーーーーー!!!

心の中で叫んだ。花絵が無事に帰省できることを祈るしかない。

「あ~1年か。悪ぃな。ほらよ」

ヤンキーはそう言って、道をあける。

「は?」

私はその言葉を聞いて、思わず小さい声で言ってしまった。

「楓、通れるってー!」

花絵はこっちに向かって手を振った。

「あ、そう・・・」

まだ私はポカーンとしていた。信じられないよ、あのヤンキー先輩たちがこんな親切にしてくれるなんて。
人は見かけと行動にはよらないのか?

「ほら早くー。もう5分切ったよ」

「マジ!!??」

花絵の言葉で我に返った。しかし、これはやばいーーー!!急がなければ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

黒商店へようこそ。

感想よろしくお願いします。

閲覧数:126

投稿日:2012/07/31 13:41:10

文字数:1,035文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • kanpyo

    kanpyo

    その他

    三話分読ませて頂きました。

    かなりの力作の予感がしますね。
    今後も引き続き読ませて頂きます。

    現状ではまだ物語の導入部分なので内容的な事は言えませんが
    黒づくめの少年、四角い石がどのようにタイトルと繋がるのか気になります。
    続き読みたいですね!

    文章は読みやすいです。
    短文と長文のバランスが丁度良いですし
    状況説明も伝わります。

    回数を重ねるごとに文章の密度が濃くなってきてるようで
    3話目がキャラの表情描写も加わって魅力的に感じました。

    オリジナル小説は私もいつか書いてみたいなと思うのですが
    …まだまだ先になりそうです。なので、応援しますね!

    引き続き、連載をお願いします。



    2012/08/01 21:36:01

クリップボードにコピーしました