<Dear My Friends!第2期 第31話 悲しみの取引(後編)>
(ヤマト国 オーエド地区 アキバ)
アキバは、今でも、闇市やギアのパーツなど、商業が盛んな区域もあるが、テル達が向かったのが、正直“物騒”な区域の方である。無論、チンシャンの一声でテイマー、兵士、無人ギア、全部が退散していったのだが…。
そして、テル達が進んできた“アキバ駅跡”のプラットホームからして、駅舎跡からして、街道跡沿いからして、これ見よがしに“ニューファイルとエディター”で作ったとわかる、目立つ“取引場所、こちら→”の看板がかかっていて、ルコは正直看板を蹴り飛ばしてやりたかったが我慢した。
一行は看板の指示に従い、大通り跡を進んでいった。そして最終的に、とある一番大きな交差点の中央にたどり着き、そして、息をのんだ。
***
マカ:やぁ、看板の案内通りに来てくれて、嬉しいよ。ここが、最終地点だ
ミゥ:ルコ! デフォ子! ミズキ! 何で来たの! アノ部屋を見れば、危険だってわかるでしょ!
ルコ:だから来たんです。ミゥ様をアレと同じにするわけにはいきませんし、取引の内容は聞いてみての話です
デフォ子:絶対、助けます!!!!!
ミズキ:ミゥ様! なんでこんな形の再会なの!
ティエンイ:・・・・・・ルォか。また格好いい姿とギアを手に入れたな
キョウ:うるせー、姉貴。ニューファイルの力で、構成成分を分析したってか。マージはおまえが作り、キョウも喰わせ、このアイボーも分析済み。全く、厄介な相手だぜ…
マカ:それと、主賓である“海外からのお客様”、貴方だけを待ちわびてましたよ
テル:それは、ギアか何かを作る、未知の技術や材料としてか?
マカ:材料だけ合っている。それにおまえなぞ、どうでもいい。主賓は、その“ベージュっぽい灰色の髪のお嬢さん”だけだ。他はいらん
その声に、即座にマカに、ランダム発射モードのスイッチを入れた魔弾銃の銃口を向けたのは、ルカ姫だった!
ルカ姫:おまえも・・・・・おまえも・・・・・“イア”を! 私の“友達”を!!!!!
テル:まて! 間違いなく、掴まれているミゥさんに当たるし、弾丸に何をされるかわからん。我慢しろ!
ルカ姫:ちくしょう! ちくしょう!
マカ:取引がなんだか、どうやらその“ピンク髪の姫様”はわかっているようだから、話を早速始めることにする。取引説明中位は、その奇妙な銃の銃口は下げて置いた方が良い。ニューファイルで作った特製の銃弾で、“いらない連中”を片付ける手段をとっても構わないからな
ルカ姫:うぅぅ・・・・わかったわよ・・・・
そういうとルカ姫は魔弾銃の銃口を下げ、ランダムモードをOFFにした。
***
マカ:話は実にシンプルだ。その“イア”という娘と、私の全てとの、交換だ
ルコ:なにぃ!?
マカ:私の全て。軍、テイマー、技術、ギア、兵士、あらゆる事だ。人間系はこの国から完全撤収し以降永久に関わらない。無人ギアには永久停止コードを発令する。残りのギアは我々の実行コードを削除し、おまえ達で好きなように使え。撤収の際に邪魔になるのでくれてやる
チンシャン:ちょ、ちょっと待て! では、我々はどうなる!
マカ:ティエンイは必要なので連れて行くが、おまえ達は全員クビだ。好きなようにしろ。以降、一切、この国に関わるな
テル:・・・・随分と自分が不利になる破格の条件の取引だな。軍解体なら貴様もただでは済まないはずだ。おまえは全てを失うのだぞ?
マカ:“破格の条件”? とんでもない! こんな私に有利な条件はないな。わかりやすく言おう。そのイアという材料、ミゥが首から提げているネックレスの“時間跳躍ベースマシン”、この2つと、あんな建前で作った軍など、比較にならない、そういうことだ
キョウ:ほぉ~、いうじゃねーか
チンシャン:き・・・・・き・・・・・きさま・・・・・
ルコ:貴様、その“自分の目的”を手に入れるためだけに、我々の無数の同胞を殺め、この国を壊滅させ、
イグゾウ:ワシの女房の『ユキ』と、一人息子の『ミナト』を・・・・
マカ:外野はうるさいぞ。“我の目的”が達成出来るのなら、そんなモノ、いくらでも、
イグゾウ:くそぉ!
突っ込んでいきそうなイグゾウさんをキョウは制した。
キョウ:気持ちはわかる。が、そういう事は俺に託したんじゃネーか?
イグゾウ:キョウ・・・・・
キョウ:まだ、今はだめだ。もうちょっと我慢してくれ…
イグゾウ:す・・・すまなかった・・・・
だが、再び魔弾銃の銃口を向けたのは、ルカ姫だった。
ルカ姫:もう・・・・・・もう・・・・・我慢できない・・・・・私の“友達”を材料って言って・・・・。こっちの人たちが材料で使って過去に時間跳躍して、肝心のギアを破壊してこんな世界にしない、って言ったときだってキレそうになったのに・・・・おまえまで同じ目的で、友達を材料に使うなんて・・・・・もう、もう、我慢出来ない!
バシュ!
ルカ姫は遂に、“加速弾”、一発をマカに向かって撃ってしまった!
だが、マカは微動だにせず、小声で、“石ころ”、と言っただけだった。加速弾は、マカの足下で石ころに“再構成”されて、コロコロっと転がった。
ルカ姫:!?
ルカ姫は足下に崩れて膝をついてしまった。マカの恐ろしさを体感してしまったのだ。
マカ:今のは“ノーカン”にしてやる。もう一度言う。イアをよこせ
そこにルコが助け船を渡した。
ルコ:敵軍御大のおまえでも、“おまえが渡すモノ”、があまりに巨大過ぎて、信憑性が無い。出来れば、おまえ側からその条件を“見せて”くれないか? イアさん、ルカ姫さん、済まないが、イアさんの受け渡し、飲んでくれないか?
テル:飲めば、君たちの時間跳躍の話は、無しになるぞ?
ルコ:・・・・いいんだ。この国からこいつらが永久に出て行ってくれるなら、これまで失った命にはしっかりやるべき事をやって、残った我々で、このヤマト国を復興したんだ…
ルカ姫:いや! いや!
ルカ姫は、もう、子供のように泣きじゃくっていた。だが、当事者のイアは、はっきりとこう言った。
イア:わかりました。その交換条件、飲みます。ですが、こちらからの要求くらい、飲んでください
マカ:ほぉ、立派な心意気だ。いいだろう。言え
イア:まず、先にあなたの用件を開始し完結させてください。それが確認出来たら、私もミゥさんも、あなたの方の要求を飲みます
マカ:いいだろう
イア:それと、もう一つ
マカ:?
イア:こちら側で、貴方の行動と同じ事を考えていた方々のうち、連れて行ける人たちを、同行させてください
マカ:!?・・・・・・・つまり、そいつらと一緒に、“あの時代のアキバ”、へ行け、と?
イア:いやなら、即座にテルさんに頼んで、私を解体してもらいます
テル:!?
ルカ姫:いやぁあ!!!!
マカ:・・・・勇気のある娘だ。流石、私が探し求めていた材料だ。いいだろう、どちらも飲むことにしよう。約束だ
イア:気前、いいんですね
マカ:それが、一軍の将たる所以だ。では、始めるぞ。取引成立故に、ミゥはおまえ達に1回返すことにする。くれぐれも、その物騒な銃はしまって欲しい
テルはすっかり気落ちしてしまっているルカ姫と、銃は材料としては不純物となるため、イアからも、魔弾銃を取り上げた。
ルカ姫:う・・・・・う・・・・
泣きじゃくっているルカ姫の元へ、イアは慰めに来た。
イア:ルカ姫? 銃を撃ってくれて、ありがとう。凄く嬉しかったよ
ルカ姫:えぐ・・・
イア:大丈夫だよ、きっと、また、会えるよ。またあったときは、
『Dear My Friends!』(親愛なる、私の友達のみんな!)
って、挨拶するよ! 大丈夫! テルさんのポーチを、忘れないでね♪
ルカ姫:イアァアァアァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!
ルカ姫は恥も外聞も無く、イアに抱きついた。イアもルカ姫を抱きしめてあげた。
イア:よしよし…。大丈夫、また会えるから、必ず…
そのとき、イアの瞳から一筋の涙がこぼれた。それは美しい、水色の綺麗な涙だった。
テル:!? これは・・・・奇跡なのか?
(続く)
CAST
イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-
ルカ姫:巡音ルカ
魔導師アペンド:初音ミクAppend
魔導師テル:氷山キヨテル
僧侶リン:鏡音リン
勇者レン:鏡音レン
異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ
裁判官 勇気めぐみ:GUMI
ヤマト国からの旅人三人組
瑞樹(ミズキ):VY1
勇馬(ゆうま):VY2
兎眠りおん(りおん):兎眠りおん
ミゥ:Mew
欲音ルコ(ルコ):欲音ルコ
唄音ウタ(デフォ子):唄音ウタ
桃音モモ(モモ):桃音モモ
雪歌ユフ(ユフ):雪歌ユフ
義 井具蔵(ヨシ イグゾウ)(イグゾウ):某演歌歌手
ゾラ・キョウ(キョウ)=生まれ変わったルォ:ZOLA PROJECT (KYO)
チンシャン:某女性中華ボカロ
マカ:某少年中華ボカロ
ティエンイ:某女性中華ボカロ(ルォの姉(こちらが本家“ルォ・ティエンイ”で、女性中華ボカロになります))
その他:エキストラの皆さん
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