こんにちは　私の名前ははなこ
みんなには『はなこさん』って呼ばれてるよ
棲家は全国の学校のトイレだよ

赤い服におかっぱ頭
それがわたしのみんなのイメージ
だからわたしは大体そんな姿でいるけど
ほんとはもっとおしゃれしたい！

試しにパーマをかけてみました
「失敗しちゃったよ！」
パンチパーマになりました
フリルいっぱいの服を着ました
「わたしの真似しないで！」
メリーに怒られちゃった
髪を長く伸ばしてみたよ
「呪いの人形だ！」
伸ばしすぎて別の怪談にされちゃった


助かった　髪を伸ばすのはやめよ
お寺に連れていかれちゃうとこだった
暗い蔵に閉じ込められたら堪らない

どうすればおしゃれになれるかな？
そうだ、おしゃれなお友達に聞いてみようかな
今度はおしゃれになれるかな？

メリーはドレスを着た綺麗な子
「はなこはこれが似合うわ」
ゴスロリ着物を着せられた
大人の女性に聞いてみよう！
「口を大きくしない？」
結構です、鎌しまって！
聞く人を間違えちゃったわ
「少し話いいかな？」
口裂け女は警官に連れていかれた


どうしてだろう？　うまくいかない
わたしだって年頃の女の子
着飾って、髪型変えて、かわいくなりたいわ！
トイレの中でわたしは叫んだ


「ぼくはそのままでいいと思うよ」
男の子の声がする
驚きわたしは顔をあげる
トイレの上から男の子がみてる
なんだ、太郎だったのね
今の叫びを聞いてたの？
「ぼくは今のはなこが好きだな」
殴ろうとした手が止まる
今太郎はわたしを好きって言わなかった？

「お願い、そのままでいて欲しい」
真っ赤っかな顔の太郎
わたしの顔は熱くなる
心音も速くなってきたわ
「そこまでいうのなら……」
彼は赤いままでわらう
わたしのかおもきっと赤いわね
とりあえず太郎を殴る
覗いた制裁は忘れずに受けてもらうわ


あなたの言葉がうれしかったから
もうちょっとこのままでいることにするわ