地上の時間で数日が過ぎた。
地上はくるりと回って半日を天界向きに、もう半日を魔界向きにし、光と闇の均衡を保つ。
金色の天使は未だ地上には下りることが出来ず、赤い女神の神殿にて歌を歌い、女神の弾く弦の音に聴き入っていた。
「……どうしました。浮かない顔ですね。」
女神は天使の歌声に僅かな惑いを感じて顔を上げた。
戦女神である赤い女神の涼やかな目元は天使を思い、凛々しい柳眉はほんの少しだけ上がっていた。
「そんなことは………」
「ありませんか?いいでしょう。
それより、青い神から地上の話を聞き及びましたか?」
穏やかで、地上の事を誰より多く、そして早く知り得る青い神。
彼神の神殿にも天使は何度か招かれた事はあった。
「いえ……」
天使はゆるゆると首を横に振った。
赤い女神は天使を見つめた後に立ち上がり、庭園へと誘った。
美しい庭を通り、中心にある噴水の縁に女神は腰掛けた。
流れ落ちて来る水にその細長く美しい指を暫く遊ばせてから、女神は天使を隣に座らせた。
「貴方が私の首飾りを持って地上より戻った時より、半刻ばかり後の事。」
そういえばあのとき、地上は天界からの光を一身に受けおきながら、魔界からの穢れが濃い気がした。
天使は眉を潜めて女神を見遣った。
「地上にいた一人の清らかな少女が、愛おしい姉君を救おうとして悪魔と契約をしたのです。」
悪魔。魔界に存在する、魔神の子等。
天使が生きるために天界の光を必要とするならば、彼の者達は魔界の穢…闇、を必要とし。
地上を契約によって干渉する、天使の対極の存在であった。
「……その少女の対価は…」
「魔神の眷属へと転身する事でした。」
つまり、悪魔に成り下がったのだ。
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咲椰このは@桜華
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続きがぁ!!!
うわ早く読みたいぃぃぃぃ(落ち着け)
2009/09/11 23:52:08