“星の死ぬ逢魔が乱世 赤月(あかつき)は銀に染まる”
“三つ土は刃(やいば)に鋤かれて富みて 最後に荒野に立つのは誰ぞ”

天気は是々(ぜぜ)晴朗なり
決裂 もはや時間稼ぎの不可侵条約はいらない
桜の聖十字(ロザリオ)と 薔薇の三色旗(トリコロール)揺れる
金鵄を乗せた神風が囁く「売国奴はどっちだ」

それはとても悲しく しかし美しきひと夏の夢物語

仁矛
義盾
正しきは勇士か
それとも能臣か
国に忠を懸け 今爾霊山(にれいさん)を登る

鐘楼を揺らす猛き咆哮 荒城にかかる月が砕ける
舞い散ってゆく星が悲劇を彩る 美しい夏至の夜

聖堂(カセドラル)のステンドグラスは 祝福のような虹色の雨
嵐が去った後にここに残るのは こんなにも綺麗な名前だけなのだろうか


帝都を激震が襲う
城壁は崩れ後戻りの利かぬ暗黒の木曜日
玻璃(はり)を踏みしだき朝と夜の騎馬隊が往く
「未来ニ背ヲ向ク劣等民族ハ即(ただ)チニ処分セヨ」

これは聖戦か かたや異教徒を平らげる大虐殺(アウシュビッツ)か

餓虎(がこ)?
狼戻(ろうれい)?
禽獣じゃない
奸雄でもない
ただここにあるのは 二つの正義

ヤマナラシが星を掛けて誘う ユダと成り果てても志の根は同じ
たとえ枝で首を吊ることになっても 青薔薇の夢は叶うか

茨に心を刺されながら それでも往くんだ、京の守護者は
鴻毛より軽い若い命を抱いて 銀(しろがね)の直垂(ひたたれ)が血の色に染まるまで


引き裂かれ刃交える二人を 落ちる鷲(アルファ・リラエ)が見てる
「許せ興国の為ぞ!」 泣いて知音を斬った
もう幾多の血涙を吸った麦色の闘将の槍が
鉄(くろがね)の猛虎の喉首を貫く


「愚か者(イヴァン・ドゥーラク)・・・」


先駆けの薔薇(プリムローズ)はあえなく散り 高楼の月夜は紅(あか)に染まる
飛び散る葡萄酒(クラレット)の中で響く声「お前も既に獣だ」

金剛(アルマス)はきらめく石になり 砕けてこの星海に混ざる
失う痛みを自らに刻まれて 初めてその正義に意味がないと知る


蕾のまま死んだ命 青い夢だけが残り
気付くのが遅すぎた美しき水晶月夜(クリスタル・ナハト)
半身を失い飛べなくなった鴻(おおとり)
砕けた星を掬(すく)い 涙(ラクリマ)は静かに落ちた

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  • 非営利目的に限ります

水晶月夜 -Shattered Fullmoon-

―――――革命と反革命、相対の時。

かつて志を共にした同朋との決闘の夜。雌雄は決すれども、その果てに待つのは悲劇的な結末。

「アストラル・カセドラル」に続く「革命」シリーズ、第六弾です。物語はついに急転へ。華やかだった前編から離れ、ここからは革命の持つ「暗」の部分が明確になっていきます。

悪政を倒すというと聞こえはいいけど、その裏ではいつも名もなき人々がたくさん死んでいるのです。

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投稿日:2013/11/19 21:48:16

文字数:961文字

カテゴリ:歌詞

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