久しぶりに会った君の、顎のラインが気になった。
「硬そう…」
「はあ?」
いきなり何、と顔をしかめた彼の頬は、柔らかな肉が申し訳程度に骨を薄く覆うだけ。
ほっぺをくっつけあって遊んだ何年も前の、あのふにふにとした感触が何だか急に懐かしくなった。
見れば顎の一番尖ったところには小さな切り傷があって、どうしたの、と言いかけてやめる。
縁側から投げ出した足元に目を落とした。
つるりとした膝頭にある傷は、たぶん彼のそれとお揃いのもの。
「あれ、リンこの傷どうしたの」
まったく、そんなデリカシーのないことを言う男はモテないんだから!
ぺしりと叩いた二の腕もやっぱり硬くて、「痛え!」という声が広い庭にどこか嘘っぽく響く。
ふいっとそらした視線の先には蝉の死骸。
ああ、今年もまた、夏が終わる。
「リン、来年の夏は来る?」
「どうかなあ…来たいのは来たいけど、やっぱ受験生だし」
来たいけど、のところに力を込めて答える。
いや、もしかしたらうまく込められなかったかもしれないけど。
蜩の鳴き声がうるさかった。
まだきつく差し込む西日に、額から流れた汗が目にしみる。
「……うん、俺も、」
庭先ばかりを見ていた彼が、ふいにこっちに向き直った。
ばっちり交わった視線はそのままに、ゆるゆると粗削りな腕が伸びてきて。
息が止まるかと思った。
私と私の膝の上に横になった彼との距離は約50センチ、それがみるみる縮まっていく。
「リンに会いに、来たい」
勉強合宿でもするか、そう言って笑った背中が廊下の向こうに消えていく。
あたしを置いていく彼にためらいなんてものはまるで感じられなくて、だけどそれを寂しいとは思わなかった。
すっかり「男の子」になってしまった彼も唇だけは柔らかいことを、あたしはちゃんと知っている。
夏と蛹
(100718)
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