「お早う、リン」
「あぁ、お早う、麗羅・・・。・・・・・・って・・・・・・・・・・・・うええぇええええぇええぇえええええ!!!??」
麗羅がリンに話しかける早々、リンは教室内にも関わらず大声を上げた。何故なら、
「ちょ・・・如何したの!? その髪!」
麗羅の髪がばっさりと、それはまた見事なまでに短くなっていたからである。因みに髪の長さは肩に届くか否か、と言う所だ。
「あ、これ?」
リンの奇声(大声ともいう)を特に気にした風でもなく麗羅は短くなった髪の毛をクルクルと指で弄った。
「切りたくなったから切ったの。可笑しいかな?」
フワリと微笑みを浮かべながら麗羅は問う。いや、可笑しくないけどさ・・・。似合ってるけどさ・・・。
「てか如何いう風のふきまわ・・・」
「天誅ーーーーーーーーーーぅ!!」
バァンッ! と教室の扉を破壊しかねない力で開けながら入ってきたのはミクだ。因みに今日は木刀ではなく真剣をその手に持っている。銃刀法は大丈夫なのだろうか。
「ちょ、ミク姉。天誅って叫びながら出てくるとかぴ○テンの大ちゃんの妹、薫ちゃんですか貴女」
「大丈夫! あの子が持ってたの薙刀だから!」
「問題其処か?」
ネルが冷静にミクに突っ込み、御馴染みの五十センチ程の木刀でミクの頭をスコン、と殴った。
あいたたたー、と殴られた箇所を手で押さえて痛がっていた、かと思いきや直ぐに立ち上がりレンを見つけるとその襟首を ガッ と掴んだ。
「あのー・・・ミク姉? 俺、なんかした?」
「ちょぉーーーっと、話があるんだー。良いかな?」
口調は優しく、しかしその表情は黒い微笑みのミクにレンが逆らえるはずも無かった。小さな声で「・・・ハイ」と言うとミクは満足げに「うんうん」と頷くとそのままレンの襟首を引っ掴んだまま教室を出ようとした。が、
「・・・ミク」
何時もよりも低く、冷たいネルの声に妨げられた。
「なに、ネルちゃん?」
「もう直ぐ一時間目始まるぞ?」
「大丈夫だよ、サボるから」
「・・・・・・・・・・・・」
其処でネルは凄く、凄く深い溜息を付いた後、こう言った。
「レンは大丈夫だろうけど・・・・・・。ミク、年欠は大丈夫なのか?」
ピシリ、とミクの体が石になったかの様に固まる。そしてその表情は見る見るうちに青ざめていく。パ、と力なくレンの襟首を離すと「ごめんなさい・・・」とネルに深々と頭を下げ、すごすごと一年の教室を退散した。
「・・・年欠・・・?」
「学欠じゃなくて?」
「ああ、年欠だ」
サラリと言ってのけるネル。因みに学欠はその学期での欠席の事でこれがある一定の日数を超えるとその学期の成績が付かなくなってしまう。つまり、一だ。年欠は一年間の、つまりその学年での欠席の事である。年欠も学欠の様にある一定の日数を超えると成績が出なくなってしまい、次の学年に上がれなくなる。つまり、留年、ないしは作者の学校の様に留年が無い学校の場合は別の学校に編入になってしまい、またその学年からやり直しになってしまう。
それがヤバイって・・・ミク姉・・・・・・。
レンとリンは互いに顔を見合わせ、ハァ、と溜息を付いて見せた。
そして、昼休み―――・・・。
「と言う訳で屋上へ行こうじゃないか、レン君よ!」
「如何言う訳だか全然分からないんですけど」
まあ、良いから良いからさ、と言ってミクはレンの腕を取りグイ、と引っ張った。その様子を見てネルはハァ、と溜息を付いた。
「・・・不安だから私もミクに付いていく。悪いがリン、麗羅と学食で食べててくれ」
「え、う、うん・・・」
少しだけ戸惑いつつもリンが頷くとネルはフ、と微笑み「それじゃ、五時間目に」と言って二人の後を追った。
その様子を見送った後、リンは麗羅の方を見、「じゃ、行こうか」と言った。麗羅はフワリと微笑むと「うん」、と言った。
「ね、レン君。麗羅ちゃんが髪切った理由って少なからずレン君が関わってるよね」
屋上に着くなりミクはレンにそう問うた。レンはコクリと頷く。その傍らではネルが何時ミクが暴走しても止められる様に待機していた。
「昨日の今日だしな・・・髪切ったの」
「そ。で、昨日さ、何があったか、良ければ話してくれる?」
ミクのその柔らかな口調にネルはふと驚いた。ミクは“殺しの初音”の状態になっているのだとばかり思っていたからである。
「・・・・・・・・・・・・」
少しだけ、レンは黙っていた。その様子は頭の中で如何話していいのか悩んでいる様に、少なからずミクにはそう思えた。そして、レンが口を開いた。
「昨日、麗羅に此処で告白された」
・・・・・・。・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
長い、長い沈黙の後、口を開いたのはミクだった。
「・・・・・・え? レン君、今何て?」
「? いやだから昨日麗羅に此処で・・・」
「は? は? マジで? え、ちょ、展開が急すぎて頭が付いてかない! 良く分かんない! でも此れだけは分かる! レン君!」
グルグルと廻る頭を抱えながらもミクはレンを真剣で ビッ と差した。因みにこの剣は模造品らしい。
「は、はい?」
「右京さんの真似しなくて良いから!」
いや、してるつもり無いし。
「で、何だよ?」
「そう! で、レン君はその麗羅ちゃんの告白断ったんだね!?」
「・・・・・・・・・。う、ん」
「理由は?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
たっぷりと、ぴったり十秒の間を置いて。
「好きな奴いるから、ごめん、て」
『あぁ~・・・』
ミクとネルはレンの返答に納得したように同時に声を上げる。いや、此れを声と表現しても良いのか悪いのか・・・。
つまりこの鈍感はやっと自分の気持に気付いたって事ですかそうですか。
「・・・で、麗羅ちゃんは失恋したから髪を切った・・・って事か・・・」
「女子が髪切る理由は結構ワンパターンだからな」
「作者の場合は『髪長くなってウザイから』だしな」
「ま、でも分かって良かったよ。ネルちゃんから麗羅ちゃんが髪切った、てメールが来た時に直ぐにレン君が関わってるな、て思ったもん」
あ~、納得納得。そう呟くとミクはぐん、と背伸びをした。そして二人の方を振り返り、ニッコリと微笑むと
「じゃ、お昼食べにリンちゃんと麗羅ちゃんとこ行こっか!」
と言った。
ミク達とリン達が別れた後、リンと麗羅は学食に行く為に階段を降りていた。が、不意にリンは立ち止まり、麗羅に声を掛けた。
「・・・ね、麗羅」
その声に麗羅も立ち止まる。そして数歩進んでしまったのでリンの方を振り返る。
「何?」
「その・・・。髪切った理由ってさ・・・・・・。レンの事と何か関わりあるの・・・?」
言い辛そうに、しかしゆっくりとリンが言うと麗羅は大きく眼を見開いた。が、直ぐにそれを緩めると何時もの様に微笑んだ。
「うん、レン君が関わってない、て言ったら嘘になるね・・・。あのね、私・・・・・・。昨日、レン君に告白したんだ。好きです、て」
その言葉を聞いた途端、リンの表情は凍った。しかし麗羅は続ける。
「でもね、ごめん、て言われたの。断られちゃった」
自分で言いながら、少し泣きそうな表情をして麗羅は言う。
「レン君、好きな人いるんだって。分かる? リン。それ、貴女の事だよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・は?」
リンがやっとの思いでそれだけ言うと麗羅はクスクス笑い始めた。その理由はリン自身が良く分かっている。リンの顔が真っ赤だからだ。
「レン君、自分の気持に気付いてるんだよ。ううん、やっと気付けた、ていうのかな?」
それ、如何いう意味? と聞こうとして、止めた。何となく、思い当たる節があるからだ。八歳の時の、あの事故。あの事故が何かレンに働きかけたのだろうか? そして、それはこの夏休みにレンが頭を殴られた事で元に戻ったのだろうか。
「私が髪を切ったのは単に長くなったから。それだけだよ。さ、お昼食べに行こう。きっと後から初音先輩達も来る筈だから」
そう言って、麗羅は階段を降り始めた。リンもそれに続こうと足を下ろそうとした。が、それは叶わなかった。
ドン。
誰かに背中を突き飛ばされた。と思った次の瞬間にはリンの身体はもう、ゴロゴロと階段を転げ落ちていた。
そして踊り場まで落ちてもその勢いは止まらず、その勢いのままリンは頭を思い切り強く壁に打ち付けた。
「リン!」
誰かがあたしの名前を呼んでる・・・。誰・・・? あたし・・・私? 私って・・・・・・・・・・・・誰?
リンの思考は深く、闇の中へと堕ちていった。
「あれ? リンちゃん達いないね・・・?」
キョロキョロと辺りを見回しミクはそう呟く。
「可笑しいな。もう此処にいても可笑しくないのに・・・」
ネルも不思議そうに首を傾げる。そして、学食の食堂についている時計を見る。十二時五十分。二十分前に四時間目の授業が終わっているのでネルの言う通りリン達が此処にいないのは少し可笑しい。すると、
「亞、北さん! レン、君! は、つね、先輩!」
息を切らしながらも三人を呼ぶ声が聞こえ、其方の方を見ていると麗羅が三人の方に向かって走ってきていた。
「如何した? 椿」
そっと麗羅の肩を支える様に掴みながらネルは問うた。ハァハァと息を切らしていた麗羅は肩で大きく息をするとようやく落ち着いたらしい。やっと話す事が出来た。
「リンが・・・。リンが・・・、階段から落ちて、壁に頭を・・・ぶつけて・・・!」
そう言うと三人の目が一斉に大きく見開かれた。
「それで、リンちゃんは?」
「保健室に・・・。それで今、目を覚ましたんですけど・・・でも・・・でも・・・!」
麗羅は其処でどもり、その瞳に涙を浮べた。
「で、如何したんだ? 目を覚ました、て事はリンは無事なんだな?」
ネルが優しく問いかけると麗羅はコクリと頷く。
「でも、なんだ? 何かあったんだろ? 言えるか?」
「う、うん・・・。・・・・・・・・・信じられないかも知れないけど・・・リンは・・・リンは・・・」
其処で麗羅は言葉を止め、大きく深呼吸すると、ハッキリした声で言い切った。
「記憶を・・・失ってるみたいなんです・・・。今までの事、全部・・・」
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鏡美
ご意見・ご感想
こんにちは、以前恋愛病棟のところでコメントさせていただいた者です~
また来てごめんなさいっ!
学パロかぁ~、良いですね☆
レンをもう1回事故に?もちろんしちゃっt(黙
続き期待です。あ、続き書かれますか?書かれれることを祈ってます♪
2010/12/05 20:33:02
lunar
こんばんは。お返事遅くなってしまい、申し訳御座いません・・・。
何時でも来れる時に来て下さって構いませんので大丈夫ですよ^^
学パロです。一応続き物なので。
あ、良いですか。いや、寧ろ話の設定上、レンにはもう一度事故に遭って貰う事に・・・(ザ・ネタバレ
此れは続き物なので続きはあります。
2010/12/06 22:31:52