Ｃ　鬼さん、鬼さん手のなる方へ
　　鬼さん、鬼さん手のなる方へ

Ａ　ひとつ、緋色の衣中(ころもなか）
　　赤い夢をみたそうな
　　ふたつ、ふたごの山奥に
　　大きな鬼の姿を見たそうな

Ｂ　みっつ、短い桃の枝
　　折っては右手にもつそうな
　　よっつ、呼んでは走る子供らは
　　腕を大きく回すそうな

Ｓ　鬼さん、鬼さんこちらへおいで
　　鬼さん、鬼さんこちらへおいで
　　捕まると首が飛ぶそうな

　　鬼さん、鬼さん手のなる方へ
　　桃枝（ももえだ）大きく振れば
　　きっと道ががけ崩れ
　　鬼さん足をとめるだろう




Ａ　いつつ、いつの間に山を越え
　　近くに川があるそうな
　　むっつ、無の月、光も消えゆ
　　漆黒の闇に呑まれたそうな

Ｂ　ななつ、鳴り響くは鈴の音よ
　　鬼に耳にもはいらせぬ
　　やっつ、山に響くは鈴の音よ
　　光の出口に導かん

Ｓ　鬼さん、鬼さんこちらへおいで
　　鬼さん、鬼さんこちらへおいで
　　爪と皮をとられるそうな

　　鬼さん、鬼さん手のなる方へ
　　響く鈴の音響かせれば
　　闇に鬼さん食われたもう
　　口を開けるは鈴の音よ




Ａ　ここのつ、小足（こあし）で下る坂
　　坂の袂には人の村がある
　　とう、で遠くまでやってきた
　　鬼さん近くにやってきた

Ｂ　ひとつ、非ず鬼の目よ
　　不気味に光り後を追う
　　ふたつ、振り切れ人の子よ
　　村に入れば鬼さんこちら

Ｓ　鬼さん、鬼さんこちらへおいで
　　鬼さん、鬼さんこちらへおいで
　　御馳走前にたんとある

Ｄ　鬼さん、鬼さん手のなる方へ
　　鬼さん、鬼さん手のなる方へ
　　逃げまどう村人ひとりずつ
　　捕まえ口の中に入れ

Ｄ　鬼さん、鬼さんこちらへおいで
　　鬼さん、鬼さんこちらへおいで
　　見つかる前に走りさる
　　童姿（わらべすがた）の死神よ

Ｃ　鬼さん、鬼さんこちらへおいで
　　鬼さん、鬼さんこちらへおいで

Ｃ　鬼さん、鬼さん手のなる方へ
　　鬼さん、鬼さん手のなる方へ