#29



カイトは、震えて崩れるメイコを抱きしめた


「めーちゃん……」


こういう時にどんな言葉が正解か……カイトにもわからなかった


「カイトぉ……私…………また何もできなかった……」


カイトの腕の中で震えるメイコ


「僕もだ……結局、あの人に何も恩返しできなかった……」


メイコの気持ちが痛いほどわかるカイト


「先生は……私を本気で攻撃していなかった……本当は……負けていたのは私なのに……」


刀を交えたもの同士にしかわからない、相手の真意


「そうか……」


カイトは自分が何も出来なくて、無力感でいっぱいだった

でもせめて……メイコが泣きやむまでは、何も言わずにただ側にいた











大して時間は経っていないだろうが、それなりにながく感じた……


「めーちゃん……レン達の所にいこう」

「……うん」


カイトが立ちあがり、メイコの手をつかんで立たせる


「先生は僕らにたくさんの情報をくれた……それを活かさないといけないんだ」


カイトの決意の目


「そうね……私たちがしっかりしなくちゃいけないのよね」


メイコも何かを秘めているようだ


「そうだ。僕らが先生に対して出来る、唯一の恩返しなんだから……」


















「ミク……ミク!しっかり!」


メイコがミクの頬をぺしぺしと軽くはたく


「メイコ姉、甘いよ?これくらいやらないと!」


ぱしーーーん!と大きな音を立てて、先に目がさめたリンの一発がミクに入る


「いたーーーい!!」


飛び起きるミク


「ほら、起きた!」


威張っているリンをゴンっと殴るレン


「馬鹿!なんてことするんだ!ミクさんがかわいそうだろう?」

「ええ!私は?私はいいの?!」


レンの言葉と行動の矛盾に、リンがふくれる



「はっ!そ、そうだ!みなさん!あの白い髪の女性はどうなりました!?」


ミクが思いだしたように立ち上がり、辺りを見回す


「大丈夫よ……私が倒したから……」


メイコはそういった

が、カイトは寂しそうなメイコの表情を見逃さなかった


「すごい!さすが!メイコ姉!」


リンが感心していた


「俺だって……油断してなけりゃ」


レンが悔しそうに舌打ちする


「皆さん、怪我がなくて安心しました」


安心したように二コリと笑ったミク




「……私、先に部屋に戻るわ。詳しくはカイトに聞いてちょうだい」


メイコがそういって、自分の部屋に向かう


「メイコさん……どうしたんだろう?元気ないような……」


レンが心配そうに見送る


「きっと……疲れたんだろう……さ、みんなはこっちにきてくれ!」


そういって手招きするカイト

でも、カイトはなんとなくわかっていた……

ミクの笑顔が、ハクの笑顔を思い出させたのだろうと……

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

0と1に響く言の刃#29

ハクとの戦いを終えて……ハクは本気を出さなかった
本当に成長した二人に会いに来ただけだったのだろう……

メイコに残る、傷……いや、きっと乗り越えてくれるでしょう

>ぱしーん

閲覧数:183

投稿日:2013/04/29 20:42:31

文字数:1,215文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    わわわわ……

    2013/05/03 18:50:59

    • しるる

      しるる

      わわわわー
      しゃきっと歯ごたえー
      しゃきっとコーンー

      ……どうせ、今の子には伝わらないですよーだ。

      2013/05/03 19:38:35

  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    記憶を残された―――――いや残してもらったが故に、ハクさんは余計に想いを抱えてしまうことに。
    手口が『アレ』臭くてうざいわぁ……
    仮に黒幕が『アレ』じゃなくても似たようなのがもう一匹増える時点でうざいわぁ……

    ぱしーん!!w
    そしてレン君、そこはやっぱり『ゴスッ!!』じゃないt(しつこい

    2013/04/29 23:33:48

    • しるる

      しるる

      「アレ」ですか……なんてハレンチな!←
      うそですw

      そのへんは肯定も否定もできませんねw

      2013/04/30 22:20:06

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