僕が歌う唄はみんなに
届いているかなんて
分からないけど

僕は歌い続ける

笑顔や涙を知りたいから
どんなに周りから嘲笑われても
本当の人の気持ちに触れるまではこの唄を歌い続けたい

僕は歌い続ける為だけに作られた歌い手人形(アンドロイド)だから

雨や雪が降る寒い日でも
今日も歌い続ける

いつの頃か僕の目の前から
少しずつ人が減っていった

だけど僕は歌い続けた
皆の心に残る唄を

歌う度に僕の声は小さくなっていく

声よまだ枯れないで
人の心がまだ分からないから
綺麗な歌声で歌う人形は
寂しい気持ちや悲しい気持ちを押し殺して

毎日に歌い続けた
ある朝　小さな少女が笑顔で
僕に向かって歩いて来た

そして少女は涙を堪えながら言った

いつも、あなたの歌声がみんなの力になってた
あなたは気づいていなかっただろうけど
歌声はみんなに届いていたよ
そしてこれからもみんなはあなたの事を忘れない

そうか…僕はやっと
人の優しさに触れられたといって

歌い手人形は
眠りについた…