とある古書店に、ひとりの少女が眠っておった。
「おい。何をそこで眠っておる」
分かるべくもなく、少女はまだ眠っておる。
いらだちを隠せぬ人間は、ため息をつきつつ、近くにある価格も知れぬ本で少女の頭をコツンと叩いた。
「……ぎにゅっ?! すごい美味しいあんまん食べたかったのに!!」
「仕事中に眠る奴にあんまんなどやらん」
「えーなんでですかー」
「……ダメといったものはダメなのだ」
人間ははて、笑っているが仕方ないのであんまんをひとつ差し上げた。
「やたっ、ありがとです」
そう言って受け取り少女はもぐもぐ食べ始めた。
「……時に。そんなに暇ならひとつ教えてやらんでもないぞ」
「何がですか?」
少女が聞く前にひとりの男が入ってきた。
客であるのは明らかだった。
デニム素材のジーンジャンパーを着て、目付きの悪い男だったので少女は声をかけた。
「もし、何か御用ですか」
「本を買ってもらいたいんだがね」
そう言って男は一冊の本を出した。
タイトルは小難しい漢字ばかりではあったが、それほど珍しいものでもない。普通に今は大手の本屋でも千円にちょっと足を出せば買えるほどである。
「……そんなに、高いものにはなりませんが?」
「そうか。それでも買ってはくれないか」
「どうでしょうね」
少女は眺める。
しかし、直ぐに見つけることができた。
「蔵書印……?」
「……、」
それを見つけられ男はすこし顰め顔をした。
「……個人で蔵書印を押されるとは非常に珍しいとは思いますが。水戸木龍鐘……?」
「あぁ、もう結構だ。やはり気が変わった。他を当たるよ」
「えっ……?」
その答えを聞く前に、男は古書店を後にした。
それに少女は首を捻ったが、それは直ぐに忘れてしまうに過ぎなかった。
≪古書屋敷殺人事件 問題編 -壱-【二次創作】≫
畔上探偵事務所。
校倉市の中央にあるビル群の路地にある小さな探偵事務所である。
「ふわぁ…… 眠いなぁ……」
「ひばり、そんなに眠いのか」
「だって仕事がないじゃないですか先生」
ひばりと言った少女と先生と呼ばれる少女が会話をしていた。
「……まぁ、確かにないなぁ」
「でしょう?」
「だって探偵事務所ってのは仕事がやってくる場所だしな。そう簡単には仕事ってもんができまい」
「そんなもんですかねえ……」
「なに、暇なら一つ有名なクイズでも出してやろう」
それを聞いてひばりの顔は輝いた。「ほんとですか?」
「ああ、ほんとだとも。なんの話にしようか。……そうだ、ウミガメのスープでどうだ?」
「ウミガメのスープ?」
「ああ。正確にはLTPと言うんだが、聞いてみたまえ」
そう言って、先生は告げた。
「『ある海辺にレストランがありました。そのレストランに一人の男が入ってきました。しばらくメニューを眺めていると、懐かしい料理名を見つけました。それは、『海亀スープ』。男は早速、それを注文し、海亀のスープが運ばれてきて、嬉しそうに飲み始めると、ふと何かに気づきます。だんだん、男の顔が青ざめてきて、すこししか飲まず、青ざめた顔のまま、料金を払い、レストランを後にしました。
次の日、レストランの近くで、その男の死体が発見されました。死因は自殺でした』この物語のなかで、男は自殺をしたが、なぜ男は自殺した?」
つづく。
古書屋敷殺人事件 問題編 -壱-【二次創作】
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ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
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ご意見・ご感想
雪りんご*イン率低下
ご意見・ご感想
……スープの中に何かアレルギーか何かが入っていて、
「チクショーめ! 何が入ってるかとか言えよ!」って怒って、近くで自殺したんじゃ(ぇ
……いえ、なんでもないです(((
2012/12/06 10:38:07
aurora
その解答採用したいw
……まぁ違うんですけど←
続き読めば答えが解りますよ なかなかに有名なので調べれば出てくるかも……?
2012/12/06 17:01:24