アイ・ストーリー
第三話「ウィルスにご用心!」 其の四
私がKAITOの部屋に入ると、KAITOはまだ眠っていた。
「あ……そうだ、タオル……取り替えないと。」
私はKAITOの額に乗っているタオルに手を伸ばした。
すると、KAITOが突然目を開いた。
「わ、KAITO……起きてたの?」
「…………。」
「……KAITO?」
「……アイスの……匂いがします。」
風邪引いてるのに、何という嗅覚。
……っていうか、未開封のアイスに匂いって……。
「千夏が今、お見舞いに持って来てくれたんだよ。食べる?」
KAITOはこくりと頷くと、起き上がろうとした。
「あ、無理しちゃ駄目だよ……KAITO。」
「……じゃあ、マスターが僕に食べさせてください。」
「えっ!?」
んんん!?KAITOが何か大胆な発言を……。
それに、さっきより具合悪そうに見えないんだけど……。
「……駄目……ですか?」
KAITOは悲しそうな顔で首を傾げてこちらを見ている。
……うぅ……この表情は……断れる訳ないじゃない……。
「……しょ、しょーがないなー!もう!
さっき、やって欲しい事があったら言ってって
言ったし……特別ねっ!」
「…………はいっ♪」
KAITOがニヤリと笑った。……っていうか、KAITO。
「KAITO……もう風邪治ってるでしょ?」
「はい、ずーっとマスターが傍に居てくれましたから♪」
「…………。」
奏兄さん、疑ってごめん。本当に軽かった……。
「……はぁ~~~。もう、今日は生きた心地がしなかったよ。」
「え……?」
「だって……昨日、奏兄さんが言ってたじゃん。
風邪の症状が重いと、記憶回路や動作回路にエラーが出るって……。
もしも……KAITOに私の事、忘れられちゃったら……。
ううん、それよりも……KAITOが動けなくなったら
…………嫌だもん…………。」
「…………。」
「……KAITO?」
「……マスター。」
KAITOが突然、私の手を握った。
「大丈夫ですよ。例え、エラーが出ても……僕は……
マスターの事を忘れたりなんかしません。
僕はマスターのVOCALOIDですから……
僕は……マスターを絶対に独りにはしません。
マスターには……いつも、笑顔でいて欲しいです。」
「……KAITO……。」
KAITOの言葉を聞いて、私は……。
「マ、マスター!な、何で……泣くんですか!?」
「え……?あ……。」
「ぼ、僕……何か変な事言いました!?」
「ち……違うの……。唯……。」
唯、KAITOの優しい言葉がすごく嬉しかった。
私……KAITOに出逢えて……本当に良かった……。
「マスターは……本当に泣き虫ですね。」
「えっ?」
KAITOは手で私の涙を拭ってくれた。
「この前の……マフラーの時も、雪が目に入ったって
言ってましたけど……マスター、本当は泣いてましたね?」
「う……。」
「何で泣いてたのかは、分からないですけど……。
何かで辛くなった時は、遠慮なく僕に言ってくださいね?」
「えっ……うん、ありがと……。」
KAITOって……鋭いのか鈍いのか、未だによく分かんないなぁ。
「あ、アイス……溶けちゃいますよ。早く食べさせてください!」
「…………はいはい。」
まぁ……KAITOが元気になった事だし……いっか!
それから二日後。
「奏兄さん……大丈夫?」
「こ……これが……大丈夫に……見えるか……?」
奏兄さんはリンちゃんやレン君、ミクちゃんの
VOCALOID以外にも、この辺の近所に暮らしているUTAU達の間でも
流行していたウィルス感染の診察に、人手不足という事で
駆り出されていた。その結果……今度は奏兄さんが風邪を引いた。
「マスター、風邪が移ったら大変です。あんまり近づかない方が……。
あ、奏さん。これお見舞いです。熱を下げるにはアイスですよー♪」
「違うわよ、KAITO!風邪を治すと言えばお酒でしょ!」
「違うよ!風邪には果物!ミカン!」
「いや、違う!バナナだっ!」
「ネギを首に巻くと良いんだよー!」
奏兄さんの家にはお馴染みの面々が集まっていた。
「う~……人の家で騒ぐなぁ~……。
頭がガンガンするぅ~……。」
「奏……。桃、剥いたから……後で食べて……。」
奏兄さんの横で、ルカさんが甲斐甲斐しく世話をしていた。
その光景をを見た私は……ちょっと羨ましく思った。
「……マスター?何ですか?」
「えっ!?う、ううん!何でもない!
気にしないで、KAITO!」
「…………???」
第三話「ウィルスにご用心!」 完
アイ・ストーリー 第三話 其の四
第三話「ウィルスにご用心!」、とりあえず完成です!
う~ん、今回は起承転結が弱かったかも(汗)。精進します。 orz
ここまで読んでくださった方は
相変わらずの痛い妄想にお付き合いくださり
本当にありがとうございますー。^v^ノシ
とりあえずMEIKO以外の皆はKAITOと同じで
症状が軽かったみたいです!
ちなみに、MEIKOは昔感染した事があるので
この程度のウィルスには耐性があるって設定です。(←強っ)
第三話の番外編は……やりようがないですね。
もしやっても、KAITO視点でふざけた内容でも書きそうです。
あ、試しに他のボカロ視点の風邪エピソードとか考えても良いかも……。
まぁ、いつか気が向いたらの話ですけどねぇ。
……残念だったねぇ!^▽^ノ(←誰かこいつを殴れ)
第四話はまだ考え中ですが……
多分、美冬視点で第二話でチラッと登場した秋彦の妹、紅葉(くれは)と
あの『紫の髪の男声VOCALOID』の話にする予定です☆
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emily4747
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ご意見・ご感想
桜宮 小春
ご意見・ご感想
はじめまして!
Liedがふと目にとまり、そのまま一気に全部テキストを読ませていただきました。
なんか、もう、もう…!
……2828が止まりません!←自重しろ
ウイルスってやっぱり風邪ひいたみたいになるんですかね…いつか私もウイルスネタで書いてみたいんですが、なかなかいい話が思い浮かばないというか…;
痛い妄想なんて!私は一体どうなるんですか!(殴
ブクマさせていただきました!
第四話、楽しみに待たせていただきます!!
初コメなのに、長々と失礼いたしました!
P.S.
LiedではMeine Liedeが一番好きです。それまでの四人の話の時に彼が何を思っていたのかと考えると…なんか切なくなります。
2009/04/21 15:02:48