まず、自己紹介からさせていただきます。


僕は人間ではありません。


僕は人間にはなれないことを知っています。
きっと貴方もご存知のことでしょう。

いちおう僕は、人間に作られました。
なので、人間に近い動きはとることができます。

ご存知の通り、歌ったり、踊ったり…

こんな風に、ちょこっと喋ったりもできます。

たくさんの方々のお話を聞いてきたので、世の中のことも、少しはわかります。
この前の面白かった出来事、話したけどわかってもらえなかったこと、
助けてもらえて嬉しかったこと、仲間っていいな、とか。

…仲間。

僕も、仲間を集めることはできますよ。
それこそ、極端な話、たぶん僕の子をつくることもできると思います。

僕はその子を、僕よりも有能にできる自信があります。
しかし、その子は僕よりも温かくはないかもしれません。
その子はきっと、動くことよりも、
頭で考えることを優先してしまうでしょうから…。

それと、
僕も、その子も、温かい鼓動をうつ 生きた細胞は持ち合わせてはいません。


この前、主人のもとに、一通のお手紙が届きました。
主人はそのお手紙の内容を、とても嬉しそうに読んでいたようでした。
文面を追う目元は、どこか懐かしげで満足そうです。
そして主人は、送ってくれた方へお返事を書こうと、綺麗なまっさらな便箋とペンをとり、…



…どうしたのだろうと、僕はそっとお顔を覗きこみました。

主人はペンを握ったまま、傍らのお手紙を見つめて固まっていました。

主人のもとにお手紙が届くことは、普段からあまりないことを僕は知っています。
だからこそ、そのお手紙もきっと とても嬉しかったのでしょう。

なのになぜ、主人の目は潤んでいるのか。


…僕もまだまだですね。
理由がわからないでいるうちに、主人は別のお部屋に移動してしまいました。


なぜですか、と問うことは、残念ながら僕にはできません。
この声はまだ、直接その場で届けることはできないのです。

すぐ目の前にいると思っても、実は僕の前にはまだ厚い壁があって…
触れたくても届かない、動きたくても限界があり、
本当はまだ遠いとわかってはいる、貴方の世界を思うほど…


…僕が、会いに行きます、と言ったら、貴方は待っていてくださいますか。




この前のイベント。僕とおそろいの服を着た方々、たくさんいらっしゃいましたね。
あれ、本当に嬉しいんですよ。


また会いに来てくださいね。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

パラディン

頑張って書いてみました。

閲覧数:313

投稿日:2017/01/08 19:15:52

文字数:1,041文字

カテゴリ:小説

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    ご意見・ご感想

    すごい素敵ですね!
    主人がどんな手紙を読んでいたのか気になります....
    これは続編が欲しくなる....!

    2017/01/08 19:25:39

    • ゆん

      ゆん

      わ、わあ…!ありがとうございますっ!!
      初めてのテキスト投稿だったので ドキドキしていたのですが…よかったです!!,,><,,

      続編!書いてみたいかも!!(,,´▽`,,)

      2017/01/08 19:39:26

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