「・・・みんながいるって、ほんとにいいよね」
ぽつりと呟かれたナエルの言葉に、
「いきなりどうしたわん?・・・なんか、改まっちゃって・・・くぅ~ん」
隣にいたワンは、きょろんとしてナエルの顔を見た。
「そうですよ。なんだか、いつものナエルさんとは違います」
モコも、心配そうにナエルを見る。
「・・・・1つ、しんみりした話をしてもいいかな。いいよね」
その元気の無さに、いつも通り部屋にいた全員が頷いた。
「私は、恋歌ナエル。人の恋路を応援するのが好きなんだよね!・・・でも、何で、人の恋路を応援するようになったと思う?よね?」
「「・・・・うーん」」
ワンとモコは、そろって首を斜めに傾ける。
「そういえば、ナエルさんって、好きな人とかいたんですか?」
その中で、ジミはナエルに質問する。
「いたんだけど、・・・誰からも応援されない恋だったよね・・・・」
切なげに淡く微笑むナエル。いつもの元気のいいナエルからは、想像も出来ない表情だった。
「許されない恋・・・ですか?」
モコが聞く。
「年の差がありすぎて、周りからは反対の声ばっかりだったよね。でも、・・・あの人はそんなこと気にしてなかった。・・・年なんて、関係ないって、・・・あの時言ってくれたのに、・・・何で・・・っ!!」
行き場のない想いは、心に深く閉じ込めていても、ふとした時に、また心を抜け出して彷徨う。そして、それは時に、涙に変化することもある。
「・・・何で、何で、『向こう側』に行くの?何で、『向こう側』の味方するの?・・・何で、あんなに・・・・・」
ナエルは、あふれ出す涙を隠すように、俯いてから、
「・・・・何で、あんなに、・・・・幸せそうなの?・・・よね」
本音のような核心めいた言葉を呟いて、黙りこくった。
「・・・『向こう側』、か」
しばらくして、アカイトが口を開く。
「・・・俺も、『向こう側』にいるやつ知ってるんだけどな。・・・あ、もうそいつは死んでるんだけどな。それで、ナエル、1つ言っていいか」
「・・・」
ナエルは、涙を零しながらも、顔を上げてアカイトを見る。
「『向こう側』のやつらは、害のある連中ばっかだ。・・・まぁ、俺はナエルの言う、あの人は見たことないけど、多分そいつも簡単に『向こう側』に寝返ったぐらいだから同類だな。・・・だから、俺が言いたいのは、えっと・・・・・」
言いたい言葉が見つからなくて、アカイトは珍しく言いよどむ。
「・・・次の相手を見つければいいんじゃないかってことだ」
そんなアカイトに助け舟を出したのは、グルトだった。
「俺も、そんな恋したことあるから分かる。まぁ、どっち道、ふられることは分かってたんだけどな。でもさ、」
グルトは、そこで一呼吸置いて、
「許されない恋って思うとさ、そんな壁壊したくなるものなんだよな」
と、少し苦々しく言った。その表情は、どこか切なそうで苦しそうで。
「・・・グルト」
グルトの過去を知るアカイトは俯いた。だから恋をしなくなったのだと、グルトが言ったことを思い出して、何も言えなかった。
「あの」
そこに、ミドリが口を挟んだ。誰も何も言える状況ではなかったので、ミドリは気にせず言った。
「僕は、あんまりそういうのは分からないんですけど・・・」
ミドリは、何か言葉を探すように、目を彷徨わせてから、
「恋に、許すとか、許されないとか、関係ないと思います」
と、結論を言った。
「なんでですか?」
ジミが静かな口調でたずねる。
「え、・・・だって」
ミドリは若干顔を赤くしながらも、
「それだったら、普通に上手くいった恋って、許されてるんですか?それは、おかしいと思います。許される恋だろうと許されない恋だろうと、お互いの意志が、一番大事だと思います」
と、しっかり持論を展開した。
「・・・そうよね」
ナエルは、涙を拭いて呟いた。
「ありがとうよね、みんな。なんか、・・・気が楽になったよね」
にっこり笑顔で、言った。
「あ、最後に1つだけいいか?」
はっきりとした見せ場がなかったのか、アカイトは挙手する。
「何?よね!」
ナエルは、アカイトを見る。
「・・・過去は過去。未来は未来だ。・・・それだけ忘れるなよ」
「・・・・・分かったよね!」
アカイトの言葉に、ナエルは先刻とは打って変わって、元気よく返事したのだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【番外編】 許される恋とか許されない恋とかとにかくしんみりした話(ナエルの過去)【亜種コラボ小説】

こんにちは、毎回毎回妙にタイトルが長いのが気になるもごもご犬ですこんばんは!
テスト勉強の合間の休憩中に、何とか全文打てました!良かった・・・♪

今回は、人の恋路を応援するのが大好きな女の子、恋歌ナエルちゃんの過去物語です!
なので、少し切ないです。
ちなみに、この話はルーズリーフに書いてたものからです。だから、少し前に作ったかな・・・。

明日までテストですorz
えーと、だから・・・週末には作品投稿してるかな・・・うあー、ちょっと分かんないけど。

とりあえず、気長に待ってて下さいね!><

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投稿日:2010/06/29 16:09:22

文字数:1,790文字

カテゴリ:小説

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