<十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出! 第7話 乙女心>
(2F、食堂の隣の通路)
一行は黄色の鍵で開けた食堂の扉から、隣の通路に躍り出て、入り組んだ通路を走り抜けていた。走り抜けている範囲で、この通路には扉が無く、どうやら“突き当たり”に1個だけ扉があるケースだと、海斗は走りながら考えていた。
その予想は的中していた。通路の一番奥に扉が1つだけあった。
海斗:この扉の先の部屋か!。
リン:とにかく入ってみましょう。
海斗は扉を調べ、施錠されてない事を確認してから、その、“他とは違うちょっと豪華な観音開きの扉”を開けてみた。
そこはかなり広い部屋であり、部屋の種類は“バー&ゲームコーナー“だった。
***
(2F、バー&ゲームコーナー)
L字型カウンターの奥には酒類が沢山置かれており、L字型のテーブルに沿って、固定式の丸椅子が数個設置されていた。扉の右横には、椅子と丸テーブルが2組置かれており、ちょっと奥にジュークボックスも置かれていた。そして一番左奥には、大型筐体のTVゲームが1台、椅子が3つ置かれていた。
そして、この部屋には、ハクが3人、ネルが3人、テトが3人の、計9名が存在していた。ハク達はL字型のバーカウンターに座っており、ネル達は大型筐体のTVゲームの前の椅子に座っていて、テト達はジュークボックスの前のテーブルの横の椅子に座っていた。
海斗:う・・・一気に3人分来たのか・・・。
ミク:ミク~、なんか迫力ありますね。
ルカ:部屋が広いから、良かったですね。
めぐみ:確かに3セットで同じ人物がいるピョンから、ある意味凄いピョン・・・。
リン:しかし今回は、3人セットが3組で、分かれているみたいですね。
レン:って事は、ルールも違うか、1セットずつ解決か・・・。
そのとき、L字型バーカウンターの隅に置いてあった、小型ラジオから、またもやノイズ混じりの声が聞こえてきた。先ほどの男性の声である。
テル:ようこそ遊技施設へ。ここではルールを少し変更しているから、良く聞いておくように。見ての通り、3人で3組のセットになっている。君たちは、ここでは、一組ずつ解決して貰う。但しここの3人の仲間は全員言い当てないと、君たちの仲間にはならない。
海斗:リンレンの時とほぼ同じか。
テル:そして、本物を言い当てるルールだが、今回だけは質問ではない。1回だけ、彼女たちに“何かをする”指示を与え、その一連の行動を見て、本物を言い当てるのだ。
海斗:何!?。
テル:その“何か“だが、彼女たち3人とそれぞれの偽物がいるエリアで理解できるだろう。ハクはバーカウンター、ネルはTVゲーム、テトはジュークボックス。つまり、”何か”は、それぞれのエリアにあるものを使う事に限定される。例えば、ハクにお酒を飲ませる、ネルにゲームをプレイさせる、テトに音楽を聴いて貰う、そういう事だ。
めぐみ:随分、今回は凝ったルールにしたピョンね。
レン:しかし、ルールとしては、かなり難しい部類ですよ。行動のクセとか知らないと、識別出来ないし。
テル:では、健闘を祈る。ここが終われば、宝玉の守護者であり、我らの主が、最後の相手をしてくれるだろう。
海斗:残りは・・・メイコか!!!!。
ガーーーー、プツン
ラジオからの声は、ノイズ音だけになったあと、消えてしまった。ラジオはもう動いていない。
めぐみ:海斗、大丈夫ピョンか?。
海斗:だ、大丈夫だ。確かに彼女達3人との“直接のイベント”は皆無だ。むしろこういうルールの方がこちらもやりやすい。
ミク:でも、この3人のクセを熟知するには、あまりにも短い時間だったミクよ?。
海斗:蛇の部屋での彼女たちの会話から、ヒントは得られると思っている。
ルカ:で、最初は誰にします?。
海斗:まずはハクだ。あの3人でもボス格だったし、個性がはっきりしていた。
リン:ハクさんと言えば、“ウワバミ”並の酒好きで、召還師でもありましたね。
海斗:他にも1つ、決め手の“イベント”があった。それを絡めてみよう。
レン:ありましたっけ、そんなの?。
海斗は、ハク達がいるバーカウンターの奥に移動し、海斗自身が“バーテンダー”になるシチュエーションを作るようだった。
(バーカウンター)
めぐみ:ピョン!、海斗、なにやってるピョン!。
海斗:まあ、任せて置いてよ。あ、ハクだけど、ちゃんと胸にNo.が書かれたバッジをしているから。
ミク:わ、わかったミク。
海斗:では、ハクさん達、俺がバーテンダーになります。俺達が蛇の部屋に入ったときにしていた“あなた達の酒盛り”で、あなたが他の二人相手に話していた“話”に沿う、カクテルを一杯、注文してください。注文通りのモノを作って、ちゃんとアナタに飲ませて上げますから、真剣に。
ミク:ミク~、海斗さんって、バーテンダーの経験もあったんだ・・・。
めぐみ:お手並み拝見としましょうピョンか。
No.1のハク:バーテンさん、“ラスト・キッス”を頂戴。
海斗:・・・・かしこまりました。
海斗は、ラム酒とブランデーとレモンジュースを必要量、シェーカーに入れてシェークした後、カクテルグラスに注いで、No.1のハクの前のテーブルに置いてあった“コースター”の上に置いた。
コトッ
海斗:お待たせしました。
No.1のハクは、それを一口飲み、バーテンの海斗に呟いた。
No.1のハク:はぁ~・・・男なんて・・・・。
次にNo.2のハクが注文をした。
No.2のハク:バーテンさん、“キール“を頂戴。
海斗:・・・・かしこまりました。
海斗は、カシス・リキュールを入れたワイングラスに、ワインを注ぎ、軽くステアした。その後、No.2のハクの前のテーブルに置いてあった“コースター”の上に置いた。
コトッ
海斗:お待たせしました。
No.2のハクは、それを一口飲み、バーテンの海斗に呟いた。
No.2のハク:お友達の前途を祝して、乾杯!。
次にNo.3のハクが注文をした。
No.3のハク:バーテンさん、“ホット・バタード・ラム“を頂戴。
海斗:・・・・かしこまりました。
海斗は、取っ手のついたグラスにラム酒と角砂糖を入れ、熱湯を注ぎ、その上にバターを浮かべ、その後、No.3のハクの前のテーブルに置いてあった“コースター”の上に置いた。
コトッ
海斗:お待たせしました。
No.3のハクは、それを一口飲み、バーテンの海斗に呟いた。
No.3のハク:ちょっと風邪気味なのよね・・・。これ飲んで早く治そ・・・。
その始終を見ていためぐみは、不安だらけになって、海斗に文句を言った。
めぐみ:ちょっと!、これじゃ、区別できないピョン!。単に違うカクテルを作って飲んで貰っただけピョン!。
海斗:それと、彼女たちが飲んだ後に呟いた内容が、答えなんだよね。
ミク:ミク?。
海斗はバーカウンターから出てきて、ハク達の前に立ち、おもむろに説明を始めた。
海斗:キメセリフを言う前に、説明する。No.1のハクが頼んだ“ラスト・キッス”は、失恋の時によく飲まれるカクテルだ。つまり、話していた話が“コイバナ”であることを意味している。No.2のハクが頼んだ“キール”は、祝いの席に飲まれることが多いカクテル。つまり、何らかの“祝い事”の話をしていたことを意味する。最後のハクが注文した“ホット・バタード・ラム”は風邪気味の時に体を温めるためによく飲まれるカクテル。つまり、“風邪を引いている”ことが話だったと言っているのだ。
リン:?、ただそれだけでしょ?。
海斗:俺達が来たときに、彼女たちが話していた酒の肴の話は、“ハクのコイバナ”しかも、ハク自身があんまり語りたくないそぶりをしていた位なので、失恋か何かだったと思う。
海斗はしっかと、No.1のハクを指さして言った。
海斗:「君が本物だ」
シュン!
No.2とNo.3のハクは消えてしまった。どうやら正解だったようだ。しかし本物のハクもその場に膝を落としてしまい、海斗達にも反応しなかった。
海斗:なるほど、3人全部正解しないとダメというのは、こういうコトか。じゃあ、次はネルだ。
一行は、TVゲームのエリアへ移動した。
十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出! 第7話 乙女心
☆オリジナル作品第11弾である、「十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出!」の第7話です。
☆クエスト部分と大事なイベントの2つです。戦闘は次回です。
☆去ってしまったメイコさん、さて、海斗達はどうなるやら・・・。
******
hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct
☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5
☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1
☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf
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考え過ぎて馬鹿になってはいけない
所詮僕らは人間だ
硝子の破片を丁寧に拾っていては
誰だって生きづらいだろう...publicdomain
Kurosawa Satsuki
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ご意見・ご感想
nai☆
ご意見・ご感想
うげ、今度は3人×3人か…。なるほど。ギミックを変えましたか。いやぁ、9人一斉にぺちゃくちゃしゃべられたらどうしようかと…。
そして最後はメイコですね。
前回は珍しく卑怯要素が見当たらないなーと思ってたので(見落としてたらゴメン)、此処で卑怯炸裂か!?
…と思いきや、思いっきり裏の裏をかかれてしまいましたね。
いいや! 負けるな海斗! 君には『卑怯』という大きな力があるではないか!(殴☆
イテテ…。そ、それに、君自身ほのぼのした雰囲気で忘れているかも知れないけど、負けちゃったら文字通り『帰らぬ人』になっちまうんだぜ!
このまま次回は「海斗終了のお知らせ」になってしまうのか? それでいいのか!?
2010/07/05 20:47:01
enarin
nai☆様、今晩は!
> ギミックを変えましたか
ワンパターンでは面白くないので、色々な形でやってみました。しかし、ここはちょっと密集でしたね。
> いやぁ、9人一斉にぺちゃくちゃしゃべられたらどうしようかと…
これは、こちらから言われたことを語る事にしているので、室内は静かだったはずです。
> そして最後はメイコですね
はい。問題のメイコさんです。
> 思いきや、思いっきり裏の裏をかかれてしまいましたね
AHS組は裏の裏を使ってきましたね。毎回ではばれるから、最後の大事な所だけで・・・。
> 君には『卑怯』という大きな力があるではないか!
はい。今のところ、ステータスに変化がないので、卑怯ステータスのままです。
> 負けちゃったら文字通り『帰らぬ人』になっちまうんだぜ!
その通りです。某メガなテンの通り、主役が死んだら、Game Overです。だからこそ、このステージでは仲間の助力が必須なのですね。
> このまま次回は「海斗終了のお知らせ」になってしまうのか? それでいいのか!?
それでは話が終わってしまいますので、ビンタなり、殴るなりして、正気に返させるはず。もう一度メイコさんと話をして、謝るなり、誤解を得なりしないと、海斗的にも納得行かないと思います。
このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!
2010/07/05 21:33:25
nonta
ご意見・ご感想
これでラスト、メイコさんまでパーフェクトクリア…と思ってたら!
うわぁぁぁ!やっちゃいましたねwww
海斗が落ち込むのも仕方ないかもですが、ここは付いて来てくれてる皆とメイコさんの為にも頑張ってもらいたいとこです。
めぐみさんなんてあんな憎まれ口きいてたのが、気が付けばすっかりツンデレ状態(?)で頑張って支えてくれているのですし。
元をただせば海斗に非があったともいえるワケで、もう一度メイコさんに会って話すチャンスを得るためにもここは勝利してもらいたいとこです。
2010/07/04 22:01:38
enarin
nonta様、今晩は!
> パーフェクトクリア…と思ってたら!
ミキ達3人が作ったメイコさんのトラップは、海斗が作った引っかけ問題の更に裏でした。心理戦だったのですが、結局最後だけは引き分けのようになりましたね。メイコさん、どうなっちゃったのでしょうか???
> うわぁぁぁ!やっちゃいましたねwww
海斗、地雷を踏みましたね!。今まで違和感がありながら、海斗が隠していた事実の公開で、メイコさんを本気で怒らせてしまいました!。真っ黒な影のような姿でエリアから出ていってしまったので、ここでの戦闘は、海斗を除くと、一番頼りになるキャラ。さて、どうなるのでしょうか?。それとユキが語った、”一人では勝てない”、の理由とは?。
> 頑張ってもらいたいとこです
そうですね。ここまでのトラップでも力を貸してくれましたし、ここでの戦闘でも、ユキの話の通りなら、絶対いなくては成らない存在。メインになるだろう海斗、頑張って欲しいです。
> 気が付けばすっかりツンデレ状態(?)で頑張って支えてくれているのですし
そういえば、キャラがコロコロ代わってましたね。卑怯というより、参謀であり、ツンデレさんでもあり…。
> 元をただせば海斗に非があったともいえるワケ
これはメイコさんが怒るのも無理ないことで、海斗の責任は逃れられないですね。
> 会って話すチャンスを得る
そうですね。もう1回、話せるのなら、しっかり話して、今の気持ちを伝えられたらと思います。
> ここは勝利してもらいたいとこです
さぁ、ここでの戦闘は、仲間がいないとだめなところ。その理由とは?。
このたびのご閲読、コメント、有り難うございます!
2010/07/04 22:42:03