「ふわぁ・・・・・ぁ」
「やっと起きましたか、アリス様」
朝の余韻もすっかり消え失せてしまった時間の中で、目を覚ますアリスに、執事は優しく声をかけます。
「・・・あら、もう昼?」
「そうですよ、もう昼です」
「・・・・・・・・・あら? ・・・え、何これ・・・?」
アリスは何やら目を丸くして、自分の左手を見つめました。
「どこか痛むんですか? ならメイドを・・・」
「ちがう。ちがうの。・・・執事、・・・見えるかしら?」
首を振って、執事に左手を見せるアリス。しかし執事には当然何も見えるはずは無く、
「・・・僕には何も見えません」
「ていうか、執事、手を出してくれるかしら?」
「えっ、いいですけど・・・」
アリスは、執事の手と自分の手を見比べました。
「うーん・・・」
その間、平均よりも多く脈打つ執事。頭につけているうさ耳も、かすかに震えています。
「この糸は何かしら・・・」
「糸?」
アリスの呟きに、執事が聞き返すと、
「そうよ、執事。私と執事は『赤い糸』で結ばれているの! でも糸は青いの・・・おかしいのよ・・・」
「『赤い糸』、ですか・・・」
そういえばずっと昔のとある過去を、執事は思い出しました。それは・・・。
まだ、アリスが2つ3つこ頃の話です。
「しーちゅーぢー!」
「はい、何ですかアリス様」
大声で叫ぶアリスに、隣にいる執事は優しく笑いかけます。
「んー・・・、・・・でけた!」
幼いアリスは、執事の右手に、赤い糸をおかしな片結びで結びました。
「それで・・・、んー・・・、・・・むー・・・」
「今度は僕がしてあげますよ、アリス様」
悪戦苦闘するアリスの右手に、執事は赤い糸を結んであげました。
「・・・はい、できましたよ」
「わーい、でけたでけたー!!」
「それで、・・・これって、何の意味があるんですか?」
無邪気に喜ぶ幼きアリスに、執事は素朴な疑問を投げかけます。
「しゅきな人とはねぇ、あかいいとでねー、つながっているの!」
「しゅきなひと、ですか」
「そう! しゅきなひとー」
「・・・それって、僕ですか?」
「それはねぇ・・・」
「執事? ちょっと執事! どうしたのよ、全く・・・」
「ん? あ、・・・すいません、アリス様。ちょっと思い出を思い出しましたので、つい・・・」
「あー、ロリ態な執事は、今の私よりも、昔の小さな私の方が良かったと・・・」
「なっ、ちょ、それは・・・」
「それは、何?」
「・・・僕は、・・・どのアリス様も、・・・その、大好きですよ・・・、すっごく」
「あ、認めたわね、執事。よーし、今度メイドたちに言いつけてやろうっと。・・・それでね、執事。この『青い糸』の謎を解くわよ!」
「謎だなんて大げs」
「なーにー?」
「いえ、何でもないです」
「そう? ならいいけどー」
「・・・それで、どういう風に、謎を解くんですか?」
「占い師を呼んで、執事。この国で一番の、占い師をね」
アリスは不敵に、執事に言ったのでした。
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