【第十八話】STRUGGLE
「リンッッッ!!!!やめろッ!!!」
グミさんの声が響く。
ごめん、からだが勝手に動くの。
止められないの。
「るぁぁぁぁああああああああああッ!!!!!!!!!!」
私はルカさんに向けて、全速力で剣を振りかざした。
ルカさんは避けようともしない。
逃げようともしない。
反撃しようともしない。
でも、いいか。
カイトさんに手をかけたのは、お前だろ。
どうして、あの場にいたカイトさんだった?
私でもよかったんじゃないのか。
「リン!!!!」
今度はレンの声。
ごめん。
ごめんなさい。
剣から放出する光は、今まで見たことないほど、眩しかった。
見ていられない。
それを思い切り、ルカさんにぶち当てる。
――――コォアッッッ!!!!!!!!!!
直撃。
光がひいた後、現れたのは一撃で、息絶え絶えになったルカさん。
あと、2・3回もすれば十分だ。
もう一度。
――――コォアッッ!!!!!!!
「ハッ……ハッ……ハッ……ハ…」
光を出すたび、からだが重くなっていく。
情けない、荒い息ばかり口から漏れる。
もう…一度
――――コォアッッッッ!!!!!!!
「…ハッ…………ハ…ッ……ハッ……ハ……っ」
3回目でルカさんは地面に膝をついた。
ザマあみろ。
しかしどうして、反撃しないんだ。
私が初めて見たときの、あのルカさんの面影が感じられない。
覇気がない。
……まあいいか。
どうせ、もうすぐ死んじゃうんだから。
もうすぐ、殺しちゃうんだから。
どうでも、いいや。
もういち…ど…。
振りかぶった。
大きく。
やばいな。
目の前が真っ白だ。
何も見えない。
早くしないと、光が消える。
でも、何にも見えない。
「リンっ聞こえるかッッ!!!???」
レン…。
「いいか?よく聞け!!!」
早くしろ。
光が消えるだろ。
「カイトは死んでない!!!!!!!!」
―――え…?
――――――――プツ…。
私の中でそんな音がした。
何かが切れた。
力が入らない。
落ち――――。
トサ……。
――――なかった。
眼をわずかに開くと、そこには、レン。
今私は、レンの腕の中。
すっぽりと納まっている。
「……グミが、奈落舞の底にいたのを拾ってきた。息はある…けど、もう……」
「はっ…は……」
返事ができない。
その時だった。
レンの手の中から、しゃらりと、儚げな音がした。
あの簪だ。
カイトさんから受け取ったのに、私ってば落としてたんだ。
「ほら、落とすなよ」
私は震える手で受け取る。
「お前なあ、飛んだことないのに空中からやりやがって、しかも特大の。そりゃ、喋れなくもなるよ」
ごめん。
返事できないや。
周りを見渡すと、壊滅的。
私がやったんだ。
しかも私…ルカさんを殺そうと―――。
「ほわ―――すっごいね―――っこの有様は」
場違いな声がする。
「ミク―――!!」
「うんそうだけど何?」
ミクさんが――。
「何しに来た。ルカはもう、致命的だ」
「え、うん。わかってるよ?だから――――」
薄眼で見たけど、ルカさんは倒れている。
あれは―――、もう―――。
「助けに来てあげたの」
少しずつ、ルカさんに歩み寄るミクさん。
「ルカ、カイト死んでないって。どうすんの」
「!!!!!!!!」
ルカさんが声をあげた。
カイトさんが死んでなくて、失敗したからなのか。
はたまた違うのか。
「っカイト――さんっ」
今までとは違った声で、無理やりからだを起し、カイトを寝かせている方へ駆けていく、ルカさん。
「……どういうこ…と…」
「…わかんねえ…」
レンに聞いても、わからないらしい。
カイトさんに駆け寄ったルカさんは、カイトさんの手を握った。
「ねえ…、どうして…、治癒能力だけど、フィールドくらい作れるって……言ったじゃない…っ。底を作るから、それで防いでって…言ったでしょ?私っ!!そしたら…、殺そうとしたことになって……っ、この…バカげた闘争は…規約違反で……きっと終わるとも…言ったよね?ねえ、どうしてよぉ!!!!!」
「――…ルカ…、ごめん…、やっぱ…り、殺そうと…っ…しただけじゃ…終わらないと…おも…たんだ…。ごめん……僕が、っ……死んだら…確実に終わる……」
なるほど…。
「ダメだよカイトさん!!!!!!!ねえ…、この闘争が終わったら……結婚……しよう…て、言ってくれたじゃない…っ!!!死んだらそれも―――」
「ごめん…でも、もう無理だ…。だから最後に―――」
カイトさんは懐からナイフを取り出し、力を込めた。
瞬く間に、すべてが元に戻っていく。
めくれた地面も、傷付いたルカさんも、家も、私も。
からだが、軽い。
すべてがそっくりそのまま、元通りになった。
私を放す、レン。
「カイトさん!!!!!」
私は駆け寄る。
もう、カイトさんは、眼を開かなかった。
二度と。
「ぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
ルカさんの絶叫。
つまり、ルカさんは最初から殺すつもりじゃなかったんだ。
この戦いを終わらせるつもりだったんだ。
「――つま―んなーいっ」
「!!??」
「ミク―――」
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彼女の息が荒い。
「―――ぁ――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
どこから突き破ったのか。
どこからさしたのか。
いつの間に―――。
胸を後ろから突き刺す形で、剣が――――――。
――――ルカさんの胸を、堂々と射貫く――――。
目の前は紅く染まる。
コメント2
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ご意見・ご感想
しるる
ご意見・ご感想
さて、停滞していた感想かきかき、がんばるぞーw
光が消えてゆく…
リンちゃんは、耐えれるのか…
2012/11/24 18:16:34
イズミ草
おお!
うれしい限りです!!
実は今回で、ルカさんは悪い人じゃなかったということがww
2012/11/24 18:38:40
Turndog~ターンドッグ~
ご意見・ご感想
なんでこう悲しいの!
ルカさんもカイトも悲しいよ!
こっちの話が薄っぺらく見えるぐらい悲しいよ!
そして悲しすぎる分だけミクの無邪気な残酷さが際立ちすぎてめっちゃムカつくよ!どうしてくれる(八つ当たり
あかん、これは…書きたい衝動を抑えられなくなるじゃないか!どうしてくれる(ええかげんにせい
書くだけ書いておこうかな…って意味ないしいwww
2012/08/26 20:05:18
イズミ草
作戦通りですねww
ルカさんとカイトさんの悲しみをバックに
ミクのえげつなさを際立たせようという…。
……いや、嘘です。
そういうの全然考えてませんでしたwww
2012/08/27 11:04:47