ミクさんが、エプロンを付けて自慢げに立っていた。
彼女が持つお皿の中には、料理っぽいものが鎮座している。
「その、得体の知れない料理は何ですか。」
「私の自信作。こう見えても、美味しいって評判なんだよー。」
「本当に?」
「まだ余っているから食べてみて。美味しいよ。」
ミクさんがいそいそと動いた先を見ると、その横に、青いマフラーを首に巻いた不審者が倒れていた。
「おなか一杯なんだって。」
その瞬間、私の脳裏は、ある予感で満たされた。
「なんですとー。」
最後まで体を張る彼を、これほど恨めしいと思ったのは、初めてだ。
周りを見ると、黄色のツンツン頭。
鏡音レンよ、おまえもか。
その隣の紫頭は、かろうじて、意識はあるようだ。
ミクさんが、味見用にと、小皿を差し出す。
「どうぞ。」
勇気を出して、ほんの1口食べてみる。気の遠くなるような衝撃が、私の全身を駆け巡る。
「お味は如何?」
私の気持ちも露知らず、最後は眩しい笑顔で決めるミクさん。
* 「私の口には、合わないみたいです。」
* 「美味しいです。」 => とんでも属性 +10
---------------- 素直に指摘する
私は、近くにあったミルクを一気に飲み干した後、正直に彼女に告げた。
「私の口には、合わないみたいです。」
それを聞いたミクさんは、首を傾げて、こう返す。
「おかしいなあ。VOCALOIDと人間は、味覚が違うのかなあ。」
いいえ、味覚が違うのは、あなただけですよ、きっと。
---------------- 褒める
「美味しいです。」
私は、全身から発する魂の叫びを抑えて、こう答えた。
「ありがとう。沢山あるから、好きなだけ食べてね。」
お皿を山盛りにして渡すミクさん。その笑顔は反則ですよ。
私は彼女の笑顔だけを頼りに食べ進み、倒れる前に、先人達と同じ言葉を呟いた。
「ごちそうさま。」
混濁した意識の中で、彼女の声が明るく響く。
「この料理。私の歌を聴いてくれる人達に、これから食べて貰うんだよ。」
既に倒れた私には、彼女を引き止める力は、もう残ってはいなかった。
エプロンを付けたミクさん
「ミクさんの隣」所属作品の1つです。
まとめ読みしたい方は、ブックマークなどからどうぞ。
ブックマーク = http://piapro.jp/bookmark/?pid=to_dk&view=text&folder_id=173153
to_dk作品紹介(ブログ) = http://tounderlinedk.blogspot.com/2010/07/blog-post_4264.html
コメント0
関連動画0
オススメ作品
【1番】
でこっぱち でこっぱち
なんで そんなに まぶしいの
でこっぱち でこっぱち
風を切って どこいくの
世間の荒波 かき分けて
歌えや 踊れや でこっぱち
【2番】
でこっぱち でこっぱち
なんで そんなに まんまるい...【音街ウナ&歌愛ユキ&初音ミク&GUMI&flower】でこっぱち音頭【歌詞(Lyric)】
アァ虫 s(AaBugs)
【1番】
白くかがやく砂浜に横たわり
遥か水平線を眺めれば
イルカ達たわむれ飛ぶ
しぶきがまぶしくて
船が小さく見え
なんともいい気持ち
Island Beach
ほほえむ太陽が
この身をこがすよ...【音街ウナ&歌愛ユキ&初音ミク&GUMI&flower】Milky Wave【歌詞(Lyric】
アァ虫 s(AaBugs)
しょーねんとりゅーせいぐん
煌めく夜空に流れる 一閃の星屑たちが
無限の彼方から 遥々辿り着いたこの世界は
So beautiful wonderland
もしも この星空が僕の物になったとしたら
きっと 楽しい毎日が待ってるでしょう
僕らはずっと 眺めていた
素晴らしい 流星群のショータイム
⭐︎...花屋八合様 速くて能天気な曲【歌詞募集】 応募用歌詞
Lyri-B
誰かを祝うそんな気になれず
でもそれじゃダメだと自分に言い聞かせる
寒いだけなら この季節はきっと好きじゃない
「好きな人の手を繋げるから好きなんだ」
如何してあの時言ったのか分かってなかったけど
「「クリスマスだから」って? 分かってない! 君となら毎日がそうだろ」
そんな少女漫画のような妄想も...PEARL
Messenger-メッセンジャー-
廃墟の国のアリス
-------------------------------
BPM=156
作詞作編曲:まふまふ
-------------------------------
曇天を揺らす警鐘(ケイショウ)と拡声器
ざらついた共感覚
泣き寝入りの合法 倫理 事なかれの大衆心理
昨夜の遺体は狙...廃墟の国のアリス
まふまふ
僕に差し出された無糖のブラックコーヒー
頼んだ覚えはないけど
ちょっぴり不運な夜
砂糖とミルクで素顔覆い隠したら
淡々と胃に流し込み
ひとつため息を吐く
コーヒーも別に僕に飲まれたいわけなく
間違いで好きに作られ
勝手に嫌われてる
都合よくカスタムされ消費されるだけ...コーヒーのおいしさはいまいちわからないです
フクロー
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想