何も考えずに歩いていた。
ただひたすらなにかから逃げるように。
「結局こうなるのがオチかぁ、、、。」
昨日も今日もきっと明日も。
気づいたら知らない街にいた。
でも私は酷く落ち着いていた。
ここまでこれば大丈夫。
そう思っているのかもしれない。
「お姉さん、見ない顔だね。ここの街の人?」
あ”ぁ”、、、。人の声なんて今聞きたくなかった。
「大丈夫?」
うるさい。
「家はどこ?」
うるさい。
「どこか痛いの?」
うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。
「行く場所がないならうちに、、、。」
「うるさいっ!!!」
「!?」
「えぁ、、、ごめん、、、。」
やっと声を書けてくれたその人の顔を見た。
その人は、、、その子は、、、

顔の半分以上に火傷の跡があった。
「ううん。怒鳴られることはしょっちゅうあるから大丈夫。
ところでお姉さん。この街のひと?違うよね、、、。」
「えぇ、、、まぁ、、、」
「こんな街に来客なんて珍しいからなぁ、、、。」
「あの、、、この街は何ていう街なの?」
「んー、、、知らない」
「えっ?」
「知らないな。僕はここで生まれてここで育ったけど未だに
ここがどこなのかわからないし、他の場所も知らない」
「そっかぁ、、、君、名前は?」
「そなた。空に忠って書いて空忠」
「へぇ、、、。」
「お姉さんの名前は?」
「、、、何だっけ?名前。自分の名前、忘れちゃった」
「そっか。、、、ねぇ家がないなら僕んちきなよ。」
「、、、いいの?」
「いいよ!断る理由がないもん!」
「ありがと。優しいんだね。」
「あっ!そうだ!!君、、、空忠くんは何歳なの?」
「16、、、だったっけなぁ、、、。お姉さんは?」
「20歳以上だったと思うよ。
でもお酒も飲めないし、煙草も吸えないんだよね〜、、、。」
「、、、ねぇお姉さん?」
「なぁに?」
「なんで僕の顔の火傷について聞かないの?」
「う〜ん、、、。ひとの苦しいだろう過去は聞かない主義なの ニコッ」
「そうなんだね。お姉さんはいいひとだ」
「フフッ ありがとう。」
そうこう話しながら歩いていたら周りの家と比べて
少し汚れた家の前に空忠くんは止まった。
「ここ、僕んち。ボロくてごめんね」
「ううん。全然大丈夫だよ。家族は?」
そんな質問しなければよかった。
明るかった彼、、、空忠くんの顔はみるみる暗くなっていった。
「い、、、。」
「え?ごめん、なんて言ったの?」
「いないよ。僕がちっちゃいときに火事で他界した。」
「、、、そっか。ごめんね」
「いいよ。みんな馬鹿にするんだ。」
「私は馬鹿にしないよ ボソッ」
「えっ?聞こえなかったよ?なんて?」
「ううん!なんでもないよ」
それから一週間以上、空忠くんの家に住ませてもらった。
幸せだった。なにより、空忠くんの笑顔が私の生きがいだった。
でも、そんな何気ない日に、空忠くんは言った。
「どう?お姉さん。名前、、、いやっ、自分を見つけた?」
「えっ?」
「はじめて話した時、お姉さんは自分の名前を忘れて、
自分の住んでいる街を忘れて、もう何もかも忘れてた。」
「、、、。」
「でも、それは忘れてたんじゃなくて
思い出したくなかったんだ。
忘れたことにしたかった、、、。」
「、、、。」
「僕も同じだ。」
「えっ!?」
「僕も家族を失って、仲間はずれにされたり馬鹿にされたりして、
生きる希望を見失って、何もできなかった、、、
なにもできない自分を忘れたくて、捨てたかった。」
「、、、。」
「だから、僕も何も考えずにこの街をふらついてた。
そしたら、お姉さんと出会ったんだ。」
「、、、。」
気づいたら涙が出ていた。
ボロボロ泣いていた。
こんなに優しくて明るい彼が、、、
空忠くんが、、、
私と同じ、、、?
「お姉さん。今僕が生きていて、僕が僕であれているのは、
お姉さんのおかげだよ。お姉さんは僕の生きがいなの。」
「私がっ、、、?」
私は何もできなかった。
ただ住ませてもらって、
その御礼もできなかった。
そんな私が、空忠くんの生きる理由?
「お姉さん。お姉さんのやりたいことは?
叫びたいことは?ゆっくりでいいよ。
そしたら、きっと、、、全部思い出すよ」


___________
「これ、今日中にやっといて。俺は帰るから。」
「えっ、、、?ちょっと!!」
あーあ、またか。
やったことない意味のわからない資料を
上司から渡されて断れなかった。
「どーゆーことだよー、、、。意味わからんー、、、。」
カチッ
あっ、、、会社の電気消えた。
終わりですか。
定時はもうとっくに過ぎてる。
終電は2時間前に通り過ぎてった。
「まぁた歩いて帰るのかよぉぉぉぉ、、、もう無理だってぇぇぇぇ、、、。」
まあ、嘆いていても仕方がない。
資料をカバンに詰め込み、私は会社を出る。

あーもー面倒。何もかも。
私こんな事するために生まれてきたわけじゃないのにー!!
「はぁ、、、」
ドンッ!!
「ふぇっ!?」
後ろから大きな音が聞こえた。
思いっきり振り向いた!!
、、、が何も起こっていなかった。いや、
ひとつ物事が起こっていた。
「ここ、、、どこ?」
またなにも考えずに歩いてたから
20歳になってまだ迷子かぁ、、、。
「結局こうなるのがオチかぁ、、、。」

___________

私は、、、
私は私は私は私は私は私は私は私は私は!!
「私は!!人間だ!!
なんでもできるロボットじゃない!!
あんたらの!!奴隷じゃないんだ!!
私は!!私はぁ!!
生きてるんだ!!
あんたらのために生まれたんじゃない!!」
じゃあ何のために生まれた?
何がしたい?そんなの、、、
「私はっ!!自分の手でっ!!
幸せになりたいっ!!
私はっ!!私でありたいっ!!
私のっ!!ありのままのっ!!
私でありたいっ!!
あんたらの言う通りに動くのは嫌だっ!!
もうっ!!嫌なんだっ!!」
そうやって愚痴を言って、どれぐらい経ったのだろうか。
「ハァハァ、、、。」
「気分はどう?お姉さん。」
私は空忠くんに向かって力強くグッドを向けた。
「よかった。んで、、、。」

「はじめまして。
ありのままのお姉さん。
お姉さんの名前と年齢は?」
「私は、、、聖霊空忠。20歳です。」
「ニコッ」
「ありがとう。過去の私、、、かな?」
「ううん。今の君を過去として表しただけ。
んぁ、、、もう終わりだって。
さようなら。お姉ちゃん」
「さようなら、ありがとう。空忠くん、、、。」

___________
ピピピピピピピピピピピ
ん?もう朝かぁ、、、。
「おはよう、私。」

〈2年後〉
あの頃の日々は絶対忘れない。
あれから私は転職して、
ある程度ホワイトな会社に就任した。
「おはようござ〜います!せ〜んぱい!!」
「ん?おはよう、〇〇くん。」
「先輩、顔赤いっすよ?大丈夫っすか?」
「大丈夫。いつものことだよ。」
「ならいいんすけど>ω<」
「うん。そろそろ仕事だよ!席につきなさい。」
「は〜い、、、」
「はぁ、、、ニコッ」
「先輩!」
「うわっ!びっくりした!!なに?」
「お昼一緒に食べましょ!!ネ!!?」
「わかったから席について!!」
「うぃーっす!!」





ありがとう、空忠くん。


君のおかげで、今私は、、、




幸せです!!








END

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

幸せになるまでに(夢小説)

何もかもに疲れたときに人間は

「幻聴」や「幻覚」を感じる

でも、それが本当に現実じゃないのか。

言い直せば、

我々がいるとこをは

本当に現実なのか。

現実味を帯びた

非現実を思い浮かべる物語。






自分自身を見失うな。

閲覧数:28

投稿日:2025/01/08 12:58:03

文字数:3,043文字

カテゴリ:小説

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