タグ「詩」のついた投稿作品一覧(71)
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世界が大洪水に呑まれたのは何時だったろう
水に浸かった部屋で びしょ濡れの紙に
貴女への手紙を書いている
喘ぐ今日を息切れた世界
一億総人類の
窒息した言葉に絆されていく、よう
歌うように巡る時間は
よみがえる 記憶の走馬灯
私には噛み締める時間なんてないから
見下ろす 明日に聳える墓標たち...私は濡れた/濡らした紙に手紙を書こうとする
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老いた記憶と共に老いた忘却は
埃臭い想い出すら引き留めてしまう。
午前四時の明星が吹き込む北風の下、ただ静謐を湛えた藍の空に、
蘇る影は夥しく、僕をじっと見ている。
そこにいると確信していた。心を突き破るような確信があった。
確かにその時、あなたの質量だけこの部屋の密度が高まった。
貴方の声がした。...紡ぎ出したのは。
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『はじまり』
青い光だけが満たす狭い部屋で
何かが始まるように必死にもがいている
蛹を割って這いずり出た蝶の羽は濡れそぼったまま
今日永い日が暮れてまた宵闇が僕らの心を匿しても夢は流れ続けている
音がしている
呼吸だ 春の呼吸だ
街の隅を海原を星の塵を呑み込んで広がる波状胎動だ
生まれてくれきみ
生...衛星のかたちで
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何もない部屋で僕は
ひとつ メロディを歌った
あの人の手触りや 記憶、夢
白くなってみんな消えた
何もない部屋で僕は
明かりを消し 目を瞑った
ただ立ち尽くしたままで ぽつり、ひた
街の喧騒が遠かった
何もない部屋で僕は
空中に文字を描いた...【作曲者募集】歌はいらない
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A
涙が朝の温度で 目を覚ます
時計は午前6時を指す
昨日まで私だった少女が
晴れた空を飛んでいる
A
私のために笑っていてくれた
少女、ねえ どこまでも行って
昨日まであなたを封じ込め
傷つけた私の代わりに...少女旅想
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窓のない部屋
痩せこけた叙事詩
サーカスを
燃やす人はもういない
僕らは
空を連れて歩く
指はさらさらと
崩れ落ちていく
何かが液状化した
夢もベッドから...春の墓
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みんな 太陽をめざした
制空権にやぶれたら
あとは潜るしかない
空は ただ一幅の絵画
甘い唾液が溜まってゆくから
明日にはダイバー 同じ形の
世界を 砂嵐が包む
いくら叫んでも 声は届かない
みんな一斉に飛び込む 水へ
次の合図で、落ちるよ...ダイバー
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ゆられて
ゆられて
手放した 全て
わすれて
わすれて
うただけを 残す
そうして ぼくら
人になる一一一
なくした ものを
なくした ことを...cradle
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A
また 夢を見た
飴色に傾く街を 駆け抜ける雲
カーテンコールの夕立
それを破って来る君を
A
「終わりにしよう」
動けずに浮けずに僕は 夢の畔で
カーテンコールの迎えを
今日とて待っていたのにな...明滅
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『まんぼう』
我々は一頭のまんぼうだ
ぷか ぷか 浮かびながら
どこにも 行けない
我々は一頭のまんぼうだ
いつしか 泳ぐことも
忘れた 我々
石塔の上を 陽が差し掛かり
遠く素馨の ささやかな香り
どれほどの痛みに...『まんぼう』
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A
あなたは そのあと を
いくつ もっていますか
街のはて メルヘンのつづき
A
あなたは そのあと を
いくつ あげられますか
死んだあと 悲しみのむこう
B
そこに行けない から...あとのうた
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夜明けに
『季節が溜まっていくから』
季節が底に溜まっていくから
僕らは曖昧な返事しか出来ないんだ
海蘭を一つ摘んだ
波のまにまに 遠くへ
季節が底に溜まっていくから
俄に知らない場所に行きたくなるんだ
太陽を少し待った
白いシャツも 懐かしく...夜明けに
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A
写し取る 風景に
僕のこころは あるか?
映し出す 憧憬は
僕のこころの かけら
B
降り落ちる 雨が
空のいろを 少し持っているように
流れ出す 言葉
幸せの いろに なりますように...【作曲者募集】picture
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『幕が下りたら』
舞台の上で 光の中で のみ
共にいられる事を知っている
物語だけが 僕らをつないでいるから
瞬間 僕らは二人になって
幕が下りたら 闇の中へ帰って
お別れ
舞台の上で 腕の中で いま
きみの柔らかな身体が滑る
物語ならば 二人に歌が降り注ぐ...幕が下りたら、ほか
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Herald
雪は止み 真白に燃える
魂の帰り着く夜半
揺れる 静寂 ひとつ
青く 溪の空気は密か
悴む葉で 木立は 騒めき合い
白く足跡は闇へと消えーーー
おお わたしは
おまえに 会いたかった
吹き過ぎる夜風が...Herald
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A
焦燥 枯れた幻燈らは歌う
木枯らし 揺蕩に枯れた鐘の音
剥落 ここに吹き曝しのわたし
突き刺し 行旅は濡れた砂だ、ね
B
抱擁 灰色の夜明け いと高きところへ
燃え出す秋霜と 煤け、今は亡き春の手
S
花散らす風 前に 花抱く恋 思う...【作曲者募集】farewell
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A
窓の桟
積もる埃を 吹いた ああ
月の光が こんなにも
冷たくなったようなのは
いつからでしょう
A
夜がまだ 何か言っても
今日は もう
疲れてしまったようなんだ...【作曲者募集】眩しい様な
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fail.
~~~~~~
fail.
fail.
take fruits.
it's time to go.
blue jug.
fail.
夢が流れる。
裸足の夢。...fail.
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雨に秘密
A
雨が降るほど 乾いていく心を
空のバスタブ 呟いた言葉
残響と
さして僕らは 傷ついちゃいないと
軋むレコード 項垂れた言葉
反証を
B
水を注してよ...【作曲者募集】雨に秘密
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冷めた気球は 夢の隣に いつも
繰り返し 頷くだけの 漏斗と
初め呼吸は 錆びた街角のよう
皆 乞うに 思い出すため 航路を
うつろい うつろう 頓に晦ます奉賛 対 曖昧
梔子 砂場に脆い姿と相殺? 浮体 チムニー
うつろう うつろい 夜が再び崩壊しないように
揺り浮き 流離う さよならだけの本懐を...Retro
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まっさらな顔をして
ぼくの前に立つ
風は 人々の心を掻き回して
ひとつの 虹色を作った
端正な顔立ちで でも
もう ここにあるものは
見えていない顔で
そっぽを向く彼は
"さよならを言う前に"
と言った そして...たずねる
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瞼の裏に張り付いた、
目下、
いちめんのみどりだ!
同時多発的な、
透き通った青の、
微かに擦れ合う音!
ささやき、ささやく、ささやけ
一週間ぶりの、生だ!
わたしは、
ここで息を吹き返した!...!
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青ざめた風景の下で
わたしは あくまでも
間奏曲であった
日常から
滑り落ちていく
微かな影さえ
わたしの痩けた
頬を掠めて
帰っていくばかり
よろめいて...間奏曲
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絡まるイド
の延長線上には
再びさんざめく
衝動的膾炙と
夕陽
再び完成する
ことのない歴史に
遍在する
私たちの羽撃き
を縫い繋ぐ...取り交わされる赤
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A
くわえた硝子が鋭いので、
くるめいた今より鮮明な、
歌えば歌うほど透明な、
春の匂いの中にいたっけな。
すぐ皺を増やし朽ちていくような、
記憶などは追い越していくような、
未来さえ追いつけないくらいの、
いつかまやかしと知るスピードだ、
Ah…...【作曲者募集】スピード、忘れ物、春の空、遠く
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明日を待ちながら
A
クローゼットは その役目を終えて
ぼくを夜に沈める
今は 何を隠してるのかい
あれから黙ったままの 君も
A
思い出してしまうのは きっと
切なさを求めてしまうから
傷をつけた心が ぼくを...【作曲者募集】明日を待ちながら
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A
湿らせた衒いが 煙る二階の羽冠
A
君の手は懈怠飼う 駅に栄えた雲雀
B
るらりら 感動も平ら 四位体はいつも
灰 邁進とロール 聳えている
S
歌 感動は真中
暮らせば 高楼に白い笛の音...fairy
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今覚えていることは みんな
夢で見たことでしょう
目を横切っていくことは みんな
青くなってしまうから
色褪せた退屈を抱き寄せては眠る
大丈夫 みんな みんな 幸せだよ
夜を泳いでばかりの僕らは
見えないことを知らないで
もしくは? 見えないふりをしていた
のだろうか...およいでばっか
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一、
林檎の中の
きみの顔
熟れながら、赤らみながら
きみは色褪せていく
ランプの中の
きみの瞼
明滅と、混濁のたび
きみは薄れていく
二、...七篇の詩による「秋雨」
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わたしはわたしのなかへ とけてゆく
わたしは わたしを吸って 息をする
わたしは わたしを生かす 理由(わけ)もなく
わたしは わたしだと言う
なぜかは言えないけど
わたしは決して きみを泳がない
ただ きみにとけたいと
思うだけ
水の中の水みたいに
けれど きみはいつまでも...water under water