タグ「鏡音レン」のついた投稿作品一覧(41)
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君となら、どんな世界でも、生きていける気がしたよ。君と二人で生きていくために、いつかこの場所を離れるときのために……。
ねぇ、僕を笑ってくれないか。そんな日は、最初から来るはずもなかったんだって……今の今まで気付かなかった、僕のことを。
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酷い顔だな。鏡をのぞきこんで、溜息をつく。あ...【中世風小説】Papillon 8
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「リン?」
名前を呼ばれて、あたしはびくりと肩を震わせた。
「起こしちゃった?」
結局、会う勇気もなかったあたしは、メイコ姉も寝てしまった真夜中に、ようやくレンの部屋に行った。まさか、起きているとは思わなかった。
「眠れなくて。日中も寝てるから。時間感覚、おかしくなりそう」
荒い息の下から、絞...【中世風小説】Papillon 7
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「っと、わぁっ!」
朦朧とした意識の中で、ミク姉の声をきいた。その直後に、盛大に転んだと思われる音と、何かが転がり落ちる音。
リンもミク姉も、何もない道で転べるような人だけれど、今回は何か持っていたのだろうか。
唯一自由に動く左手で、ベッドのカーテンを開ける。俺の部屋の床に、何故だか果物が大量...【中世風小説】Papillon 6
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「リン! リン!」
身体を強くゆすられて、初めて誰かがそこにいることを知る。焦点の合わない瞳で、翠を見つけた。
「ミク、姉……?」
周りを見回す。誰かが床に倒れていた。そのすぐそばに、カイトが立っている。カイトが誰かを倒したらしい。
でも、何故。分からない。あたし、何してたんだっけ。
「よかっ...【中世風小説】Papillon 5
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流血表現があります。苦手な方は読むのをおやめください。
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失うことに、慣れる日なんて来るのだろうか。君を失ってもいいと思える日なんて、来るのだろうか。もし君を失いたくないと願い続けたら、失わずにいられるのだろうか。そんな自分勝手を、世界は許してくれるのだろうか。君は、許してくれるのだろう...【中世風小説】Papillon 4
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「わぁ、可愛いーっ! ほら、見て!」
並べられた商品を見てははしゃぐあたしに、げんなりとしてついてくるレン。
高熱にうなされているレンに無理やり、街へ出かける約束をさせて、今日ようやくのデートとなった。少し離れた場所を、何食わぬ顔してカイトが歩いている。一応、用心棒だ。
「なんなのレン、もっと楽...【中世風小説】Papillon 3
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君だけを見ていた、とか、君だけを守りたい、とか。
もうそんな、白々しい言葉しか思い浮かばない。それを証明するものなんて、もうどこにもない。
夢の中で、ただ君の姿を探していた。夢の中でくらいは、君の笑顔に会いたかった。
降り注ぐ光の中、噴水を浴びて、緑の絨毯に寝転がった日々。一日中、手を放さず...【中世風小説】Papillon 2
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あなたはもう、忘れてしまったでしょうか。二人でなら、何もこわくなかった頃のことを――。
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「ルカ姉! メイコ姉!」
あたしは、白い衣のすそが翻えるのも気にせずに走り、部屋に飛び込んだ。あまり品はないけれど、これでもこの王国の第三王女だ。
「ねぇ、レン見てない?」
部屋の中にいた姉二人...【中世風小説】Papillon 1
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気がつけば、誰かの腕の中にいた。朦朧とする意識の中、最初に見えたのは、金色の髪と白い肌。
「リン……?」
また彼女に助けられたのだろうか。ぼんやりと、歌うことも忘れてその顔を見ていると、金髪の少女は、そっとミクの頬に口づけを落とした。
「うん」
悲しいほど優しい声が、耳に響く。
急に意識が鮮...【小説】サーチライト 11
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デュエット
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歌声が響く。高く澄み渡る声は自由な小鳥のようで、しかしその声の主は狭く暗い部屋の中にいた。
扉には重い錠。窓には鉄格子。歌いつづけるのは、まだ十にも満たないような幼い少女。時折窓の外から差し込む月明かりに、翠の髪が淡く反射する。幼いが、「可愛らしい」という形容が似合わないほどの美貌であった。
...【小説】サーチライト 序
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