タグ「初音ミク」のついた投稿作品一覧(9)
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その名を呼ばれるのは好かないらしい。だから呼ぼうとして躊躇ってしまう。
マスターと二人きり。しかもマスターは動けない。こんなチャンスたぶんない。
マスターが風邪を引いた。面倒を見ようとした兄に代わりお世話をする事になったミク。
「今日のお昼はカレーだよ!」
カレーをマスターの...夏の始まり4
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カイトはそっと扉を開けた。
「ミク?‥‥」
居ると思ったのに、中には眠りに着いた楓の姿しかなかった。どこに行ったのだろう?まったく、マスターの世話を焼きたがったのは自分のくせに、どこかへ行ってしまうなんて‥‥
不甲斐ない妹を内心叱りつけ、カイトはそっと目の前に横たわる主人の髪を撫でた。
相変...夏の始まり3
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酒気を帯びた吐息がかかる。
「なぁにしてるのぉ?ヒック」
「何してるじゃないよ、姉さん。また昼間からお酒飲んでるの?」
べたりと背から手を回し覗き込む姉の吐く息は明らかにアルコール成分を含んでいる。豊満な胸が肩に押し当てられ、赤いジャケットの襟が僅かに覗く。手には酒瓶を持っており、セールで買った...夏の始まり2
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カイコがカイコになってから初めての朝。亜種達はそれぞれ個性的だった。見た目も中身も。
「おはようございます、カイコ。昨日は良く眠れましたか?」
紳士的なナイトが軽く会釈してカイコに話しかけた。
「お、おはようございます。お陰様で良く眠れましたよ」
カイコは元が男だからか、この紳士的な男の振る舞...合成亜種ボーカロイド3
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もし今願い叶うなら あなたの気持ちを知りたいの
あなたが望む私がいいの 私はあなたのモノだから
でももし願い叶うなら 私はあなたに伝えたい
あなたの想いに答えたい あなたの歌を歌いたい
あなたの望む私になりたい あなたがそれを望むなら
私は何でもやってやる
私はあなたのモノだから
あなたに手をかけて...願い叶えられるなら
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マスターの気持ち、何も知らなかった。
私はただ歌う事が楽しくて、あなたがどんな気持ちで私を買ってくれたのかなんて考えもしなかった。
もし許されるなら、私はもう一度あなたの歌を歌いたい。
もし許されるなら、私はもう一度あなたのボーカロイドでいたい。
私の声は届くかな?
さようなら…
もし...ごめんなさい
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ミクの流星観測
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運命の悪戯か、はたまたタチの悪い冗談だろうか。
あの日居なくなった年長組、昏睡状態に陥った長男カイトと長女メイコが居なくなってから早一年。
悪夢のクリスマスイブ。もうどれほどイブなんて無くなれば良いと考えた事だろう。
史上最悪のクリスマスプレゼントを貰ったあの日、大切な人を同時に二人も失って途方に暮...バッドエンドと呼ばれた奇跡
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あの日奇跡は起きた。確かに起きた。
だけど―――
奇跡の前、ボーカロイド一家。
「兄さんの病気、早く治らないかな?」
その日は一日中雨だった。
不治の病に冒された長男カイトが入院してからもう何年経っただろう。
もう帰らないとも知らずカイトが帰ってくる事を夢見て待ち続けるのは妹のミク。
窓辺に座り込ん...もう一つのエンディング