タグ:悪ノ反転
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狂い出す歯車
リンが王宮から連れ去られ、レンが声を嗄らして自室に戻った直後。
中庭で何が起こったのかを知らないメイコは、王宮に戻った直後に上層部から呼び出しを受け、部屋で告げられた言葉に愕然としていた。
「突然だが、会議でメイコ殿の罷免が決まった」
何を言われたのか理解出来ない。思考が止まり...蒲公英が紡ぐ物語 第5話
matatab1
裂かれる双子
行きたくない気持ちはあるものの、中庭から王宮に入るにはあそこを通るしかない。レンは内心の不安を誤魔化しながら、リンと一緒に大人達の方へと進んで行く。
出入りが偶然重なっただけだ。通して欲しいと言って王宮に入れば良い。レンは自分にそう言い聞かせていたが、違和感は強まるばかりで治まる...蒲公英が紡ぐ物語 第4話
matatab1
置いていかれた者
黄の国王都の共同墓地。王族が眠る一画で、メイコは一人佇んでいた。手にした花束を墓石に供え、赤い鎧姿のまま手を合わせて祈りを捧げる。
レガート・ルシヴァニア
アン・ルシヴァニア
二つの墓石には、黄の国の王と王妃の名が刻まれていた。
王都から南にある、自然が豊かで小さな町。...蒲公英が紡ぐ物語 第3話
matatab1
幼き誓い
長い廊下を進み、上の階へ続く階段を休み無しで上り、リンとレンはついに階段が終わる場所までたどり着いた。
閉じた状態の扉の前で二人揃って息切れし、膝に手を当てて体をかがめて息を整える。
「屋、上……?」
「そう、だよ……」
一足早く息が戻ったレンはリンが落ち着くまで待つ。しばらく経っ...蒲公英が紡ぐ物語 第2話
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黄の国の王子
黄の国王宮の中庭。薔薇が咲き乱れる庭園で二人の人間が対峙していた。一人は金髪に蒼い目の少年で、上質だが動きやすそうな服を着ている。もう一人は茶髪の女性で、赤い鎧に白のマントを着用している。二人はお互いに木剣を向き合わせていた。
少年は練習用の剣を両手で握り、正面の相手に振りかぶる...蒲公英が紡ぐ物語 第1話
matatab1
むかしむかしあるところに
悪逆非道の王国の
頂点に君臨してた
齢十四の王子様
のちの人々はこう語る
嗚呼 彼こそ正に悪ノ王子
プロローグ 旅の青年
「くあ……」
抜けるような青空の下。青年は口を大きく開けて両腕を上に伸ばす。呑気に欠伸をしている間にも適度な揺れが体に伝わり、座ったまま...蒲公英が紡ぐ物語
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