タグ:神の名前に堕ちる者
6件
声が止んだ。
「――?」
歌姫は弾かれたように振り返り、騎士の名を呟く。
騎士は手にした剣を放り投げ、歌姫に駆け寄り、包み込むように彼女を抱きしめた。
男の熱き血潮は凍てついた女の心を温め、女の冷えた腕は男の火照った身体を癒す。
歌姫は目を閉じ、掠れた声を震わせた。
「これは、夢?」
「夢...【小説化】神の名前に堕ちる者 5.母なる神の詩・人の子の歌(完)
海月大和
神子の護衛。それが、俺に与えられた新たな使命だった。
少女が消えた洞穴の前に立ち、俺は彼女との出会いを思い返していた。変わらない雨足が、肩の痛みと身体の熱を和らげる。何が待つかも分からぬ闇に目を眇め、長年を共にした相棒を握り締め、俺はインクで塗りつぶしたような穴の中に身を投じた。
正直に言えば...【小説化】神の名前に堕ちる者 4.哀しみに報いる者
海月大和
ばしゃん。
水溜りを踏みしめた具足が、濁った水を跳ね飛ばす。叩き付けるような豪雨の中、鬱蒼と茂る森を俺は駆けていた。行く手を遮る枝を剣で切り上げ、邪魔な石を蹴り散らし。木々の隙間をぬって降り注ぐ雨粒で全身を濡らしながら、立ちはだかる小岩を飛び越え、止まることなく真っ直ぐに、俺は走る。
冑(かぶ...【小説化】神の名前に堕ちる者 3.護り手たる騎士の話
海月大和
天を突くのではないか。そう思えるほどの巨木があった。
少女を追い、石の洞穴を抜けて開けた空間に出ると、目に付いたのは大人が両腕を回しても到底届かないであろう太い幹。その幹に隠されるように、来た道と似たような洞穴が見えるが、道の先は黒々として見通せない。
大樹の傍の岩肌からは水が染み出ており、澄...【小説化】神の名前に堕ちる者 2.痛みを問う者
海月大和
前髪を伝った雨粒が、ぽつ、と石畳に落ちる。固い地べたに座り込んだ私は、ざらついた石に染み込んでいくそれを、ただ眺めていた。
遠く聞こえる雨の音。この場に座り込んで、いかほどの時が刻まれたのだろう。石壁に背を預け、天井を仰ぎ見る。青白く光る苔が、重苦しい石の連なりを薄っすらと照らし出していた。
「...【小説化】神の名前に堕ちる者 1.神子たる歌姫の話
海月大和
神の名前に堕ちる者
ratattuer lesietir miah-shete ratattuer
神、その 名前とは
(reye-leala)
私は、問おう
hua-luetetir viate-siyete,yo
全てを知るというあなたに
ratattier,si-rayah mial...神の名前に堕ちる者
kaoling