タグ:私たちの花物語
7件
ぞくり、と変な悪寒が背筋を震わせた。
「世良?」
小首をかしげて、さらさらの真っ直ぐな金髪を揺らしながら奈々が心配そうに私を見た。
「気にしないで。一瞬…寒気がしただけ。」
「風邪かな?世良最近人混みにいること多いから」
「居たくているわけじゃ、ない。」
大勢の人がいるところはまだ慣れないし、人と目...私たちの花物語 ゼラニウムの不安、彼岸花の敵意
鈴猫(りんねこ)
奈々が、変わった。
ある日を境に、変わってしまった。
「せーらっ!」
「な、奈々…重いわ…あと苦しい」
「世良はかわいいなぁ…かわいいかわいい可愛すぎるよおおお!」
「とりあえず私を離して話を聞いてちょうだい。窒息するわ…」
世良と呼ばれたあの娘。
あの娘と登校した日あたりから、奈々は別人のように変...私たちの花物語 彼岸花の苛立ち
鈴猫(りんねこ)
あと一限で午前中の授業は終わる。
ちなみに四時限目は担当の教師が休みのため自習だ。
クラスの連中も実質今からの長い休み時間に浮かれている。
既にぐっすりと昼寝をしている奴もちらほら見受けられた。
かくいう俺も、教師にうまく見つからない程度に校舎を徘徊しようと考えてたりする。
携帯を片手にさてどこふら...私たちの花物語 紫君子欄への想い
鈴猫(りんねこ)
お昼休み。
私は世良に連れられて裏庭へ続く通路を歩いていた。
登校中、世良はお昼を一緒にしようと切り出してから、私が話さない代わりに一生懸命に会話を続けようとたどたどしく自分の話や勉強の話をしてくれた。
私はそんな世良を見て、少しずつ調子を戻していった。
おかげで学校に着くころにはいつも通りに話す程...私たちの花物語 紫君子欄の光
鈴猫(りんねこ)
午前5時45分。
目覚まし時計も何もなく私は目が覚めた。
ベッドから足を下し掛布団だけきっちりたたむ。
朝食を適当にパンで済ませたら制服に着替える。
白いブラウスに首元には学校指定の黒い紐リボン、茶色でチェックの少しオシャレなデザインのスカート。
スカートの丈は膝ちょうどあたり。
髪型を変えたり伊達...私たちの花物語 紫君子欄の揺らぎ
鈴猫(りんねこ)
彼と出会ったのは、中学三年のときだった。
一つ年上で、髪を一つに束ねたどこかチャラい感じで初めて会ったときは、そこまで好きな人間ではなかったと思う。
向こうも向こうで、私の事なんて興味の無さそうな顔をしていた。
今日から一緒に住むことになるなんて言われても、はっきり言ってどうでもよかった。
私はその...私たちの花物語 紫君子欄の回想
鈴猫(りんねこ)
世良は、とても可愛い。
「私と友達になりたい」そういったときのあの世良の顔を、私は絶対に忘れないだろう。
赤面しながら、人の目を見るのが苦手なのにもかかわらず一生懸命に私の方を見て、白い手を固く握りしめながらそういった世良。
その姿がすごく、すごく可愛らしくて。思わず恋をしたかのように胸がキュンと高...私たちの花物語 紫君子欄の思い2
鈴猫(りんねこ)