藤乃

夜明けを待つ深夜何時
四季で熱され冷やされて
時にも何も動じない
たたずむ姿 せつなくて
思い入れ 足をうごかす
僕の悲しみを食べてよ
もっと愛しくなれるよ
赤面は武器でないのさ
無感情不発 泣けポスト
夜明けを待つ深夜何秒...

あなたの愛した わたしはどこに
昨日まで結った髪 削ぎ浄めて
あなたは愛した わたし知らない
嘘でもないだけ 嘘は言わない
成れるかしら 歌も歌わぬ空気遊泳
しれるかしら 温もりだけ抱いてこっちにきてはくれないか
あなたわからない わたしは遠い
時間だけがひとり 疲れていく
あなたのおもい わたし巻...

とびらあけるの ほそく金色ひかりたどり
玄関 灰色のかべ おおきな扉
ちいさな足が冷える こごえるタイルの上
くつもはかずに お嬢、どこへいくのか
僕のちいさな身体が 懐かしい波をたて しずかにこぼれていく
だれもしらない 僕の部屋にいる 小汚い人形 僕の背を見送る
目に刺さるの 痛いこはく ひかり...

愛でればかがやき 熱をおびてく
りんごのように赤く膨れては
時の力でまるくなっていく
大切な思いは幸せをうみだしては
僕の足を軽く ここちよく
熟れていく 腐りもせず
真摯な僕のなかでは
きみがもいで あたたかく
抱いてくれるまで踊ってる
大切な思いはとてももろいから...

あたたかなぬくもりの
私の宝を探して
冷たい水に浸ったら
渦にのまれそうでこわい
私の古びた思い出を
私が自分ですてっちゃった
見えなかったわけじゃないけれど
この短い腕じゃ届かないの
思い出が一粒私のもとへ　飛んで
ゆらゆらとゆっくり光りだした...

街が空も僕も全部
静止しているようだった
白と黒にうもれた世界
僕と君とだけが色を持ち
互いがすれちがってゆく
空気の軽い部屋では居場所も何もなければ
愛せる人もいない 愛される可能性もいらない
君に僕がささげた時間
君にはささやかな時だろう
僕は君の顔を背負って...

物の上に立つことは
そう難しいわけじゃない
ただ私が　だめだっただけで
経験は実力なんて嘘ね
希望のひかりがそこに見えるわ
凛々しい立ち姿
自信みちる金色の髪
それでも欲しいものは　あなたの愛と
世界の柱のかけらが欲しい
願いもしないわ...

夜の暗がり部屋に一人
孤独の渦に飲まれそうだ
そのまま寝てもかまいやしない
泣いて心を洗浄したい
私にはあなたはあまりにも
重すぎる 眩しすぎる かなしくて
不釣りあいは失礼申しあげます
夜中の浮遊の時間
布団の中に私一人
睡魔に襲われないように...

私の音痴な頭では
理解してもしきれない
私のかすった左腕は
わかっててもどうにもできずに
知りやしなかったの
昔まで私は自分が狂ったと
息をのんで街路樹にらんでも
無意味だわ
それにやっと気付いたの
でも追い求めるのはもっと怖い...