タグ「鏡音リン」のついた投稿作品一覧（11）

「ありがとうございました」
さぁさぁと雨が降る日の朝、こじんまりと纏めた自分の荷物を手にして孤児院の門の前に立ち、振り返ったメグは司祭に向かって深く頭を下げた。
「頭を上げてください、濡れてしまいます。何もこんな日に出発しないでも」
顔を上げたメグは憂慮する顔の司祭に微笑みながら頭を横に振る。
「早...

こじんまりとした教会の聖堂は、定期的に掃除は行っているが窓から差し込む光の中に細かな埃が混じっていて、キラキラと反射している。
中の広さ、整然と並ぶ長椅子の木材の色、蜀台に付いている装飾……ここに来てから数年が経った今も、そんな小さな違いに時々違和感を感じることがある。
そのたびに仕方ない、と自分に...

教会と孤児院共同の厨房の裏側は物置になっており、その奥まった場所の床にはひっそりと鉄の扉があった。扉の下は天然の洞窟を利用した地下貯蔵庫になっており、かなりの奥行きがある。
村の一番端に位置するこの教会に、近くの家から逃げてきた数人の村の住人たちを途中で見つけ、連れ立ちながら急いでメグは地下貯蔵庫に...

それはとても天気がいい春の日のこと。
片田舎の村にある教会に併設された孤児院で小さな赤ん坊の泣き声がするのは珍しいことではないが、１人のシスターがその泣き声がいつもと違う場所から響いていることに気付いた。
やがてその泣き声を辿って辿り着いた門の片隅に、置き去りにされていた籐で編まれた籠の中には白いた...

【１S】
この祈りは届きましたか
この願いは叶いましたか
貴方は今笑顔でしょうか
咲いた花を喜びますか
【１A】
もし再び悲しみが
胸を襲い満たすなら
思い出して絶望を
乗り越えれた強さ...

深い森の奥にも
やがて春が訪れ
色付きだす花々
黄色く野を染めゆく
黄金色の髪をした
愛くるしい少女は
花を編んだ冠を
手に家路を急いだ
今はまだ偽物の
花だけの冠よ...

私は微笑み　いつでも泣かない
望んだ姿を　映してちょうだい
私は貴方の　可愛いお人形
フリルのドレスに　リボンを散りばめて
小さな手を伸べ　優しく囁くの
「さぁどうぞ、　貴方のご自由に」
この身に喰らい付く　貴方の慟哭と
狂ってる律動を　奥まで受け止める
私の隅々を　残さず貪れば
嗚呼もう貴方には　...