タグ「或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』」のついた投稿作品一覧(6)
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『けっして互いを蔑ろにしてはいけないよ』
それは、かつてマスターが何度も私達に言った言葉。
『お前達は二人で一つの存在なのだからね』
魂も力も、全て分け合った存在である私達。
けれど、けっして同じ想いを抱くわけではない。
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「…これは……」
呆...或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』第五章
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商人を森の入口まで送った帰り道。
私は、先程見た兄の日記の内容を思い返していた。
『…けれどそれにもいずれ限界が来る。マスターだってそうだった…』
『…もしかして、彼女も自らの力の限界を感じたんだろうか…』
私は今まで、魔術というものは使えば使うほど強くなるものだと思っていた。マスターは魔術を...或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』第四章
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私はよく森を探索しては、魔術を使う訓練をした。
植物に呪文をかけて、この季節には出来ない木の実を収穫したり。
肉食動物を操って、動物を狩ったり。
兄はそういうことはせずに、ほとんど家にいた。
自分の部屋やマスターの部屋で、勉強をしていたり。
庭の畑の野菜の収穫や、鶏の玉子をもらったり。
...或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』第三章
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食事を済ませ、私は兄の手伝いをすることにした。兄に一人だと、いつまで経っても終わりそうにない。
「兄様、早く布を敷いてちょうだいな」
「わかったわかった」
兄が敷いた布の上に本を並べる。これでようやく後半分。
「そういえば兄様、マスターの部屋にあった本は日干ししないの?」
聞いたところ、ここに...或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』第二章
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嫌いなものがある。あの人のお気に入りのオルゴール。
蓋を開けて螺子を回すと、小さな舞台で二人の人形が踊る。音楽が止むまで飽きもせず、同じところをぐるぐると。
兄様はあれを気に入っていたけれど、私は好きになれなかった。
同じところをぐるぐる永遠に回り続ける、二人の男女。
それはまるで、この場...或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』第一章
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「らーらーらー…」
歌い終わり小さく一礼した主に、微笑んで目の前に座っていた二人の人形は拍手を送った。
「見事ですよ、マスター」
片方の人形が言う。少年の人形。深海のように蒼い髪、夕暮れのような紺色の眼。
「本当?下手じゃなかった?」
「そんなことありませんよ、マスター」
片方の人形が言う。少...或る詩謡い人形の記録『言霊使いの呪い』序章