「・・・・・心中姫なんて・・・」
心中姫なんて、存在しなかったのか?
俺は、凛と蓮の兄だったのか?
「そうです、兄上様。心中姫など、存在しなかったのでございます」
「どうして!彼女は心中姫という異名をつけられ、罵声を浴び続けていたというのに!!」
「・・・・・落ち着いてくだされ、海斗殿。我々も今まで知らなかったのです。貴方が混乱するのも仕方が無い」
「そうよ!落ち着いて、海斗!!」
落ち着けるわけが無い。
俺は今、訳の分からない現実、真実を突きつけられているのだから。
「・・・・お前が・・・」
美紅がぼそりと呟いた。
「ちょっと美紅!これ以上海斗を混乱させるようなこと・・・・」
「言わせてやれ」
「お前が産まれなければ、こんなことに、ならなかったのに・・・・・」
美紅の頬に、涙が伝った。
「美・・・・」
俺が言う前に、蓮が美紅に歩み寄った。
「蓮様・・・・美紅は、ずっと・・・ずっと、蓮様のお傍にいたいと幼い頃から思っておりました・・・・それなのに、なのに・・・・農民ということだけで、貧乏娘ということだけで、蓮様と結ばれなくて・・・悔しくて、海斗様が、憎くて・・・瑠華のことも、芽衣子様の事も、心中姫って呼ばれて一番辛かった凛様の事も・・・関係のない人まで、憎くて・・・」
「美紅」
蓮は美紅を抱きしめた。
「俺はお前に逢えてよかったと思っている。お前は・・・・違うか?」
美紅はふるふると首を振る。
「お前は兄上のことを産まれなければよかったと思っているが、兄上が産まれなかったら、俺とお前は出逢えていなかったのだぞ。兄上が産まれたから、今のお前の俺に対する恋心があるといってもおかしくない。俺は、よくは分からないがお前の恋心は、決して無駄ではなかったと思う。・・・・まぁ、お前が俺の初恋相手だったから、そうと思いたいだけかもしれないがな」
「えっ・・・」
「いつになっても、お前は俺の可愛い可愛い初恋の相手ぞ」
蓮は少し照れながら言った。
「ならっ・・・・・そう思ってくださるのでしたら、なぜ美紅と・・・・なぜ美紅と、一緒にいてくださらないのですか!?」
「運命だ・・・」
瑠華も美紅の隣に座る。
「私もできることならば、蓮とお前を祝福してやりたい・・・・だが、世は残酷だ。身分の差別というものが、ここにはある。全ては運命なのだ。運命には、誰にも逆らえないのだ・・・・」
瑠華は目に涙を溜めて必死に美紅に話した。
「・・・・はい。そうでございますね」
美紅はまたぽつりと言うと、涙を拭いて俺の隣に立った。
「これが・・・・これが、私の運命ですもの。運命ならば、私は死ぬまで海斗様と芽衣子様に仕えます!!」
「そうか」
蓮と瑠華は顔を見合わせ、にこりと微笑んだ。
「うう・・・・」
後ろから、鈍いうめき声が重なって聞こえた。
『あー!』
全員が声をそろえて叫んだ。
「凛!今口封じと目隠しとってやるからな!!」
「楽歩!麻奈!百合!大丈夫!?」
「みなさん大丈夫ですかぁ!?」
「す、すまない・・・・今日お前らを捕らえた理由は、今までのことを全て話したかったから・・・・」
蓮はおろおろして言った。
なんだ・・・
女遊びをしていると聞いて、とんだマセた子供だと思っていたけど、こうして見ると普通の14の子供じゃないか・・・・
「ぅう~ん・・・海斗・・・・?と・・・・」
凛が目を覚まし、俺の顔を見てから蓮の顔を見て、ぎょっとした。
「え・・・わ・・・・わしと、同じ顔・・・・ま、まさかお前・・・・」
「はい」
蓮は凛の言葉をさえぎった。
「あなたと僕は多分考えていることが一緒ですよね。なら言わなくてもいいと思うけど、僕があなたの双子の弟、蓮です」
「嘘・・・・嘘じゃ・・・・え・・・・・」
凛は感激のあまり、泣き出してしまった。
「うあああああああああん!!!蓮んんんんんん!!!」
「凛。泣き出すのはまだ早いと思うな。君にもう一つ、いやたくさん話すことがあるんだ。びっくりするだろうけどね」
「話すこと・・・・?」
凛は首をかしげる。
「それよりここを出ませんか」
「そうよ。こんなとこいつまでもいられないわ」
蓮はハッとする。
はだけた着物に、じっとりと染み付いた自分のとは違う汗と臭い。
「こここここここを出よう早く出よう!」
「ん・・・・ここは」
楽歩と麻奈と百合も目を覚ました。
「みな我が城へ泊まっていけ!すぐ近くだ」
瑠華は笑顔で言った。
「わぁ~い!じゃ、泊まってくじょ!」
「あたし達も泊まりましょ」
「ああ」
俺達は蓮と瑠華の城へ向かった。
―――――――翌日
「まさかあんな事実があったとは・・・・」
あれから、時間をかけて凛に真実を話した。
「海斗みたいなちんちくりんが兄だったなんて・・・・」
「ヲイ」
そっちかよ。
「でも凛、分かってるよね?もう、自分が」
「おう」
蓮が言う前に凛が男のような返事をした。
「わしはもう・・・・」
息をいっぱいに吸って
「『心中姫』なんかじゃなぁーーーーーーーーーい!!!!そんなの、村の人々がわしらがいなくなったのを聞いて、勝手に流したデマじゃーーーーーーーーあ!!!!」
叫んだ。
そう。
全てデマ。心中姫なんて、嘘っぱちだ。
「蓮。また来るからな」
満足気に凛を見ていた蓮に言った。
蓮はふっと笑った。
「いえ」
「え?」
蓮はため息をついて続けた。
「俺とお前、いや兄上は、離れる運命なのです。凛ともね。だから、そもそも今会ってる時点でおかしいんですよ?」
「あ、そうか・・・・」
運命なんて、なければいいのに。
そうしたら、みんなで一緒に幸せに暮らせたのにな・・・・
「まぁ、運命が無ければ兄上は産まれてなかったかもしれないし、俺と凛も産まれてなかったかもしれないしね。運命は残酷だけど、この運命に感謝しないと」
確かに・・・
「確かに、そうかもしれないな」
「美紅、私はお前にまた負ける気かと言ったがお前の方が女らしいし魅力は私より勝っているから自身を持てそしたらいずれここにいる男よりは数倍素晴らしい男性と出会えるはずだその男は優しくて頼もしくて強くてだなお前の事を一番に考えてくれてましてや女遊びなど」
「は・・・・はぁ」
「だーれのことを言ってるんだ!?瑠華」
蓮は瑠華にずかずかと近づいた。
「一件落着・・・・のようですね」
楽歩が小声で俺に言った。
「そうだな」
「海斗ーお腹すいたー早く帰ろー朝飯だけじゃ足りないって知ってるでしょぉー?」
「凛様も無事だったし早く帰りますよいたた・・・・」
「傷が痛い!どっかの誰かさんにやられた傷が・・・・」
「すまんまだ痛むか!?!?」
あー・・・・
「うるさくなってきたし、帰るか」
「さんせー!」
「じゃあな、蓮」
「さようなら、兄上」
「ばいばーいじゃ!愛すべき兄弟たち!!」
後に金の髪をした男は、遊郭から突然姿を消したと聞いた。
村から心中姫という言葉が消えた。
代わりに、こんなうたが聞こえるようになった。
心中姫は死んだ
周りの馬鹿げた噂についていけなくなり
自分で心中姫という名の皮を剥いだ
代わりに心中姫とよく似た女がいた
でも誰も彼女を心中姫と疑わなかった
だって・・・・
彼女に『心中姫』なんて言葉、似つかわしくなかったから――――
心中姫【最終話】
はわわわ終わっちゃいましたよぉぉぉ!!!
長かった・・・・!!多分今までで一番長かった・・・・!!(文字数的な意味で
心中姫、物語曲とかにできないかな・・・(´・ω・`)
でも、作詞作曲どころかボカロ持ってないし・・・・(´・ω・`)
心中姫の裏話やりたいと思ってます!(´▽`*)
そちらの方も楽しみにしていてくださいね♪
ではでは・・・
心中姫を見てくださったみなさん、今までありがとうございました!!
心中姫は終わったけど、私の他の作品はまだ続いてるし、みなさん・・・
小説書き、ふみゅは永遠不滅ですよ(`・ω・´)キリッ←だまれ
今後のふみゅの活躍に期待できないかもしれないけど期待してやってくださいね!←どっちだ
ありがとうございました!
そして、これからも応援よろしくお願いします!!
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ご意見・ご感想
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ご意見・ご感想
わああああああ!!!!!
終わってしまつた~~~~!!!!
長い間お疲れ様でした!!!楽しく読ませていただきました!!
リン・レン・KAITO、3人の関係が明らかになり、
ミク達が納得してくれたので良かったです!!!
Happy・Endで良かった~^^
やっとがくぽ・マナ・ユリが空気から解放されましたね!!!
タグもみんなの名前がついて勢揃いって感じですね><
ボカロ学園の方でも頑張ってください!!!
引き続き読ませていただきますね!!!
2010/03/24 01:16:26
どーぱみんチキン
長い間ありがとうございました?!!
こんにちは、ふみゅれす(´▽`*)
タグつけるのめんど・・・・大変でした(´・ω・`)
もう少しでがくぽたちだけじゃなくて凛までも空気になるところでした(゜Д゜;)
読んでくださってありがとうございました!!
ボカロ学園も、よろしくお願いします★
2010/03/24 13:03:08