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「おはようございます、カイト先輩」
学校の校門で出会った彼は、カイトに挨拶したあと、私にも向き直り
「メイコ先輩も、おはようございます。カイト先輩に付き合って朝早く、大変ですね」
「おはよ、レン」
「おはよう。別に大変じゃないわよ?慣れだし」
彼は鏡音レン。高校一年生で、カイトの後輩に当たる。一応の進学校である我が高校では高二の終わりに部活を引退してしまうので、私とは入れ替わりに入った形だ。バイオリンが大層上手いらしく、彼が入部したときは「凄い高一が入ってきた!」と興奮気味にカイトに報告されたのを覚えている。
自然上手い者同士集まる機会が多いらしく、カイトと良く一緒にいる私とも顔なじみとなった次第だ。彼にはリンという双子の妹がいるのだが、今はその姿はみえない。
それにカイトも気付いたらしく、
「あれ、リンちゃんは?」
と問いかける。
「アイツならなかなか起きないんで置いてきました」
「でも、彼女にも朝練あるんだろ?起こしてあげればいいのに」
リンは合唱部に所属している。天使のような歌声だと評判だが、いかんせん朝に弱い。
「ですけど、別に朝練に遅刻するのはアイツの責任であってオレじゃないですし。それに何度か起こしましたよ?起きないアイツが悪いんです」
「そっか……結構放任なんだね」
「当たり前です。アイツがオレに頼り切りになったら困りますしね」
あはは、とカイトが相槌を打つ。
「ていうか、こんなとこで喋ってると遅れますよ?」
「あ、そうだった。じゃあね、めーちゃん。また帰りに」
「失礼します」
「うん、朝練頑張って」
私は二人を見送って、教室へ向かった。
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