投稿作品8作品
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鏡音10周年おめでとう!
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6
かくかくしかじかこんなことがあって、と昨日の流れをざっと説明する。聞き終えたリンはあー、と気の抜けた相槌をして腕を組んだ。
「それで逃げちゃったと」
「情けないわ……」
しゅんと肩を落とす。昨日の朝の決意はなんだったのだと自分でも思うけれど、でもやっぱり怖いものは怖くて。仕方ない...君の音楽 #6
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5
結局そのまま一人で帰ってしまい、部屋で一人私は悶々としていた。渡せなかったチョコレートが、机の上に転がっている。
「はぁ……」
ため息をつきながら、今日のことを考える。あの初音ミクと名乗った少女。あの子が言っていたことが本当のこととは限らないのは、家に帰り落ち着いてから思い至った。あの時は...君の音楽 #5
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4
放課後。
チョコをいつ渡すか悶々としながら、私は一階下のカイトの教室へと向かった。一年下の学年はまだまだバレンタインの甘い雰囲気を持っていて、そこかしこでチョコを渡す姿が見られた。正直心臓に悪い。
教室の前でじりじりしながらカイトを待っていると、
「あなたがメイコ先輩ですか?」
名前を呼...君の音楽 #4
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3
お昼になり、学食へ飲み物を買いに行くと、そこでリンに出会った。どうやらお昼を買いに来たらしい。リン、と声をかけると振り返り、ぱっと笑顔を浮かべてくれた。
「メイコ先輩!!お久しぶりです!」
「ええ、久しぶりね、こんにちは。今日は部活間に合ったの?」
「あはは、ギリギリでしたけどなんとか。もの...君の音楽 #3
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2
「おはようございます、カイト先輩」
学校の校門で出会った彼は、カイトに挨拶したあと、私にも向き直り
「メイコ先輩も、おはようございます。カイト先輩に付き合って朝早く、大変ですね」
「おはよ、レン」
「おはよう。別に大変じゃないわよ?慣れだし」
彼は鏡音レン。高校一年生で、カイトの後輩に当た...君の音楽 #2
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君の音楽
1
今日はバレンタインデー。乙女たちが意中の相手に気持ちを伝え、あわよくば交際に持ち込もうと奮起する日であり、私の幼馴染の誕生日でもある。そして私も、自分に似合わないことは重々承知していながら、ちゃっかり手作りのチョコレートをカバンに忍ばせたりしているのである。
今までは義理だからと...君の音楽 #1
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死神に恋をした少女の話
「ねえ、この首飾り、きみに似合うんじゃない?」
隣に立つ彼が声を掛けてきて、私は顔を上げた。
広い市場の一角。女性の好みそうなアクセサリー類を並べた露店の前に、私達はいた。
彼は柔らかな笑顔を浮かべながら、私の胸にその銀細工の首飾りをあてる。
出会ったときにはかぶって...死神に恋をした少女の話