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放課後。
チョコをいつ渡すか悶々としながら、私は一階下のカイトの教室へと向かった。一年下の学年はまだまだバレンタインの甘い雰囲気を持っていて、そこかしこでチョコを渡す姿が見られた。正直心臓に悪い。
教室の前でじりじりしながらカイトを待っていると、
「あなたがメイコ先輩ですか?」
名前を呼ばれ驚いて前を見ると、そこには長い緑の髪を頭の両端の高い位置で結んだ、綺麗な女の子が立っていた。顔に見覚えはないが、おそらくカイトと同じ二年生だろう。どうして私の名前を知っているのだろうと考えていると、
「ふぅん、別に大したことないじゃない」
小さな声が聞こえた。うまく聞き取れない。
「ええと、どちら様?」
「ああ、申し遅れました。わたし、初音ミクって言います。ついでにいうとカイトくんのことが好きです」
「……」
「ここじゃなんなんで、場所変えません?」
私は半ば彼女の強引さに引き摺られるようにしてその場を去った。
「それで?私にカイトが好きって言ってどうするの?」
先手を取りたくて先に口火をきった。わざと挑発するように言ってみる。
「あなたにだけじゃありませんよ。ちゃんとカイトくんにも言いました」
「……カイトはなんて?」
「知りたいんですか?」
彼女はくすくすと笑う。
「言っときますけどね、あなたとカイトくんって不釣り合いです。幼馴染だからってカイトくんに付き纏ってカイトくんが迷惑してるって分かんないんですか?」
言われた言葉が一瞬理解できなかった。
「どういう……?」
「そのままの意味です。カイトくん、言ってましたよ?一学年上にメイコっていう幼馴染がいて、付き纏われて迷惑してるって。カイトくんも私のことが好きみたいですよ?」
それは、つまり……
「帰りも私と一緒に帰りたいそうですよ?でもあなたと約束させられたから無理だーって」
「……っ」
それ以上その場にいられなくて、私は駆け出した。カバンの中で、渡すつもりだったチョコががさりと揺れた。
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