それからいろんな話をした。
私のチカラの事、行った場所の話。
本当はこの事は絶対に話してはいけない禁忌の行為。
気づいていたけど止められなかった。
ずっと哀しそうな顔をしていた彼が何時の間にか本当の笑顔を見せてくれていたから。
優しいその笑顔を見ていると私の心もあったかくなる。
気づけば二人揃って笑ってた。
だからきっと平気。
後悔なんてしないわ。

「ねぇ、ミクちゃん。ならそれって…」

レン君の居るこの時間ではもう遺跡と化した街の話をしていた時だった。
急に激しく咳込み出した彼がふらりと傾いだ。

「レン君!」

慌てて支えると大丈夫だからと首を振り、ベッドの脇にあった薬らしい物を飲み下す。
暫くそうして寄り添いあって座り込んでいると少しずつレン君の呼吸も落ち着いてきて

「…ごめん。驚かせちゃったよね。いつもこうなんだ」

「いつも?」

「うん、だからさ…僕ここからほとんど出たことないんだ」

「え…?」

「難しい病気らしくてさ。このまま放っておいたら何時まで生きていられるか、ってね」

それは一番始めに彼が浮かべていた物よりひどく哀しく諦めきったそんな笑み。
見ていられなくてまだ繋いだままだった手に力を込め俯いて唇を噛み締める。
そうでもしないと泣きそうだった。
ここに留まれる彼が羨ましいと一瞬思った。
思ってしまった。
一つの場所に居たい。
それが私の願いだったから。
けれど今はそれがひどく恥ずかしい。
不意にぎこちない手つきで抱きしめられた。
私より小さな身体で精一杯包み込んでくれてるのが分かって今度こそ涙が溢れる。

「ミクちゃん…泣かないでよ。ごめん、僕がおかしな話したから」

「ち、違うの…!ごめんなさい、ごめんなさい…私…」

言いたいことがうまく言葉に出来ず首を振ると落ち着いた声が落ちてくる。

「たぶんさ、お互い様だよ。」

「…え?」

「ミクちゃんの考えてること分かってるつもりだよ。僕もそうだから…お互いに無いものねだり。どうして人間はうまくいかないんだろう?」

遠くを見るような顔で言葉を紡いだ彼の問いに答えることもできず私はその温かい体温を感じ続けるだけだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【小説】時の旅、一夜の邂逅(であい)2

「時の旅、一夜の邂逅」の小説版2です

閲覧数:235

投稿日:2011/02/16 03:16:40

文字数:916文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました