そんなある日、少しだけいたずら好きなつむじ風が、二人の世界を吹き抜けました。
 鏡を通じて、二つの世界を行き来し、リンとレンの目を盗んで微風と嵐、それぞれに会いに行ったのです。
 そして、微風には、
「はじめまして、微風。私はつむじ風。あなたと同じくらいの、小さな風です」
 といい、嵐には、
「よろしく、嵐。私はつむじ風。あなたと同じで、渦巻く風です」
 といいました。
 そして、それぞれに、あらぬうわさを流しました。
「嵐はあなたをうっとうしがって、神様にあなたから開放してほしいと頼んだそうですよ。そして、あなたをこんな小さな世界に閉じ込めて、自分は元の広い世界にいるのだそうです」
「微風はあなたを束縛したいあまり、他の誰にも触れられないよう、この世界に閉じ込めてしまったのだそうです。微風は風の神のお気に入りですからね、それくらいは簡単なことなのでしょう」
 さて、困ったのは嵐と微風です。
 微風は嵐がそう思っていようといまいと、結局会うことが出来るわけでも無し、あまり気にしてはいませんでしたが、嵐のほうは違いました。勿論、嵐のほうも微風がそんなことをするとは思えなくて、信じてはいませんでした。が、彼女は気にしない、と言うことがどうにも苦手で、そんなことを言ったつむじ風を捕まえて、お説教をしてやろうと考えていました。
 今度、困ったのはつむじ風です。少しいたずらをしてやるつもりだったのに、お説教なんかされてはたまりません。しかも、嵐といえばとても強い風ですから、お説教を受けている間に自分は嵐にかき消されてしまうかもしれません。そんなこと、絶対に避けなければいけません。
 そのころ、同時に困っていたのは、リンとレンでした。微風と嵐からそれぞれ、話を聞いたのです。ここは微風と嵐の字領域、いわば彼らだけが存在していい世界です。他の風が入り込んでくるのは、あってはなりません。何かあれば、風の神からお叱りを受けるのはリンとレンなのです。
 どうにかして、そのつむじ風とやらを捕獲して、元の世界に戻してやらねばなりません。二人は策を講じました。
「つむじ風、つむじ風。嵐に消されたくないなら、ここへおいで。僕が助けてあげよう」
 と、レンがうたうように言いました。
 すると、つむじ風は思ったよりも早く出てきて、
「どうやって助けてくれるの?」
 と聞きました。そのとたん、つむじ風の背後から、リンが飛び出してきて、つむじ風に箱をかぶせました。どうにかよけたつむじ風でしたが、カラダの三分の一程度が箱の中に取り残されてしまいました。
「チッ、失敗か」
 レンが言いました。
「待てぇ!」
 リンが箱を持ち上げ、本体をしとめに行こうとするのをレンが手で制している間に、つむじ風は逃げていきました。
「レン、いいの、逃がしちゃって?」
「いいんだ。あのまま警戒しているつむじ風をしとめるのは難しいからね」
 と、いいながら、レンはつむじ風の一部を、小さな箱に移しました。
「これでよし、と…」
 不適に、レンは笑いました。それにあわせて、よくわからないくせに、リンも不敵な笑みを浮かべました。

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風 2

こんばんは、リオンです。
つむじ風、悪い子ですね。
嵐からこっぴどくしかられることでしょう。
レンが夕飯抜きにしちゃいます。
兄さんのアイスが抜きになります(何故

閲覧数:156

投稿日:2010/09/04 23:37:24

文字数:1,305文字

カテゴリ:小説

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