!WARNING!
□男マスター、KAITO、AKAITO、NIGAITOが出てきます。
■NIGAITOは気付いたら押し入れに住んでました設定です。
□前回同様兄さん'sはねんどろいど的な小さいやつをイメージしています。
上記を見ておk、ばっちこい!って方はお進みください。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
△月☆日
穏やかなある休日の昼下がり。
1日で一番暑い時間に外に出ようとしている俺は相当な勇者だと思う。
「おーいちび共、コンビニ行くけど何か買ってくるかー?」
奴らのいる部屋を覗くと、真っ先にカイトがタックルしてきた。
たいした衝撃はなかったが、足に抱きつかれるとふらりとバランスを崩しそうになるが何とか耐えた。
「アイスがいいですっ!すいかの形のアイス!」
足に抱きついたまま主張するカイト。
目がきらきらしてやがる…アイスに関しては人の何倍もうるさいからな、こいつは。
「マスター!オレ、オレはハバネロな!」
楽譜を腕いっぱいに抱えたアカイトが大声で叫ぶ。
二人で歌の練習でもしていたのだろうか。
うん、奴らの歌声を聞くのが俄然楽しみになったぞ。
「よし、すいかのアイスとハバネロな」
「ぼくは青汁がいいです…」
「おー、青汁n……え?」
…俺の気のせいじゃないよな?確かに押し入れから声が聞こえた。
カイト、アカイトも同様に聞こえたようで、俺たちは顔を見合わせた。
楽譜を床に置くとアカイトが恐る恐る押し入れに近づき、そして勢いよく開けた。
とたぁんっと襖が開ききった音が響いたその瞬間。
ぼてっ
「うあっ!?」
押し入れから何かが転がり落ちてきた。
何が起こったのか一瞬理解できなかったが、アカイトが押し潰されている。
「ア、アカイトーっ!」
カイトにいたってはパニック状態でおろおろしている。
……俺が助けてやらねば。
とりあえず近付いて声をかける。
「お、おい、アカイト。平気か?」
「ってぇー…おいこらてめぇ早く退きやがれ!」
頭をさすり自力で起き上がったアカイトは上に乗っていた緑色の物体を押し退けた。
俺はその姿を見て硬直してしまった。
…だって、カイト、アカイトに瓜二つな緑。
「…ニガイト、です。初めましてマスター」
ニガイトと名乗った緑は立ち上がるとぺこりと頭を下げた。
な、なんて礼儀正しい子なんだ…!
俺はその場で慌てて頭を下げ返した。
その途端アカイトが喰いかかった。
「このやろうニガイトてめぇ!オレの上に落ちてくるたぁいい度胸だ!」
「ふ、不可抗力だよ。…開けたのがマスターだったらきっとちゃんと受け止めてくれたよ」
「お、落ち着いて二人とも…」
言い合いを始めようとする二人の間にパニック状態から回復したカイトが仲介に入った。偉いぞカイト。
俺はとりあえず三人を座らせて話を聞くことにした。
コンビニは後回しだ。今はこのニガイトとかいう緑が気になる。
話を聞いていくうちにだんだんと分かってきた。
ニガイトはカイトの亜種…つまりアカイトと似たような存在らしい。
にしても、何で押し入れから出てきたんだ?
「ぼくの住みかは押し入れなんです」
…答えになっていないような気がするのは俺だけか。
まぁ、それに関しては突っ込まないことにしておこう。
新しい家族に歓迎の意味を込めて頭を撫でてやった。
「カイトの亜種なら俺の家族も同然だしな。とりあえず俺はコンビニに行ってくる。…三人で仲良く留守番できるな?」
「任せてくださいマスター!僕がいるから大丈夫です!」
お前が言うと余計に心配になるんだがなカイトよ。
心配から後ろ髪を引かれる思いだったがコンビニは歩いて三分程度の距離だ。
急いで用を足してくればきっと何事もないだろう。
俺は「後は頼んだぞ、」と言い残し、部屋を出ると靴を履いてコンビニへと急いだ。
残してきた三人が心配でならない。急ごう。
コンビニに着いた俺はカゴを手に自分に必要なものとちび共に頼まれた物を見繕う。
カイトに頼まれたすいかのアイス、ついでに俺の分のモナカのアイス、アカイトに頼まれたハバネロの菓子、……ニガイトに頼まれた青汁はなさそうだったから代わりに抹茶のアイス。
亜種だからきっとアイスも好きであると信じたい。
休日だからと言って大して人がいるわけではなく客はほとんどいないに等しい。
レジを早々に済ませて家路についた。
「あいつら、大丈夫だろうな…喧嘩してなきゃいいけど」
家具なんかが壊されていたら堪ったもんじゃない。
特に心配なのがアカイトだ。奴はカイトに比べて少しばかり(どころではないが)短気だ。
ああ、心配だ。無事でいてくれ俺の家!…とちび共!←
足は自然と駆け出していた。
玄関の扉を開けると中はしん…と静まり返っていた。
大騒ぎしているものだと思い込んでいたために少し拍子抜けだ。
靴を脱いでちび共のいた部屋を覗く。
するとそこには。
「あ、おかえりなさいマスター」
静かな抑えた声でカイトが出迎えてくれた。
ソファに腰掛けるカイトの両隣にはアカイトとニガイトが寄り添って眠っていた。
「…ただいま。俺の心配も杞憂だったみたいだな。もっと大騒ぎしてるもんだと思ってたが…」
「この二人、ちゃんと仲良くしてたんですよ」
嬉しそうにそう説明するカイトの笑顔に俺はたまらなく癒されるのを感じた。
「そうか。…よし、ちょっと待っとけ」
慌てて冷蔵庫へと向かい冷凍室の扉を開けるとすいかのアイスと抹茶のアイスをしまう。
コンビニ袋を机の上に置くと己の分のモナカのアイスだけを持ってカイトの元へと戻った。
俺は小さく笑みを浮かべるとアイスを手渡し、両脇で寄りかかって寝ている赤と緑を抱き上げた。
「俺の分のアイス、お前にやるよ。こいつらの面倒見てくれてたお礼な。ちょっと溶けてると思うけど、二人には内緒だぜ?」
カイトは表情をぱあっと明るくすると幸せそうに「ありがとうございます、マスター」と微笑んだ。
新しい家族が増えて、うちはもっと騒がしくなりそうだ。
そんなことを思っていた俺は、庭の木の影からちび共と同じくらいの背丈の奴がこちらを見ているなんてことに気付くはずもなかった。
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ヘルケロ
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ヘルフィヨトルです。
私も霖祢さんの文が好きです。
ドタバタほのぼのコメディというのでしょうか?(笑
このまったり感がいいです^^
続き楽しみにしています!
2009/07/29 06:12:57