普段から、メイコとカイトの仲はよかった。付き合っている、とかじゃなく、ただ純粋に友達として。
「ホントお前ら仲いいよなぁ……」
マスターを置いてきぼりにして話す2人を見て、マスターはしみじみと言った。
「俺も彼女欲しいなぁ……」
心なしか、マスターの目はどこか遠くを見ている。
前に聞いた話では、バイト先にはおばちゃんしかいなくて彼女なんか作れない、と言っていた。
聞くと答えることを拒むあたり、過去に彼女がいたことがないのだろう。
「べ、別に付き合ってるわけじゃ……」
2人が付き合っていると解釈しているマスターに、メイコは必死で反論する。
それをてれ隠しと受け取ったマスターは呆れ顔で適当に返事を返し、リビングから出て行った。
「違うのに……」
近くにいたカイトにすら聞こえないような声で、メイコは呟いた。

数日後。
「俺、ちょっと出かけてくるよ」
そういって仕度をし始めるマスターの後ろ姿を、メイコとカイトは静かに見守った。
「俺がいない間にイチャついてくれて構わないから」
「だからっ! 違いますって!」
静かだった2人のうち片方が即座に反応し、マスターは腹を抱えて笑った。
目に少し涙を溜めるほど笑ってから、マスターは満足したかのように家を出て行った。

あれから数週間が経つ。マスターは1度も帰ってきてはいなかった。
「マスター、何処行ったのかな……」
隣に座ってテレビを見ていたカイトが呟いた。テレビでは、不況だの殺人だのと、悪いニュースばかりやっている。
これがもしお笑い番組など、笑っていられるような番組だったら、少しは気が紛れたのかもしれない。
メイコは突然、泣きだしてしまった。
「ますたぁ……」
そばにいた男が消えた。だから別の男で穴埋めする。
そんなことは、今のメイコにはできなかった。


これは、大切な存在を失った、ある少女の物語。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

マスターのいない世界/MEIKO

要するに何が言いたいかと言うと、消えたマスターの場所をカイトで埋めることは不可能ってことでして。

これのカイト視点書けるかなぁ、なんてこっそり思ってみたりするわけですが、先に言うとカイトのは全く違う物語です。
まぁ、ネタが切れたとき用にでも取っておきますかw

カイトの台詞が少ないのはメイコの物語だからです。
べ、別にカイトに喋らせたら物語崩壊しそうとかそんなこと思ってないんだかr(ry

閲覧数:177

投稿日:2009/10/11 23:15:18

文字数:782文字

カテゴリ:小説

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