一方、ホワイアンスPは、曲の収録が終わってからは編曲作業に入っていた。各Pのミクが歌った環境は、各Pごとに異なる。一部の音声を聴く限り、しっかりとした収録環境で歌ったと思われるPもいるにはいるが、大半は自室での収録であり、十分な収録環境ではないことをうかがわせる音声も多いあるため、必要に応じて補整をかける作業を行っている。また、歌うタイミングにも微妙なずれが生じている場合もあるので、同じタイミングで歌っているように補正をかける必要がある。今は自動で補正をかける仕組みが充実しているので、補正をかけること自体は容易ではあるが、正しく補正されていない可能性を考え、補正後の曲を聴いて、再度補正をかけるといった非常に地道な作業が必要になってくる。参加する初音ミクも一万人と半端な数ではないので、補正するだけでも並大抵の作業ではない。
「マスター、コーヒーです」
「ふう…。おう、あんがとな」
作業が一息ついたらしく、ミクが持ってきたアイスコーヒーを口にするホワイアンスP。基本的に作業中の飲み物はコーヒーだが、コーヒーばかりでは飽きるので、ミクはたまにアイスティーや麦茶など、他の飲み物にしていた。
「…大丈夫ですか?」
「…この企画を考えた時から、8月31日になった瞬間にアップするのは俺の中で決めてたんだ。それは是が非でも守るし、妥協する気もさらさらねえ」
不敵な笑みを浮かべるホワイアンスP。しかし、笑っているのは表情のみで、その瞳は全く笑っていない。経験上、現状のホワイアンスPの考えを変えることは相当な理由がなければ不可能に近いというのは、ホワイアンスPのミクは知っていた。
「…ミク、俺に付き合う必要はねえ、今日はもう寝て、明日に備えた方が良いぜ」
「…ですけど、マスターが作業しているのに、私だけ寝るのは…」
「今の作業にはミクが参加する必要はねえ。そのミクの気持ちだけもらっとくさ」
「…はい」
やや、後ろ髪を引かれる様子だが、マスターの言葉には従うミク。
(ミクは俺に気を使い過ぎるな。…大半は俺の責任だが)
そう思うホワイアンスP。彼が今回のような様々な企画を考え、精力的に動いているため、結果的に彼が自分のミクを振り回している結果になっているのは知っていた。
(ミク、俺に対して、あんまりわがままを言って来ねえんだよなぁ…。俺が散々振り回してるんだから、わがままの一つ位言ってきても良いんだけどな)
ホワイアンスPは、自分はミクのマスターではあるが、彼のミクに何をしても良いとは思っておらず、その考え方はブラグレスPの考えに近かった。
(おっと、いかん、先にバースデーソングの方を進めねえと)
そう考え、ミクが持ってきてくれたアイスコーヒーを一口飲んで、作業を再開するホワイアンスPだった。
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