「よ、よろしくお願いします」
カチカチに固まった姿勢で、レンくんはあいさつした。
「よろしくねー。あら、そんなに、緊張しなくていいのよー」
やさしく微笑んで、ゆくりさんはうなずいた。
レンくんはこの度、はじめて「アルバイト」をすることにした。
彼は今年の春から、高校に通っている。
このところ、雑貨店めぐりが趣味となっている彼。
かねてから、「お店で働いてみたい」と思っていたレンくんは、
「雑貨店」をバイト先に選んだのだ。
「どこか、いいお店はないかな?」と思い、仲良しのテトさんに相談した。
すると、テトさんは、デザイナー仲間の、湯栗はいり(ゆくり・はいり)さんのお店、「ゆっくり」をすすめてくれた。
ちょうど「ゆっくり」では、お店のバイトを一人、欲しがっていたからだ。
●アルバイト、がんばってね!
店長のゆくりさんは、さっそくレンくんを連れて、お得意先まわりに出かけた。
レンくんの顔見せがてらに、また彼の勉強にもなるからだ。
二人は、神田の雑貨ショップに寄った後、もう一軒、お店に寄った。
それは、御茶ノ水にある「星を売る店・上海屋」だった。
「ぼく、この店、よく知ってます」と、レンくんは嬉しそうに言う。
「面白いモノがいっぱいあって...。店長さんも、ちょっとフシギな人ですよね」
彼は、なぜかドモりながら言った。
「そうねー。りりィさんは素敵な人よねー。私が作るグッズも、置いてもらってるのよー」
ゆくりさんは笑って言う。
●このグッズ、似ているね!
「まぁ、そう。がんばってね」
長い金髪がふわっと揺れて、なびく。
上海屋の店長のりりィさんは、レンくんがゆくりさんの店でアルバイトをすると聞いて、大変喜んでくれた。
顔を赤くしながら、レンくんが、上海屋の売り場を見ると、
店の棚に、「ハミング」と書かれたバッグが置いてあった。
「このバッグ、雑誌のおまけなの?」
彼はそれを手に取った。バッグの横には女性向けの雑誌が置いてある。
「これ、“メグ・ハミング”と似てますね」
彼は、雑誌のおまけのバッグを見つめて、つぶやいた。
“メグ・ハミング”は、いま街でヒットしている、天使の絵のグッズなのだ。
たしかに、“ハミング”と、“メグ・ハミング”は、よく似ている。
「うん、似てるー」
ゆくりさんもうなずいた。
「そう、私もそう思ってたの」
りりィさんは言って、向こうの棚を指さした。
「“メグ・ハミング”も、あそこにあるわ」
●次のシリーズは多分...
「メグ・ハミングのグッズは、ここでもよく売れてるの」
りりィさんは言った。
「この次のシリーズも、楽しみね。多分、柄は“ピクニック柄”になるわ」
レンくんは聞いた。
「あれ、もしかして、りりィさんは、“メグ・ハミング”作りのスタッフに、加わってるんですか?」
「いいえ、全然、関係ないわ」
にこやかに言う、りりィさん。
ゆくりさんと、レンくんは、不思議に思った。
「じゃ、ど、どうして、そんなことが、分かるんですか?」
その時、店の入口の方で、声がした。
「こんちにわ!」
それは、デザイナーの霧雨さんだった。
ゆくりさんは、ちょっとハッとして、目を見張った。Σ(・o・;)
(Part5に続く)
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そして、この舞台を終わらせるために、沢山のことを試してみた。
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ゆるりー
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