「う、嘘!!」
朝起きてから、ポストを覗き茶封筒の中に入った『採用』の文字に驚愕する。
（ゆ、夢・・・・?）
そう思い、頬を思いっきりつねった。
「いひゃい」
夢じゃない・・・
私なんかが、本当に?
何だか高校の合格通知をもらったみたいな気分。
「相手の男の人の名前も書いてあるんだ・・・」
『氷山キヨテル』・・・どんな人なんだろう。
シンデレラのイメージガールは三人いるらしい。
写真を見ると、皆可愛い人達で、おそらく社会人ではないだろう。
『鏡音リン』ちゃんと『初音ミク』ちゃん・・・二人とも高校生っぽい。
この氷山キヨテルっていう人、がくぽ達と同じ歳だ。皆知ってるかな?
シンデレラの女の子達は写真載ってるのに、王子の男の人達の写真は載ってないのかぁ・・・・気になる!!
「あ!時間だ!!」
昨日休んだんだから、今日はちゃんと仕事行かなきゃ!


「ウソ!?受かった!?」
「うん!」
茶封筒をメイコに見せた。
「おめでとー!よかったじゃん!!」
「なんだなんだ二人して」
そこへカイトが、にゅっと私達の間に入ってきた。
メイコが事情を話すと、カイトはぱぁっと明るい顔になる。
「すげぇじゃんルカ!!何千人も応募してる中で選ばれるなんて!!」
「相手は?相手は?」
「えっと、氷山キヨテルっていう・・・」
『キヨテル!?』
二人が同時に叫ぶ。
「やっぱり知ってる?」
「知ってるも何も同級生だもん!あのヘタレが王子・・・ぶっ」
「あいつ今俺らが卒業したC高の教師してるし、きっと生徒に無理矢理応募させられたんだろうな」
高校教師!?
「そ、そんな立派な人と・・・」
「大丈夫だって!あいつへタレだし、ルカより緊張してると思うぞ」
「そうね!あ、がくぽはどうだったんだろ」
そういえば、がくぽも応募した・・・っていうか、メイコに応募させられたんだっけ。
「お前の仕業だろメイコ・・・・」
「あ、おはよー。届いた!?」
「朝起きたとたんポストん中に不採用通知・・・何なんだよ」
不採用?
「あははは!!お前、お前不採用だったん!?」
「何だよそれ!!」
「それね、雑誌の一夜限りのシンデレラって企画のモデル募集のやつ。あんた、あんた不採用だったの!?」
メイコとカイトは爆笑。
がくぽはカンカンに怒っている。
「がくぽ・・・カッコイイのに・・・」
ぽつりと呟いた。
「・・・・」
がくぽは一瞬私を見たけど、昨日の事を思い出したのかすぐに目を逸らした。
「その三人の中のシンデレラに選ばれたルカはすげぇな」
「は?」
「ルカは採用されたのよ!あたしの目に狂いはなかったわ!!」
メイコは高笑いをした。
「おはようございまぁす」
「またあいつらかよ・・・失せろし」
「ちょっとカイト!」
確かに来て欲しくないけどそれは言い過ぎ!
いつもの三人はがくぽの不採用通知を覗き込んだ。
「先輩何見てるんですかぁ?」
「あ、いや・・・」
「これ知ってます!一夜限りのシンデレラってやつですよね」
がくぽとヤッた女の子が言った。
「あたし達も応募したけど、不採用でしたぁ。無理ですよねぇ～あたし達社会人なんて・・・酒乱のおばさんなんて特に」
私の事だ・・・けど。
「私は受かったけど?」
「えぇ!?」
焼け付くような感情を抱いた。
「あなた達、受からなかったの?酒乱のおばさんの私でも受かったんだから、三人とも応募したなら受かったのかと思っちゃった」
「な・・・」
「もういいよ!行こ!!」
女の子達は怒ってパソコンに向かった。
「ルカ・・・ナイス!!」
「ありがと」
メイコと一緒に手を叩いた。
「・・・あれは言い過ぎじゃねぇか?」
がくぽが怒ったような顔で私を見る。
「いいの。本当の事だし、あんなこと言われたら黙っちゃいられないもん」
「少しは我慢しろよ・・・あいつらこの前まで学生だったんだぞ?」
「少しは我慢しろよ・・・あいつらこの前まで学生だったんだぞ?理性無くしてヤッてんじゃねぇよ」
「おまッ・・・」
「いいぞルカ!」
少し気持ちが軽くなった。
「雑誌、楽しみにしてるからね!!」
「うん!」
なんだか少し、モデルの話も楽しみになってきた。
（頑張るぞ!!）