6月ハーモニー 双子蜜柑 そのろく



映画が始まる15分前、メゾールの映画館の前で私はレンを待っていた

私の格好はデニムのショートパンツにパーカー。以上。

そして映画館に入る子供と子供と子供達を見ながら

レンまだかな~

レンを待っていると

プルル~

私の携帯が鳴ったので

レンだ。なんだろ?

レンからの電話に出ると

 『あ、リン?俺だけどさ。俺達ってこれから映画を一緒に見るんだよな?

 いま映画館の前で待ってるんでしょ?』

いきなり意味不明な事を聞かれた

「は?なに言ってるの?そうだよ?一緒に映画を見るんだよ?

なに意味不明なこと聞いてんの?記憶喪失にでもなった?大丈夫?」

ちょっと馬鹿だと思っていたけど、ここまでとは…

 『ありがと。じゃーな、今から行くよ』

プッ、ツッー、ツッー

電話が切れた

何だったの?

電話が切れてから5分ぐらい経つと

「リ~ンお待たせ~」

エレベータのほうからレンが歩いてきた

「レ~ン」

歩いてくるレンに手を振ると、私の前に立ったレンが

「待った?」

私は首を振りながら

「ううん、待ってないよ…」

ちょっと可愛らしく言ってみた

今の私って可愛いくない?

ちょっとだけ自惚れるとレンが

「満足か?じゃあチケットとジュース買うか…」

チケット売り場に歩いて行ったので

「いやいやいや、それよりもさっきの電話は何?説明してよ」

レンの背中に話しかけるとレンは止まって振り返り

「あぁ、なんかメゾールの前で知らないお姉さんに話しかけられたんだよ、

もしかして1人?じゃあ私とお茶しない?って」

「はぁぁ!?」

逆ナンか!?

レンの言葉に一気に沸点近くまで気持ちが高まった

「だから、いやこれから俺の双子と一緒に映画に行くんだけどって断ったら、

可愛い~そんな嘘言うなんて照れてるんだ~って信じてもらえなかったから、

本当だよ、じゃあ聞く?ってリンに電話したってわけ。分かった?」

淡々と話すレンとそのお姉さんにムカつくぜ!!

「うん、レンが浮気したのが十分に分かったよ」

かなり低く憎しみのこもった声で言うと

「は?ちょい待て!?なんで俺が浮気!?お姉さんから話しかけてきたって

言ったじゃん!!お前はなにを聞いていたの!?」

「うるさーい!叩かせr…は!?」

こんなやり取り前にもしなかったっけ?

そうだ!こでレンを叩いたら5月の二の舞だ!

確かにレンは今回も何も悪くない。5月の反省を生かせ!

しかもレンは5月のクッキーとは違ってヘラヘラしていない。しかし…

しかし…殴りたい!!

握り拳を作り、唸っていると

「殴るなよ!絶対に殴るなよ!!」

レンは腕でガードしながら叫んでいる

落ち着け、落ち着くんだ私!

場所を考えろリン、ここは映画館だぞ?しかも回りに人がいるんだぞ?

今の私の怒りは理不尽なものじゃないか…

大人になれ…大人になるんだリン!!お前はお姉さんだろ!!

私は作り笑顔で

「ご、ごめんねレン…そうだよね?レンは何も悪くないよね?」

「お、おう…分かってくれた?でも顔に殴りたいって書いてある…」

「書いてないよ?それよりもレンさ…ジュースはブラックコーヒー買って

くれるかな?ホットね、なんか急に飲みたくなっちゃってさ…」

レンは驚いた

「えっ?ブラック?いいの?砂糖とかもいいの?」

「いらない。ブラックが飲みたいの」

沸点近い心を落ち着かせるために苦行に挑むぜ!!

え?私がおかしくなってる?怒りを発散させないとこうなるんだ!!

「わ、分かった…買ってくる…」

レンはチケットとジュースやらを買いに行った



そして2人で映画を見ながら私はブラックを飲んで

うげぇ!苦ぁ!

予想以上の苦さに私はのけぞった

ぐぅぅぅ…こ、これは飲めない…の、残すか…いや駄目だ!!

お母さんに食べ物とかは絶対に残すんじゃない!!って言われてる!!

し、しかし!いや駄目だ!私の中のお母さんは許してくれない!!

そして私が涙を流しながらブラックを頑張って飲んでいると、

隣にいる女の子の付き添いのお母さんが

「良かったら、使って…」

優しくハンカチを差し出してくれた。



メゾールの1階にマックに行き

「いや~映画面白かったな~リン」

それがマックで昼ご飯を食べ始めたレンの最初の一言だった

しかし明るいレンとは対照的に私は

「…そうだね……楽しかったね…」

かなり気分が沈んでいた

理由は2つあって、1つはブラックのコーヒーがかなり苦かったこと。

もう1つは隣に座っていた女の子の付き添いのお母さんが、優しくハンカチを

私に貸してくれたこと。

ブラックはある意味で身体的なダメージを与えたが、ハンカチは…

あのお母さん…私が感動して泣いてると思って貸してくれたんだろうなぁ…

痛かったです…その優しさは痛かったです…

お母さんのハンカチのおかげで精神にもダメージが来ている。

「はぁ…」

ため息を吐くとポテトを食べてるレンが

「どうしたリン、食べないの?」

私はオレンジジュースしか飲んでおらず、ポテトやハンバーガーは食べてない。

「あんまね…食欲が無いんだ」

「そうなの?じゃあ食べていい?」

「うん…いいよ」

私はレンのトレーにハンバーガーだけを乗せた

「ん?ポテトはくれないの?」

「ポテトだけは食べる……もぐもぐ」

その後、私はずっと無言でポテトを食べ続けた



「さて、この後どうしよっか?」

ジュースを飲みきったので水を飲んでるレンが聞いてきた

「は?なに言ってんの?私の服を見に行くんでしょーが?」

レンはなに言ってんだ?

「あ、そうなの?じゃあ行きましょっか?」

そう言ってレンが立ち上がったので私も立ち上がって

「そうなの?じゃないよ…私が長い髪になったときの服を見に行こうって言った

のはレンでしょ?なに言ってんのよ?」

するとレンはポカンとして

「えっ?俺そんなこと言ったっけ?いつ言った?」

「はぁ!?なにアンタ忘れてるの!?言ったじゃん!?映画を見に行こうって

私に言った時にアンタ言ったじゃん!?忘れたの!?」

私は結構マジで髪を伸ばそうって考えてたから、かなり楽しみにしてたのに!

次の日にカツラは演劇部に返しちゃったから、幼稚園の時の写真を見て

どんな服がいいかなぁ~って色々考えてたのに!!

「あぁーそうでしたそうでした!言いました言いました!すいません!

じゃあ行きましょうリンさん!2階に行きましょうリンさん!」

「むぅ~」

むぅ~マジで忘れてたなコイツ…

「ごめんごめん!そんなブーたれるなって!ほら行くぞ!」

レンは私の手を掴んでお店を出て、エスカレーターに向かった

「もう服なんて別にいいです~帰ります~」

レンに手を引っ張られ、嫌々に歩きながら前のレンに言うと

「ゴメンって!ほらお前もあんなお姉さんになれる服を買おう!なっ?」

レンはそう言って歩いている髪の長いお姉さんを指差した

「あのお姉さん…私と違って身長もあるし、スタイルいいじゃん…

なれっこない~私には大人っぽい人になるのは無理なんだよ~レンも約束を

忘れるぐらいなんだし~きっとすぐに忘れられるその程度の人になるんだ~

だったら髪も伸ばしません~このまま短いままでいます~~」

かなりブーたれながら言うと

「悪かったって!ゴメンゴメン!一緒に選ぼうよ、なっ?

リンだったらあんなお姉さんになれるって!きっとなれるよ!だから、なっ?」

そこは、俺は髪の長いリンが好きだよ~って言いなさいよ!!

それか髪の長くなったリンが見てみたいなぁ~とか言いなさいよ!まったく!!

「いつなれるんですか~?あとどの位経ったらあんなお姉さんになれるんです

か~?あと何年後の姿なんですか~?」

う~~ん自分であと何年後に理想のお姉さんになれるのか?って質問は

なんか少しだけ悲しくなるなぁ~

するとレンは急に真面目な顔して

「う~ん……3年…いや、5年ぐらい経てばなれるんじゃないの?

ほら、母さんだって子供の頃はちっちゃかったって言ってたじゃん?

だからリンも20ぐらいになればあんな風になるでしょ?」

「確かにそんぐらいはかかると思ってるけど、でも真面目に答えるなよ!!

嘘でも高校卒業ごろにはああなってるって言えよ!!」

まったく自分と同じ結論をなんで言うかな!?

「だって流石に3年でああは無理だよ。でも大学に行けば大人なお姉さんに

なるんじゃない?って思ったの。分かった?」

「優しく諭すように言うなよコンチクショー!!」

叫んでいる間にエスカレーターに乗った

レンは前に乗っているので、私を見下ろしながら

「でも大きくなったリンを想像しても、髪とか長くなってるし身長も高く

なってるんだけど、なんでかこのリボンは付けたままなんだよね~

大人リンでもこのリボンを付けてるんだよね~なんでだろ?」

私の頭のリボンを触りながら私に聞いてきた

「知らないよそんなの…まぁ自分でもこのリボンを取ってる姿なんて

想像することができないけどさ…」

髪が長くなってる私。大人になってる私。どの私を想像しても変わらないのは

この頭のリボン。何でだ?なんてレンより私のほうが先に思ってたよ…

「じゃあいっそのこと取ってみるか?なっ?」

レンはそう言って頭のリボンを解こうとしたので

「ちょ、ちょっとレン?なに急に…」

その手を止めようとしたが

シュル

レンにリボンを解かれた

「おっ?結構いいんじゃない?風呂上りとかに見るのとこーゆーとこで

見るのは全然違ってていいな…新鮮新鮮!」

リボンを解かれた+それをレンが褒めたので

「本当っ?いい感じ!?マジで!?」

照れはしなかったがちょっとは嬉しかった

「マジマジ。結構いい感じだよ?いつものリンじゃなくて新鮮~」

「本当?じゃあ今日はずっとこの髪型でいる~あっ、でもリボンどうしよっか?

持つわけにはいかないし…頭には付けないから…」

レンの手の中のリボンを見て言うと、レンが

「ん~~ハンカチ代わりに使うってのは?」

「まぁ手首にでも結ぶか…レン結んで」

レンの言葉を無視し、右の手を出す

「なぜ無視したんだ?」

私は手首にリボンを巻かれながら聞かれたが

「あっ、蝶々結びで可愛く結んでね?」

「ん~分かった…だからなぜ俺の言葉を無視する?」

キュッと結ばれたリボンを見て

「おっ?新しいファッションじゃね?」

手首にアイテムを付けるのもいいかもな~今度シュシュでも付けみるかな?

「あぁ…俺と会話する気が無くなったのね…」

「さっ、2階に着いたからさっさと降りて。」

「まぁリンや母さんが俺の意見を無視するのには慣れっこだよ…」

レンがアホなことを言ってなかったら無視しないんだがな…

レンが降りて私が降りて、降りたらまた手を繋いで

「さてと…まずはあっちのお店に行こっか?」

「はいはいOKですよ」

2人で歩き出したとこで

「あれ?レン君と…え~っと?」





声がした方に私とレンが振り返ると…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

6月ハーモニー 双子蜜柑 その6

6月ハーモニー 双子蜜柑 その6です

リボンを着けていないリンはリンっぽくないと思うのは俺だけか?

閲覧数:53

投稿日:2012/08/29 23:01:48

文字数:4,691文字

カテゴリ:小説

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