広間へ向かうと、もう他の奴らが宴を始めていた。
「あ!海斗殿!先に飲ませていただいております!」
「お誕生日おめでとうございます!!」
そうとう飲んでいるせいか、他の奴らはふらついていた。
「ささ、海斗殿!飲んでくだせぇ!!」
「おう」
広間の一番前に座る。
俺の隣に芽衣子が座った。
「では、海斗殿の誕生日を祝って、乾杯!」
『かんぱー・・・』
その時だった。
「姫様!お着替え下さい!!」
美紅の声だ。
なにやら誰かを止めている。
「着替えなんかいらんよ?」
次に、女の声がした。
「姫だと?」
「この城に、姫などいないはずだが・・・」
他の奴らも気づき始めた。
「それより、わしを助けてくれた恩人はどこじょ?会って礼がしたいんじゃ」
「お礼なら私が言っておきますから、お休みください!姫様、足に肉刺ができるほど歩いて来たのでしょう?」
「肉刺なんか気にせんよ~。それより、わしの恩人はここにおるんか?」
「あ、そこは・・・!!」
「ここか!!」
ばんっ
勢いよく、広間の扉が開いた。
そこにいたのは、俺が助けた・・・
「お前か!?わしの恩人は!!」
金髪の女だった。
「誰だ?この薄汚い小娘は・・・」
宴をしていた男が呟いた。
「薄汚いとはなんじょ?わしの名前は―」
「何、アンタ?」
女が言う前に、もう一人の憎しみのこもった恐ろしい女の声がした。
「海斗はね、この村一番の大名の息子なの。あんたみたいな薄汚い小娘が、お前なんて言える立場にあるワケ?少しは礼儀ってものを知りなさいよ、馬鹿女」
「なッ・・・・!」
芽衣子が女を睨む。
周りの空気が凍りついた。
美紅なんか、どうしていいか分からず、涙目になって俯いている。
「わ・・・・」
女も俯いている。
あ~・・・泣いちゃうか?
「わしも大名の娘や!!」
は!?
女は俯いた顔をぱっと上げた。
「わ~!!嬉しいわ!!大名の息子に会えるなんて!!わしはそんな大金持ちに助けられたんか!!帰ったら、自慢せにゃ!」
女は俺の手を握ってぶんぶん振った。
「あーはっはっは!!!」
さっきまで恐ろしい顔をしていた芽衣子が、笑い声を上げた。
「こんな薄汚い奴が、大名の娘だったとはね。気に入った。あんた、名前は?」
「わしか?」
女は俺の手を離し、芽衣子に体を向けた。
「わしの名前は、凛じゃ!!」
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